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キャラ立ちアーティストの一騎打ち!ピーチズとセバスチャンテリエは一見の価値あり(オススメMV #83)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の83回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回のテーマは「キャラ立ちアーティストのMV」。
全てのアーティストは何らかのキャラ(キャラクター=特徴)がありますが、その中でもぶっ飛んだキャラを持っているアーティストが存在します。
しかし、見た目のキャラだけが際立ち、作る楽曲がイマイチなアーティストが存在しているのもまた事実です。
今回は、キャラがぶっ飛んでいながらもいい楽曲を作るアーティストを二人ピックアップしてオススメのMVを紹介します。

では、さっそくひとり目のキャラ立ちアーティストのMVに参りましょう。
ピーチズの「Lose You」です。どうぞ!

ぶっ飛んでいるというか、MVの既成概念を超えてしまっています。
しかし、独自の世界に引き込まれ、気が付いたら最後までどっぷりハマって観てしまう...というスゴイMVです。

ピーチズ(Peaches)は、カナダ出身のメリル・ニスカー(Merrill Nisker)のソロプロジェクトで、エレクトリック系の過激な楽曲が多いことから「エレクトロ・パンクの女王」とも呼ばれています。
歌詞や風貌が性的に過激なこともあり、あまりメインストリームには登場しませんが、才能のあるアーティストであることは間違いありません。
最近では、デス・バレー・ガールズ(Death Valley Girls)というLAのバンドの「When I’m Free」という楽曲のリミックスを手がけていますが、結構いい感じに仕上げてあり、お気に入りでヘビロテしています。(ご興味のある方はSpotyfyにもあるのでぜひ聴いてみてください!)

この「Lose You」は、2009年リリースの5thアルバム「I Feel Cream」に収録されている楽曲ですが、ピーチズとシミアン・モバイル・ディスコの合作で、両者の良さがいい形で出ている良作です。
シミアン・モバイル・ディスコ(Simian Mobile Disco)はUKのエレクトロミュージックのデュオですが、メンバーのジェイムス・フォードはプロデューサーとしても有名で、以前この連載で紹介したクラクソンズの「Golden Skans」も彼のプロデュースです。(クラクソンズのMVはコチラ⇒「スティーヴアオキとラヴフォックスって最強の組み合わせかも」

しかし、この楽曲から想像できない世界観がMVでは展開されます。
何をどう解説したらいいのか分からないのですが、とにかくすごい!
冒頭1分はワケのわからないホームビデオの映像で、「コレなに?」という感じで進んでいきます。
もちろん、出演しているメインの女性がピーチズことメリル・ニスカーであることは説明するまでもありません。
そして、1分を過ぎるころから楽曲が始まり、あれよあれよと映像の中の物語が進行し、2分を過ぎるころには全身白のボディースーツを着たピーチズが登場して踊り始めます。
更にその30秒後に、同じように全身白のボディースーツを着た男性2名が登場し、ピーチズのバックダンサーとして踊るのです。
このMVのインパクトは、まだまだこんなものではありません!
ピーチズの袖の下の薄い布をスクリーンにして、男性二人の顔の位置と合わせるように投影されたピーチズが歌うという、ある種恐ろしくも目をそらすことのできない情景が繰り広げられます。

このぶっ飛びさ加減は飛び抜けていますが、更に驚愕なのはこのMVのDirectionをピーチズ自らが務めているという事実です。
才能というよりも、普通ならリミッターがかかる枠を超えた思考の持ち主ではないかと思われます。(アーティストなら誰しもがリミッターのレベルが高いのですが、リミッターそのものがないかと思えるほどです)

なお、ピーチズのほとんどのMVも楽曲の歌詞も、性的にきわどいというか過激な表現のものが多く、なかなかヘビーです。
この「Lose You」のMVは、ぶっ飛んではいるものの、その意味ではおとなしく、安心して観ることができます。
また、ピーチズの楽曲自体も「エレクトロ・パンク」とも評されているほど攻撃的なものが多いのですが、「Lose You」はシミアン・モバイル・ディスコとの合作ということもあり聴きやすい楽曲となっているので、今回オススメする次第です。(他の楽曲やMVは、なかなかオススメできないものも多いのが実状です。ご興味のある方はぜひ他のMVもご覧ください)

さて、ピーチズの「Lose You」があまりに強烈すぎて、それに対抗できるキャラのアーティストとMVはなかなかありません。
しかし、ぶっ飛びながらも才能あふれるキャラ立ちアーティストが頭に浮かんできました。

それがコチラ。
セバスチャン・テリエの「Cochon Ville」です。どうぞ!

ソドムとゴモラというか怪しい宗教の集会のような映像が展開されますが、笑える部分も多々あり、不思議な世界観を醸し出しているMVです。
教祖のようなセバスチャン・テリエの狂気の表情が脳裏に焼き付きます。

セバスチャン・テリエ(Sébastien Tellier)はフランスのシンセサイザーアーティストで、日本での知名度は高くありませんが、「フレンチ・エレクトロ界の至宝」とも呼ばれているほど本国およびUKではメチャクチャ有名なアーティストです。
このセバスチャン・テリエについて語るときりがないのでサラッと終わらせますが、奥が深いアーティストですので、また別の機会にじっくり紹介させてもらえればと思っています。

この「Cochon Ville」は、2012年リリースの5thアルバム「My God Is Blue」に収録されている楽曲となります。
アルバムタイトルを直訳すれば「私の神は青い」ですが、アルバムジャケットには青いセバスチャン・テリエが描かれており、自分自身が神であるようなイメージですので、「Cochon Ville」のMVとも関連がありそうです。

「Cochon Ville」のMVはご覧の通り過激な描写ですが、実はこれは改修されたバージョンで、YouTubeに公開された当初のバージョンは公開禁止となっており、これでもソフトな描写に変わっています。
本来、最初に紹介したピーチズが過激な性描写が多いのですが、ピーチズの「Lose You」のMVは比較的おとなしく、逆に過激な描写が少ないセバスチャン・テリエの「Cochon Ville」のMVは過激な描写という、逆転現象が起きており、その面でもこの2つのMVは面白い組み合わせになっています。

さて、今回のキャラ立ちアーティストはいかがでしたでしょうか?
二人とも日本ではそれほど著名ではありませんが、一度は体験いただきたいアーティストですので、今回紹介させていただきました。

また、今回は語り(文章)が長くなり2つのMVしか紹介できませんでした。
それほど今回の2人のアーティストのキャラがすごすぎて、まだまだ語り足りないほどです。
特に後半のセバスチャン・テリエは、オススメMVがたくさんあり、また山盛り語りたい内容がありますので、続きは別の回でじっくり解説させていただければと思っています。

ではまた次回に。

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