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きみは竹中英太郎という画家を知っているか?(レコードジャケットの楽しみ #10:特別編)

こんにちは、吉田です。
レコードジャケットを自宅の部屋に飾ってニンマリする連載の10回目です。
(連載のマガジンはこちら)

今回はレコードジャケットだけを皆さんにお届けします。
というのも、Spotify等で配信されていないアルバムになるのですが、それでも皆さんにこのレコードジャケットをご覧いただきたいと思い、連載10回目の特別編としてお送りします。

まずは1枚目をご覧ください。

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美しくかつ幻想的な雰囲気のジャケットですよね。

このアルバムは、日本禁歌集という4枚組のアルバムの3枚目となります。
日本禁歌集は、そのタイトルの通り一般的には世に出ないエロティックな歌や小噺、体制を風刺する歌などを集めたアルバムで、当時初めてのインディーズとなるURCというレーベルからリリースされました。

カテゴリごとにリリースされており、この3枚目は沖縄民謡で、タイトルは「沖縄春歌集/海のチンボーラー」です。
嘉手苅林昌と山里勇吉というお二人の名人が中心になり、貴重な唄の数々が収録されています。

上でご覧いただいたのは表紙ですが、裏表紙もメチャクチャいいんです。
裏表紙もぜひご覧ください。

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どうですか?
妖艶でドキッとするような絵ですが、不思議と温かみもありますよね。

このジャケットを描いたのは「竹中英太郎」という画家で、一般的には知られていませんが、江戸川乱歩や横溝正史の雑誌連載の挿絵を描いたり、ご子息の竹中労さんの書籍の表紙を描かれたりしています。

竹中英太郎さんとの出会いは、夢野久作になります。
夢野久作の「ドグラ・マグラ」にハマっていた私は、その源流を遡る中で他の作品の雑誌連載の中で描かれていた竹中英太郎さんの挿絵を拝見し、衝撃を受けました。

幻想的で他に類を見ないような孤高の画風は、孤独の中に生きていた私に共鳴し、一気に引き込まれてしまいました。
それから竹中英太郎さんの作品を掲載する書籍を買いあさることになります。

さて、話を戻し次のアルバムをご紹介しましょう。
日本禁歌集の1枚目となる「ぴん助風流江戸づくし」です。

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これも妖艶なジャケットですが、加えて情念やなぜか悲しさも漂っています。

このアルバムには、様々なお座敷芸が収録されています。
映像がないのは残念ですが、放送コードに抵触する「禁歌」のためテレビや映画では扱えず、レコードでかつインディーズしか手段がなかったのでしょう。

このジャケットにも見られますが、竹中英太郎さんの絵画は、美しくありつつどろどろしたものが多く、そこには人間の欲望や情念や悲哀が描き込まれています。
しかし、それらが悪いもの、排除すべきものではなく、それらを含めてヒトであり、受け入れるべき現実であることを教えてくれます。

これは、人権運動に尽力された竹中英太郎さんの人生観そのものであり、いまでいうダイバーシティですが、きれいごとではなくその本質そのものと捉えることができます。

最後は、日本禁歌集の4枚目となる「松鶴上方へそくずし」です。
このジャケットは裏表紙と続いているので開いてご紹介します。

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このジャケットは、上でご紹介した「ぴん助風流江戸づくし」に比べるとどろどろした部分が少なく、美しさが際立っています。

実は、この日本禁歌集を監修されたのが竹中英太郎さんのご子息の竹中労さんであり、そのつながりでジャケットデザインを担当されています。

竹中英太郎さんの描かれた絵が載っている書籍を集める中で、ご子息の竹中労さんの書籍の表紙を多数描かれていることを知り竹中労さんの書籍を買い集めることになりました。

せっかく買ったのだから読もう、ということで竹中労さんの書籍を拝読する中で、今度はご子息の竹中労さんにどっぷりハマってしまいました。
その無頼かつ武骨な生き方に感銘を受け、当時高校生だった私の中で「かっこいいオッサン」の筆頭となり、今でもあこがれの存在です。
当時まだ竹中労さんはご存命であり、一瞬でも同じ時代を生きたことを光栄に思うと同時に、直接お会いしなかった自分の行動力のなさに恥じ入るばかりです。

さて、今回の3枚、こんな感じで並べて飾っています。

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いかがでしょうか?
本当に部屋が美術館に変わったような感じがします。

今回の3枚は、楽曲とは全く関係なくジャケットの絵画をお伝えするために掲載しました。
もっというと、竹中英太郎さんという画家について、そしてそのご子息の竹中労さんについて語りたく、特別編としてお送りした次第です。

竹中英太郎さんの描かれたジャケットを観ながら、改めて取り出した竹中労さんの書籍を読みつつ、「まだまだ自分でもできること、やるべきことがある!」と思う今日この頃です。

今回はチョット重い内容になりました...

次回からは通常営業に戻りますので、引き続きご覧ください。
ではまた次回に。

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