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ジャパニーズ洋楽MV第二弾。ギャランティスとマドンナのパルクールつながりでご紹介(オススメMV #97)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の97回目です。(連載のマガジンはこちら)

今まで「勝手に命名シリーズ」と題して色々なテーマを取り上げましたが、今回は「ジャパニーズ洋楽MV」の第二弾をお届けします。
ジャパニーズ洋楽MVってなんなんだ?ということですが、洋楽のMVなのに日本で撮影されたり日本を題材にしているMVのことを表現しています。(ちなみに1回目はコチラ→「ジャパニーズ洋楽MVと勝手に命名」

今まで多くの洋楽アーティストが日本を題材としたMVをリリースしていますが、今回はもうひとつの要素を組み合わせたMVを紹介します。
そのもうひとつの要素は「パルクール」。

パルクールとは、街の中で体ひとつで飛んだり跳ねたり登ったりするアクロバチックなパフォーマンスのことで、映画の題材にもなったりしています。
「日本」+「パルクール」というなさそうな組み合わせですが、私の知る限りでも2本のMVが同じテーマでリリースされています。

まず、その1本目のMVがコチラ。
ギャランティスの「Spaceship feat. Uffie」です。どうぞ!

日本の街の中や神社などをアーティスト本人が練り歩き、最後はライブ会場で演奏するというストーリー性が秀逸なMVです。
様々な要素が取り入れられており、パルクールはその中のひとつにしかすぎませんが、映像に躍動感を与えることに寄与しています。

ギャランティス(Galantis)はスウェーデンのエレクトリック系のデュオですが、楽曲のみではあまり聴かないもののお気に入りのMVがたくさんあり、この連載では過去2回登場しています。(実写にイラストや文字を重ねるって簡単なようで難しい面白ダンスMVと勝手に命名
シンガーとして客演しているアフィ(Uffie)は、このMVで初めて出会ったのですが、US生まれでフランスで活動しているアーティストのようです。
上のYouTubeのサムネイル画像の両脇の男性がギャランティスのふたりで、真ん中の女性がアフィですね。
この「Spaceship」はアルバムには未収録で、シングルとして2018年にリリースされた楽曲となり、同じタイミングでMVも公開されています。

ギャランティスのMVは実写にイラストを組み合わせた映像が多く、その具合が絶妙でイイのですが、この「Spaceship」のMVもイラストをうまく組み合わせて使っていますね。
このまま「Spaceship」のMVを解説したいところですが、もうひとつのMVを観ていただいたあとで、比較しながら解説しましょう。

ということで、2本目の「日本」+「パルクール」のMVはコチラです。
ポップの女王こと我らがマドンナの「Jump」!

バリバリのディスコっぽい楽曲に、プラチナブロンドのボブにエナメル黒革の衣装というマドンナンスの組み合わせが印象的なMVです。
そしてなにより、飛び回るパルクールのパフォーマンスが圧巻ですね。

マドンナは私の超お気に入りのアーティストで、この連載でも幾度となく登場し、5回も特集を組んでいます。(ご興味ある方はコチラ→ヴォーグの回AmericanLifeの回ExpressYourselfの回LivingForLoveの回Bitchすぎだろマドンナさん!の回

この「Jump」は、2005年リリースの10thアルバム「Confessions on a Dance Floor」に収録され、2006年にシングルカットされた楽曲です。
アルバム「Confessions on a Dance Floor」というと、なんといってもリードシングルでもある「Hung Up」がダントツに素晴らしく大ヒットもしたため、それ以外の楽曲影が薄くなっているきらいがあります。
しかし、その中でもこの「Jump」は3分58秒とちょうどよい尺の長さということもあり、お気に入りの曲でもあります。(ちなみにHung Upは5分37秒もあります。シングルバージョンのJumpは更に短く3分22秒!)

なお、シングル盤の「Jump」のジャケットイラストは、ジャンプしている二人の男女のシルエットだけでチョット地味ですが、マドンナのアルバムやシングルのジャケットは派手なものやインパクトが強いものが多いので、逆にシンプルでお気に入りです。
女性のシルエットはボブカットのマドンナを模しているようにも思えて、その点も技アリのデザインです。

では、MVの解説に参りましょう。
この2つのジャパニーズ洋楽MVは、日本を題材にしていることを含めて共通点もありますが、違う点もありますので、順番に解説します。

まずは同じ点は以下の2つです。
・日本が題材
・日本の街の中でのパルクールのパフォーマンスが要素として含まれている
・すべて日本で撮影されている

そして、違う点は以下となります。
・アーティスト本人が日本の撮影で登場するかどうか
・パルクールがメインとなっているか、数ある要素の中のひとつか
・ストーリーがあるかどうか

実は、マドンナの「Jump」のMVはリリース当時からのお気に入りで、マドンナっぽくない映像構成に加えて「パルクール」という変わった要素に絞った映像という、いわばチャレンジともいえる取り組みを称賛する意味も含めてお気に入りでした。
しかし、ギャランティスの「Spaceship」のMVを初めて観たときに、「負けた...」と愕然としたのです。(チョット大げさですが)

マドンナの「Jump」は、パルクールを前面に出しており、基本的にマドンナのダンスとパルクールのパフォーマンスの2つの場面しかありません。
これほどのパルクール押しは、「Jump」という楽曲のタイトルと掛けていると思うのですが、同じパターンの繰り返しで正直後半ダレてしまうこともまた事実で、もうひと工夫ほしかったところです。
また、看板やネオンサインが面白く、「マドンナ」に加え「ジャンプ」や「飛躍」などデジタル加工されたと思(おぼ)しき表示があり、マドンナが踊る後ろには「うっふん」というワケの分からない看板まであります。
最初は「遊び心があって面白い」と思っていたのですが、繰り返し見るたびに逆に食傷気味になり、全体を通して2~3か所ぐらいに絞ったほうがよかったのではないかとも思います。

と、マイナス要素を書きましたが、それを加味してもマドンナの「Jump」は果敢にチャレンジした素晴らしいMVであることには変わりなく、ギャランティスの「Spaceship」が優れているのは「Jump」にはない様々な取り組みをしているからです。
具体的に説明しましょう。

まず1点目は、アーティスト本人が日本の街の中での映像に出演しているかどうか、という点です。
上の「同じ点」で「両方ともすべて日本で撮影されている」と書きましたが、ギャランティスの「Spaceship」は確かに全て日本での撮影と分かるものの、マドンナの「Jump」は「あれっ?」という感じです。
パルクールのシーンは日本で撮影されているのは見てわかりますが、マドンナのダンスシーンはスタジオ撮影ですので最初はてっきりUSのどこかのスタジオで撮影されたものと思っていました。
しかし、調べたところ、マドンナのダンスシーンについてもマドンナの日本公演の際に日本のスタジオで撮影されたようなのです。
だったらマドンナも日本の街に出てきて街のどこかで撮影すればよかったのに!と思わずにはいれません。
その点では、ギャランティスの「Spaceship」は、アーティスト本人が日本の色々な場所を練り歩いているので臨場感と一体感があり、マドンナの「Jump」を超えている要因となっています。

続いての2点目が、MVにストーリーがある、という点です。
マドンナの「Jump」は、日本のストリートをパフォーマーがパルクールをする映像と、スタジオ内でマドンナが踊る映像の2つで構成されており、そこにはストーリーはなく、最初から最後まで同じパターンとなっています。
しかし、ギャランティスの「Spaceship」は、日本の別々の場所に降り立ったギャランティスのふたりとアフィが、走ったり電車に乗ったりしながら様々な場所でお互いを探して回り、そして出会うことができたあと、ライブ会場に乗り込んで演奏して盛り上がる...というストーリーがあり、感動すら覚えるほどです。
この違いは大きく、ギャランティスの「Spaceship」のMVを優れた作品としている大きな要素となっています。

と、色々書きましたが、両方とも優れたMVであることは間違いなく、比べるとギャランティスの「Spaceship」のほうが一枚上手ではあるものの、パルクールとマドンナのダンスのみに絞った構成でチャレンジした「Jump」も価値のあるMVであることに変わりありません。
なお、マドンナには、日本で撮影されている、あるいは日本を題材にしているMVがまだまだありますので、また別の機会に紹介できればと思っています。

今回のパルクールというマニアックな要素を取り入れた2本のジャパニーズ洋楽MVはいかがでしたでしょうか。
お気に入りのマドンナが登場する回はどうしても語り(文章)が長くなってしまいますが、その点はご容赦ください。

ではまた次回に。

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