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ラデュッセルドルフのVIVAに対抗できるのは、高橋幸宏の音楽殺人だけだ!(レコードジャケットの楽しみ #16)

こんにちは、吉田です。
レコードジャケットを自宅の部屋に飾ってニンマリする連載の16回目です。(連載のマガジンはこちら)

気が付いたら今年1月4日に「新年1発目はザッパで!」と題して投稿して以来、あっという間に半年近く経ってしまいました...
別で連載している「オススメMV」の連載はほぼ毎週投稿しているのですが、こちらの連載は物理的な作業が伴うため腰が重くなってしまいます。(以上、言い訳でした...)

さて、今回は「エレクトリックの隠れた名盤」×「ブルーのジャケット」というテーマでお送りします。

最初のアルバムは、ラ・デュッセルドルフの「VIVA」です。

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白地に「VIVA」という青い文字だけが鮮烈に浮かんでいます。
シンプルですがインパクトのあるジャケットデザインですね。
収録されている楽曲のメッセージをストレートに表現しています。

ラ・デュッセルドルフ(La Düsseldorf)は1976年に名前の通りドイツのデュッセルドルフで結成さればバントで、初期クラフトワークのドラマーであったクラウス・ディンガー(Klaus Dinger)をリーダーとし、彼がラ・デュッセルドルフ結成前に在籍していたバンド、ノイ!(NEU!)で一緒だったトマス・ディンガー(彼の弟)とハンス・ランペの3名で構成されています。

クラウトロックと呼ばれるドイツのロックの中でも同じデュッセルドルフを拠点とするクラフトワークがメチャクチャ有名ですが、このラ・デュッセルドルフやその前身となるノイ!の知名度がそれほど無いのは残念です。
私としては、クラフトワークもイイのですが、断然ラ・デュッセルドルフが好みです。

ラ・デュッセルドルフは3枚のアルバムを世に残していますが、「VIVA」は2ndアルバムで1978年にリリースされました。
この「VIVA」は、ラ・デュッセルドルフの最高傑作であると同時に、この時代のクラウトロックの中でも一番の傑作ではないかと思っています。
特にB面を丸々使った「Cha Cha 2000」という曲が最高で、20分を超える大作ですが、全く飽きさせることなく最後まで一気に聴かせてくれます。

20世紀を間近に控え、輝かしい20世紀をイメージしつつみんなで変化しよう!という感じの曲です。(ChaはChangeの意味らしいです)

この「VIVA」はSpotifyにもありますので、ぜひ聴いてください!
オススメはもちろん「Cha Cha 2000」です。
キラキラと輝く楽曲にまみれて幸せな気分に浸れること請け合いです。

では、そろそろ2枚目にいきましょう。
次も同じくラ・デュッセルドルフから「Individuellos」です。

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テーマ通りの青基調のジャケットですが、「VIVA」と違いちょっと不気味な感じもします。
しかし、中身はポップな楽曲が多く、楽しいアルバムになっています。

この「Individuellos」は1981年リリースの3rdアルバムですが、このアルバムリリース後の1983年にラ・デュッセルドルフは活動を停止してしまいます。解散後もリーダーのクラウス・ディンガーは活動を続け、アルバムもリリースしていますが、ノイ!とラ・デュッセルドルフの流れをくむ良作となっています。
しかし、リーダーのクラウス・ディンガーは2008年に亡くなられました。
現在のエレクトリックミュージックの礎を作った中のおひとりが鬼籍に入られるのは悲しいことですが、その作品は世に残り脈々と生き続けています。

さて、少し悲しい雰囲気になりましたが、ここでガラッと話を変えて次のアルバムにいきましょう。

あまりに「VIVA」が良すぎるので、それに対抗できるアルバムとなるとそうそうありません。
それに今回のテーマである「ブルーのジャケット」となるとなおさらです。
しかし邦楽に対抗できるすごいアルバムがありました!

それが最後に紹介する高橋幸宏さんの「音楽殺人」です。

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ちょっとセピアがかったブルーのジャケットです。
「音楽殺人」というアルバムタイトルと掛けたのか、高橋幸宏さんが倒れている絵柄になっています。
(なんと、レコード盤自体が透明のブルーバイナルで超オシャレ!)

高橋幸宏さんは、本連載の第9回「YMOという時代を、観てそして聴いてみよう!」でも紹介した通り、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)という日本のテクノポップバンドのドラマーとしての活躍が有名です。
しかし、YMOのドラマーというのは幸宏さんのホンの断片にしかすぎず、幸宏さんはドラマーとして超一流というだけでなく、作詞作曲やプロデュースもこなし、かつシンガーでもあります。
なんとソロアーティストとして22枚ものアルバムをリリースしています。
音楽以外では服のデザイナーでもあり、ご自身のブランドも立ち上げていたこともあります。
こんなドラマー、日本はもとより世界中でもいないんじゃないでしょうか?
特に22枚のソロアルバムをリリースしているドラマーって、聞いたことがありません。

そして、この「音楽殺人」は数あるソロアルバムの中でも傑作です。
1stソロアルバムを1978年6月にリリースした直後の同年7月にYMOの活動を開始し、翌年1979年から1980年はYMOのワールドツアーや国内ツアーに加えて爆発的な人気のため様々なメディアに登場するなど、恐ろしいような超多忙な状況であったことが伺えます。
しかしその中の1980年6月、2ndアルバム「音楽殺人」はリリースされます。

普通なら考えられないですよね。
しかも、そのアルバムのクオリティがメチャクチャ高い!
ぶっ飛んでいるというか弾けているというか、幸宏さん自身ももうワケが分からない状態で制作されていたのではないかとすら思えます。

しかし、このアルバム「音楽殺人」は、まごうことなき超名盤であり、多くの方に聞いていただきたいのですが、残念ながらSpotifyには権利の問題があるのかアップされておらず、YouTubeにはあるようですが権利的に微妙なので紹介できないのが残念です。
CDはリリースされていますので、ご興味ある方はぜひCDを購入して聴いてみてください。

今回の3枚、こんな感じで並べて飾っています。

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やっぱり「VIVA」のインパクトがすごいですね。
アルバム自体は「VIVA」と「音楽殺人」の一騎打ちという感じです。


今回の3つのアルバム、いかがでしたでしょうか?
「VIVA」と「音楽殺人」は両方とも超名盤ですので、未体験の方はぜひ聴いてみてください。

ではまた次回に。

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