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カメラワーク面白MVと勝手に命名。フリートウッドマックとリパブリカは甲乙つけがたし(オススメMV #87)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の87回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は勝手に命名シリーズの第9弾、「カメラワーク面白MV」と題して3本のMVを紹介します。
カメラワーク面白MVってなんだんだ?ということですが、言葉で説明するのも難しいので、まずはご覧ください。

最初の「カメラワーク面白MV」はコチラです。
フリートウッド・マックの「Big Love」です。どうぞ!

カット割りが無い映像って、本当にいいですね。
しかも、色々工夫がされていて、観てみて最後まで飽きません。
楽曲とのマッチングもよく、良作MVのお手本のようです。

フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)は、イングランドのロックグループですが、なんと1967年から今に至るまでずーっと活動しているというオバケのようなバンドです。(メンバーの出入りはありますが)
初期の楽曲は私には癖が強くあまり聴かないのですが、ポップ色が強くなった1975年以降はお気に入りの楽曲が多く、商業的にもビッグヒットを連発しています。
その最高潮の最後を飾るアルバムとして1987年にリリースされた18thアルバム「Tango in the Night」からのファーストシングルがこの「Big Love」なのです。

では、「Big Love」のMVを観てみましょう。
上にも書きましたがカット割りが全くなく、ずーっとズームアウトが続いていくという面白い映像のMVです。
単にズームアウトするだけでなく、メンバーが様々な形で出演したり背景に工夫がされているので最初から最後まで飽きることなくあっという間に終わってしまう完成度の高いMVとなっています。
終わり方も素晴らしく、早回しで巻き戻しのように映像が戻っていき、最後はボーカルのスティーヴィー・ニックスの決め顔で締めているのも最高です。(映像の出だしまで完全に戻っていないのが技アリです)
いやー、いいMVは何度観てもいいものです。

続いての「カメラワーク面白MV」はコチラ。
リパブリカの「Ready to Go」です。

これまたインパクトのあるMVです。
ノリのいい楽曲とのマッチングも素晴らしく、疾走感のあるMVとして仕上がっています。

リパブリカ(Republica)は、1984年に結成されたイギリスのロックバンドですが、パンクとディスコが融合したような独特の音楽性を持っていて、その最高峰の作品が、この「Ready to Go」となります。
ちなみに、リパブリカの他の楽曲やMVも視聴しているのですが、どの楽曲やMVもこの「Ready to Go」には遠く及ばず、商業的にも大ヒットはこの「Ready to Go」のみとなっています。
かつ、「Ready to Go」は何度もリミックス版がリリースされており、しゃぶりつくし感が半端ない感じです。
つまり、いわゆる「一発屋」なのですが、これだけいい楽曲をリリースしたのであれば十二分に存在価値があり、賞賛すべきバンドであると確信しています。(一発当てるだけでも、スゴイことです!)

「Ready to Go」は1986年リリースの1stアルバム「Republica」に収録されているのですが、上で紹介しているMVはリリース同年の1986年にシングルカットされたオリジナル版の「Ready to Go」ではなく、翌1987年にシングルカットされたリミックス版の「Ready to Go」となります。
オリジナルの「Ready to Go」のMVも、オフィシャルではないのですがYouTubeにアップされているので、ご興味のある方は観てみてください。
私としては、楽曲もMVもOfficial Videoのリミックス版のほうがお気に入りではあります。

さて、MVの解説に参りましょう。
映像の演出にチープ感が多少あるものの、力強くパワフルな映像で、力業(ちからわざ)とでもいえるような強引さがあるMVですね。
スピード感のあるズームアップやズームインが特徴的ですが、そのいずれもが粗く、かつそれほど工夫もないのですが、なにせ楽曲のパワーと疾走感がすさまじく、映像のマイナス面を逆にプラスに利用しているという珍しいMVです。(それだけ楽曲が素晴らしいんでしょうね)
それに加えて、ボーカルのサフランの存在感が際立っており、その歌声もすばらしいのですが、彼女の存在自体がこのMVには欠かせない要素となっています。

しかし、この「Ready to Go」の疾走感は、かのオフスプリングにも勝るとも劣らず、名曲であり名作とも呼べるものではないかと思っています。
(オフスプリングについては以前の回で紹介していますので、ご興味ある方はご覧ください。コチラです→ふざけているが結構マジメ

最後の「カメラワーク面白MV」は、チョット変わったMVです。
ロイクソップの「Eple」です。

押し出し感ゼロの印象付けを放棄しているかのようなMVで、楽曲も環境音楽かと思わせる盛り上がりの無さです。
しかし、映像を見ると徹底的にこだわって作られているのが分かります。

ロイクソップ(Röyksopp)は、1998年結成のノルウェーのエレクトロデュオで、私のお気に入りのアーティストのひと組です。
この連載で過去4回登場していることからもお気に入り具合が分かります。
ロイクソップの紹介は過去の連載に詳しく記載しているので、そちらをご覧ください。(過去の連載はコチラ→1回目2回目3回目4回目

この「Eple」は、2001年リリースの1stアルバム「Melody A.M.」に収録されており、同年にセカンドシングルとしてリリースされた、ロイクソップ初期の楽曲のひとつです。
このあと年を追うごとにロイクソップはギターやドラムの打ち込みなど音楽性に広がりが出てきており、かつボーカルやコーラスを組み合わせた楽曲が増えてきますが、この時期はエレクトロ一色な感じです。

MVに目を向けてみると、ある種単調で盛り上がりがなく、イマイチ感が無きにしも非ずですが、よくよく見るとしっかり作りこまれています。
しかも、面白い点が「つなぎが結構メチャクチャ」ということです。
「この映像転換はないだろ!」と思わせるような映像の切り替えが多数あるのですが、単調な映像の中でそれをサラッとやっているのが確信犯的でもあり、ある種「真面目にふざけている」というところもお気に入りの点です。
(まあ、私の大好きなロイクソップの作品なので、多少評価が甘いのかもしれませんが、その点はお許しいただければと思います)

今回の「カメラワーク面白MV」の3つのMVはいかがでしたでしょうか?
特に、洗練されたフリートウッド・マックの「Big Love」に、パワフルなリパブリカの「Ready to Go」の2つがお勧めなので、ぜひ見比べてみてください。

ではまた次回に。

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