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マドンナ特集だ!AmericanLifeにはイケてるMVがてんこ盛り(オススメMV #61)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の61回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は、ポップの女王ことマドンナの特集をお届けします。
マドンナのMVは以前の回(マドンナのヴォーグは古典にして名作)で紹介しているので、2度目の登場となります。

マドンナは今まで14枚ものスタジオアルバムをリリースしていますが、その中でもお気に入りが2003年リリースの9thアルバム「American Life」です。
商業的には失敗と言われているようですが、内容的には失敗どころか素晴らしく、かつMVも良質な作品ばかりという神盤となっています。

では、その「American Life」からお届けする最初のMVはこちらです。
マドンナの「Die Another Day」。どうぞ!

マドンナが一人二役を熱演する映画のようなMVです。
しかし、決して映像だけが独り歩きせず、楽曲とのマッチングがすばらしく、良質のMVとして仕上がっています。

マドンナ(Madonna)については以前の回(マドンナのヴォーグは古典にして名作)で紹介しているのでそちらをご覧いただくとして、さっそくMVの解説に参りましょう。

この「Die Another Day」は、2002年公開の映画、007シリーズ「Die Another Day」の主題歌としてリリースされ、翌2003年にアルバム「American Life」に収録されました。
映画の主題歌だからそうしたのかどうかは分かりませんが、ショートフィルムとしても通用するMVとして仕上がっているばかりか、ブルースリーの映画をオマージュした場面もあるなど、楽しんで観ることが出来ます。

この「Die Another Day」のMVのすごいところは、これだけ印象付けが強い映像にもかかわらずしっかり楽曲が前に出て、楽曲と映像がうまく融合している点にあります。
楽曲自体が素晴らしくインパクトが強いということもありますが、映像自体が楽曲にあわせて作ってあるからで、文句のつけようがありません。
ストーリー系のMVの完成系とすら思わせられます。
ちなみに、このMVの制作費は何と600万ドル以上(!!)かかり歴代2位とのことで、普通の映画と同じぐらいの製作費を4分半のMVに掛けたとは驚きです。

いきなりスゴイMVを紹介しましたが、驚くのはこれからです。
続いて紹介するMVは、アルバム「American Life」のタイトルチューンでもあり、アルバムのコンセプトを色濃く打ち出しているMVです。
それが2つ目のMV、マドンナの「American Life」です。

このMV、何なんでしょうか?
最初から最後まで「各国の国旗を背景にしてマドンナが歌うだけ」というシンプルな構図のみで構成されているにもかかわらず、全く飽きさせずにインパクトを与え続けるMVというのは、なかなかありません!

同じ構図、しかもシンプルな構図の映像のみのMVでは、徐々に印象付けが弱くなり、かつ飽きが来てしまいます。
そのため、構図を変えたり組み合わせたりして変化をつけるのが普通なのですが、このMVはそうはせず、最初から最後まで「各国の国旗を背景にしてマドンナが歌う(というか表現する)」という構成のみとなっています。
しかし、このMVでは印象付けが弱いどころかインパクトが強く、最後まで全く飽きずに観ることができます。
なぜでしょうか?

それは、「マドンナだから」ではないかと考えています。
マドンナの存在感、もっと言えば画面からにじみ出る「生き様」を前面に出すことで、唯一無二のMVに仕立てようとしているのではないかと。
そのためには、複雑な構成や複数の構成で変化をつけて印象付けすることは逆にマドンナを100%活かすことになりません。

と称賛しまくったのですが、実はこのMVはセカンドリリース版で、ファーストリリース版はオフィシャルサイトには掲載されていません。
この「American Life」がリリースされた2003年は、911テロのあとイラク戦争が始まったタイミングで、ファーストリリース版のMVは直接的な戦争をイメージさせる表現がされていたためお蔵入りとなり、急きょ制作されたセカンドリリース版がオフィシャルMVになりました。

しかし、なかなかここまで割り切ったMVは制作しようと思ってもできないので、瓢箪から駒ではないですが、この名作MVは奇跡的に生まれた産物とも言えます。(私としては、ファーストリリース版のMVよりも、断然セカンドリリース版のこのMVのほうがお気に入りです)

まだまだマドンナのオススメMVは続きます。
アルバム「American Life」からの3つ目のMVはこちらです。
マドンナの「Hollywood」です。

妖艶というよりドロドロな感じのマドンナの存在感が強烈ですね。
アコースティックな楽曲と往年のハリウッド映画のような色調がうまくマッチした良作です。

アルバム「American Life」は、ひとつ前の8thアルバム「Music」のテクノの良さにアコースティックをかぶせることで両方の良さをうまく組み合わせた名盤ですが、その良さがうまく出ているのがこの「Hollywood」です。

今まで3つのMVを紹介しましたが、それぞれリリース順となっています。
最初の「Die Another Day」のMVが2002年10月にリリースされ、続いて「American Life」が2003年4月、そして「Hollywood」が2003年6月です。

アルバム「American Life」からは5曲がシングルカットされましたが、4番目にシングルカットされた「Nothing Fails」はMVがリリースされていません。
しかし、最後のシングルカットとなる楽曲はMVもリリースされ、それが今回最後の4番目に紹介する2003年11月にリリースされたMVです。
マドンナの「Love Profusion」です。

他の3つのMVとはテイストがガラッと変わったMVであり楽曲ですね。
押し出しの強い楽曲と映像からソフトタッチで優しさすら感じます。
マドンナが同じ女性とは思えないぐらいの変貌です。

この「Love Profusion」は、アコースティック寄りの楽曲に加えて映像もインパクトは抑えつつ他のMVとは違うマドンナの側面を見せることで視聴者に新鮮な感覚を与えています。
なんとこのMVの監督はリュック・ベッソンが務めており、そりゃいいはずですよね。

さて、今回のマドンナ特集はいかがでしたでしょうか。
特に前半の2つのMVがおすすめです。
ひとつは600万ドル以上の製作費、もうひとつは激安のMVですが、両方とも間違いのない名作MVですので、ぜひ比較しながらご覧ください。

ではまた次回に。

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