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【闇夜の案内人~短編詩~】


 
我 ただ待つ
獲物がここへ来る時まで
 
常闇に じっとりその身を潜ませて
我の前に誘導するのは 提灯の灯
 
なぁに 簡単なビジネスさ
 
ほら 一匹獲物がやってきた
好奇心に目を輝かさせ
一直線でこちらへ来る
 
カウントダウン.....5.....4.....3.....にっ
ちっ!............気付かれたか

今日で何日だ 平らな体が余計に平たい
 
ここの奴らは みんな同じで
生まれた時から 闇の中
光を知らず 闇しか知らない
 
だから 提灯の灯に目を輝かせ
一目散にやってくる
 
好奇心を ちょっとくすぐるだけ
あとは ゆっくり待てばいい
 
そういえば 好奇心を持ったのはいつだ
小さな頃 空が眩しくて
あの海域に行きたいと思っていた
 
一度だけ行った
だけど 苦しくて 苦しくて
内臓が 飛び出そうな感覚だったな
 
あれ以来か ずっと闇に伏せているのは
 
憧れはしたものの
棲む世界が違う感じがした
 
誰にでも 
居心地の良い世界があるってことか
 
昔はこの場所が嫌いだった
だけど 光を知って 届かなくて
居心地の悪さを知ったから
この場所が良いと思える
 
だから今日も ここで待つ
ぼんやり提灯 闇夜の世界へようこそ

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