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若年者投票率を向上させるための根本的アイデアの考察

もうすぐ参院選の投票日ですね(これを書いてるのは2019年7月19日、投票日の2日前)。

毎回問題になる、「若年者層の低投票率」問題ですが、
今回の「年金2000万問題」の与党の対応なども見るにつけ、このままでは本当に「選挙戦略上、若年層はなきものとされる」リスクが高すぎるので、どうにかならんもんでしょうか。

①真面目に社会問題を訴えても、世間はついてこない

2014年にバズった「アイスバケツチャレンジ」のときの、フローレンス駒崎さんのツイート。
若年者投票率向上もこれと同じで、若者の大半は、そもそも「無関心」。
いくら真面目に「投票に行きましょう!」と言ったところで、絶対に届くはずがない。

本当に若年者投票率を目に見えるくらい上げようとしたら、
もっと違うアプローチが必要になってくる。

そこで鍵になると思っているのが、「ゲーミフィケーション」という概念。

ゲーミフィケーション:「ゲーム化」すること

有名な例が、スウェーデンで実験された「ピアノ階段」。

「健康にいいから階段を登りましょう」といっても誰も階段を使わないけど、
「階段を登る」行為を「音ゲー」化して、
「階段を登るとピアノが鳴る、楽しい!」となると、みんな喜んで階段を使うようになる。

「問題」を訴えるのではなく、そのプロセスを「楽しい」行動に変えて、結果的に問題解決するように促す。
いかに「楽しい」要素を付加できるか="Fun Theory"をつくれるか、が大事になってくる。

「若年者投票率をハックする」"Fun Theory"は?

たとえば、投票行動を
「自分の将来のために一票を投じる行為」ではなく、
「投票済証明書を手に入れるためのゲーム」に変えてしまうこと。
(しかも、名前書いて箱に入れるだけのヌルゲーだ)

不謹慎って言われるかもしれないけど、そのくらいしないと社会は変わらないし、こんな方法でも実際に投票率を上げられれば、社会的にポジティブなインパクトを与えられるはず。

そういう意味では、極端な話、投票所に足を運ぶところまでさえしてくれれば、誰に、何の理由で投票しようがかまわない。見た目で選んでもいいし、直感で選んでもいいし、どうしてもわからなければ、花占いで選んだっていい(と思う)。
現状の「若年者投票率が低い=若年者が選挙戦略上軽視してよい存在になっている」状況では、単純に「投票率が上がる=候補者にとって若年者層が無視できない存在になる、各党の選挙戦略に入る」だけでも、十分すぎるくらい意味がある(と思う)。

投票済証明書を手に入れるインセンティブとしては、
ありきたりではあるけれど、「投票した人限定の○○」をつくること。

加えて、できるだけ拡散したくなる(ありふれた言葉だけど、「インスタ映え」する)何かであること、
そしてできる限り、コストのかからないものが望ましい。

たとえば、
「投票済証明書を提示した人だけが注文できる、スタバの限定トッピング」とか、
「投票済証明書を提示した人だけが選べる、タピオカドリンク屋さんの限定デザインカップ」とか。

今でも投票した人に割引、とかけっこうやってるところはあるけれど、
普通に金払えば手に入る商品の、その数十円の割引を得るために、無関心な人がわざわざ投票所に足を運ぶか、と言われると、正直微妙だなーと思う。
(割引のベネフィットより、わざわざ投票に行く時間をつくるコストの方が感覚としては上回りそう)

だとすると、「投票しないと(いくら金積んでも)絶対にもらえない」何かのほうが、わざわざ行動を起こすインセンティブとしては上回ると思うし、
割引とかだとけっこう企業体力的にもつらいけど、その点トッピングとか包装みたいな形であれば、目に見える、かつそこまで企業にも大きな負担にはならなさそう(タピオカのカップとかはどっちみち必要なものだから、コストとして容認しやすそう)。

もしくは、タピオカドリンクみたいに行列ができるようなものであれば、
「投票済証明書がファストパス代わりになる(並ばずに注文できる)」とか。
投票に行くのもタダではなくて、「時間的コストを払う」ことには変わりないのだから、そのコスト感を逆手にとって、
「長時間並ぶくらいなら、投票所行ってからお店行ったほうが、イイコトした気分にもなるし得だよね」ってできると、現実としての行動を喚起しやすいのではなかろうか?

現実の運用方法

提携する(特典を出してくれる)企業とかは、平時でも営業できるので、選挙をやる前に地道に営業しといて、何をやるか、とかまで確認しておく。
スピード勝負なので、公示日決まったら(or衆院解散されたら)必要資材の発注とかすぐできるように、そこまで詰めた状態で選挙を待つ。

参院選はだいたいの時期が決まってるからやりやすいけど、衆院はいつ解散されるかわからないので、うまく対応できるかが難易度高いかも?
季節とか材料の需給とかに影響されないように特典内容を組んでおくとかも重要なのかもしれない。カップとか保存がきくものなら、先につくるだけつくって保管しておいて、すぐに展開できるようにするとか。
広報戦略も、いかに集中的にマスに打てるかが勝負なので、ここも事前に固めておくべきポイントなのかもしれない。

②下宿学生の「投票するためだけにわざわざ実家に帰れない」問題

もうひとつ若年者層の投票率アップを阻む大きな壁が、
親元を離れて一人暮らししている学生の、「住民票移してないから今住んでるところで投票できない」問題。

住民票上の住所に住んでいなくても、もちろん、投票用紙を請求して不在者投票することはできるのだけれど、
「わざわざ投票するためだけに請求書書いて自腹で郵送する」という時間的&金銭的コストが発生するのは本当にハードルが高すぎる。
一票を投じるのは国民固有の権利のはずなのに、金払わないとその権利行使できないとかマジでありえない。手間どころか金まで払ってまで投票したいとか、よっぽど高尚な人じゃないと思わないでしょ?

別に請求書書くこと自体は、なんかのオンラインサービスに会員登録するくらいの記入項目でそこまで煩雑ではないのだから、この「投票用紙を書いて、投函する」というめんどくさいプロセスを、テクノロジーの力でなんとかハックできないものだろうか?

(お役所的には「今住んでるところに住民票移してください」が本来の対応なんだろうけど、住民票移しても数ヶ月は選挙人名簿に載らないのと、住民票の手続きは他人が代行しづらいので、今回は考えないものとする)

「不在者投票をハックする」テクノロジーはないか?

たとえば、「完全オンライン投票用紙請求サービス」

現住所や実家の住所など、必要な項目を入力すると、
自分が住んでいるところの書式に合わせて、投票用紙の請求書を自動で生成してくれて、ついでに郵送まで代行してくれちゃうサービス。
ユーザー側は、フォームに入力しさえすれば、あとは投票用紙が届くのを待つだけ。

システムとしては、全自治体の請求書のフォーマットを記憶させておいて(たぶん自治体によって微妙に書式が違うはず)、
選択された自治体に合わせた記入項目をユーザー側に返し、入力されたデータをフォーマットに合わせて吐き出して紙に印刷。
あとは人力or機械で、印刷された請求書を封詰めして、投函。
ユーザー側には、届いた投票用紙の取り扱い方(投票所がここにあるから持ってってね)の紙orPDFを渡して完了。

システムの運用費用と、印刷→投函までの紙代やら郵便代やら人件費やらもろもろはどうしてもかかってしまうので、できれば学生向けマーケをやりたい企業に広告出してもらえれば理想だけど(タダコピみたいに)、もし無理そうなら電子マネー決済とかで、決済もオンライン完結できるようにしておく。

個人情報を保持することになるので、そのあたりの取扱・セキュリティとか(人力で請求書の封詰めとかやることになるとそれもそれでややこしい)、
全自治体分のフォーマット収集するの鬼めんどくさそうとか、
もし自治体によって押印が必要とかだったらそもそも無理じゃね、とか、
未検証問題はたくさんあるけど、決して荒唐無稽なアイデアではないはず。

現実の運用方法

システムは選挙期間中とか関わらずつくれるので、先につくっておく。

んで、選挙日程(公示日)が決まったら、
公示日〜1週間くらいで、わーっと大学とかに露出する。
できれば学内にブース出して、授業の合間とかにその場でパパっと手続きできるようにしてしまいたい。
社会人は税金の関係とかあるから基本実家を離れる場合は住民票も移してるはずなので、プロモーションはマス向けは必要なくて、学校ピンポイントでチラシ貼りまくるとか、ゴリゴリやればよさそう。

ついでに学食100円引き券とか配ればインセンティブとしては強いけど、さすがにそこまではやらなくてもいいかなー。

おわりに

選挙に行くって、行くと決めてる人にとっては当たり前の行動だけど、
その習慣が身についてない人にとっては
「普段しない(めんどくさい)行動をわざわざする」ことでしかないわけで、そのめんどくささ・コスト感をいかに下げてあげるか、というのは、若年層に限らずクリティカルに重要な視点だと思う。

そういう意味で、これは大いに「マーケティング」の問題でもあると思うし、その点では投票という行動をすること自体はさほど難しくない(行って文字書くだけ)のと、時間以外の費用がかからない(不在者投票でなければ)ので、「投票所に足を運ぶ」というインセンティブさえ設計できてしまえば、かなり現実の行動を動かしやすい性質のものでもあると思います。

ちなみに、このアイデアは当然ながら著作権フリーなので、もしこれで「システムつくったる!」とか「うちの街で特典営業したる!」みたいな人がいたら、どうぞご自由にパクってください。
「完全オンライン投票用紙請求サービス」でハッカソン優勝する人とか出てきたらうれしいなー。

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