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ローカルニュースからの学び

 インターネットが登場したとき、「これで世界中の情報が手に入る」と考えられた方も多いと思います。当時、「インターネットと教育」の専門家の方と話をしたとき、「いや、実は地域のことを知るほうが多いのです」とも話されていました。
 今の状況をよく見ると、例えばグルメサイトで、地元の飲食店を探すように、ネットを地域の情報を得るのに使われているほうが多いのではないでしょうか。

 そして、ニュースもそうなんです。

 私は富山県の出身ですが、大学から東京で生活をしています。そして、故郷の今をニュースから知り、また、故郷にいたときに知らなかったことをニュースから学んでいます。
 例えば、次のようなニュースがありました。

「富山の不思議な「バタバタ茶」 地域をつなぐ一服」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD053E40V00C23A9000000/

 この記事に出てくる「蛭谷地区」には私の叔母が嫁いでいます。ですから、「バタバタ茶」というものがあることは知っていましたが、実は、どんなものかはよく知りませんでした。叔母に聞いても、茶筅でバタバタとかき回すだけのお茶としか説明されません。
 それが記事になることで、「葉の酵素の力ではなく自然界の菌の力で乳酸発酵させるため後発酵茶と呼ばれる」ということがわかりました。叔母も、乳酸発酵されたお茶だとは分かっていなかったでしょう。
 
 もちろん、国際情勢や日本の政治・経済などグローバルな問題を、ニュースから学ぶということも多くあるでしょう。そして、学びとしての実感も、グローバルなニュースの方が大きいでしょう。
 それでも、地域から学ぶということは、非常に意味のあることです。学びとしての実感は少ないかもしれませんが、振り返ってみれば、自身の中に積み重なっているのではないでしょうか。

 京都大学にいらっしゃった前平泰志先生は、こうした地域に根ざす学びを「ローカルな知」として、その重要性について言及されていました。
 例えば、三陸地方での「津波てんでんこ」は、その地域の経験に根ざした「ローカルな知」です。
 同様に、自然への接し方には、それぞれの地域での「ローカルな知」があります。環境教育などで、そこから学ぶということもよくあります。

 そうした視点で地域のニュースに眼を向けると、きっと自身の学びが広がるはずです。

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