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「勉強」の常識を疑う2


「わからない」けど解ける

ある日、自習室を除くと、ものすごいスピードで算数の問題を解きまくっているS君がいました。

S君は算数の成績は抜群によく聖光学院中に合格した子です。

S君に「すごい速さで解いているね。」と声をかけると、
「だって、もう7回目の解き直しだもん」とのこと。

そのテキストは夏期講習の教材のためたしかに量は少ないのですが、それでも7回目はすごいです。

別の日に、模試でかなり難しい問題を正解していたS君に「この問題はどうやってわかった?」と聞くと、「よくわからないけど、図や表を書いたり計算していたら解けた。」とのことでした。

「わからいけど解ける」方法

このS君の発言にショックを受けた僕は、尊敬する同僚講師にこのエピソードを語りました。すると、その同僚は「小学生はまだ演繹的に考えることは苦手です。彼らは帰納的に解き方を体得しているのですが、それをまだ言語化できていないので説明できないのです。」と言いました。
この同僚がものすごい天才なので、言ってることのほとんどがわからなかったのですが、僕なりの解釈としては「数をこなせば、問題を完全に理解しなくても、正解を導き出せる」ということでした。

S君を観察したら

当時のS君は天才タイプではなく、また国語も得意ではなく論理力も強いタイプではありませんでした。では、なぜ、そんな彼が算数でいつも高得点をとっていたのでしょうか。その答えは
「ただしい解き方」+「多くの量」で勉強と復習をしていた。
ということです。

多くの量だけではだめ

S君が当時受けていた算数のクラスでは、基礎をしっかり勉強するクラスでした。そこで勉強した「基本的な解法」を使ってたくさん復習をしていました。「多くの量」勉強しているけど、成績がのびないという生徒がいます。そういう生徒の多くは「基本的な解法」を使っていません。
言い換えると「基本的な解法」を使えないのです。

基本問題の解き方に問題がある

子どもは面倒くさいことを嫌います。基礎的なことは嫌いです。そこで、基本問題のときに教えられた「基礎的な解法」を使わないで答えをだします。たしかに、基本問題なので正当はだせます。しかし、応用問題は解けません。応用問題を解くには「基本的な解法」を使うことが必要なのですが、基本問題のときに「基本的な解法」を使っていないので習得できていないのです。しかし、応用問題のようにただでさえ解きにくい問題でいきなり、おぼつかない「基本的な解法」が使えるわけがないのです。
たとえば、普通の自動車の運転も慣れてない人が、F1レースに出場するようなものです。ただ事故ですね。。。。。

「基礎的な解法」から始まる

ここで、「基礎的な解法」について説明します。S君がしっかりモノにしていた解法です。これは、特別なものではなく、図を書く、表を書く、情報を整理する、答えに近い数を当てはめてみて正しい答えに近づいていく、公式を使って答えを出す、などです。
ついでに「基礎的な能力」として、早く計算する、検算する、線をまっすぐかく、面積図に必要な数をしっかり描くなどもあります。

「基礎的な解法」とはフレームワーク

よくコンサル業界やマーケティング業界では「フレームワーク」という言葉を聞きます。これは「考え方」です。この「フレームワーク」を使い難しいことを考えていくのです。そしてこの「フレームワーク」がないと考えること自体がうまくいかなくなったりします。受験生が算数の問題を考えるには「フレームワーク」=「基礎的な解法」が必要となります。なければ何時間考えても良い結果はでません。

「基礎的な解法」を身につける効果

一流のコンサルは「フレームワーク」意識してないでも使いこなせるようになっていると思います。同じです。一流の受験生は「基本的な解法」を意識せず使いこなしています。そして問題がわからないと感じても「基本的な解法」を使っているうちに正解をだします。無意識に考えているのでしょう。


応用問題とはRPGのようなもの

RPGは初めてすぐに、「どうやってラスボスを倒していいかわからない」と悩んでいる人がもしいたら、「アホやなー」と思うと思います。ゲームを進めていけばラスボスが何かわかりますし、倒し方もわかってきます。それは、ただただゲームを少しでも進めていけば、結果ラスボスを倒すことにつながっていくのです。しかし小学生は、最初からラスボスがわからないといって、「問題がわからない」と思ってしまうのです。

RPGを進める方法こそが「基礎」

では、RPGをすすめるにはどうするか。街の人と話したり、雑魚キャラを倒して経験値をつけたり、ゴールドをためたりと。。。。。。泥臭いけど大切なことです。そしてこの泥臭いことを、効率的に着実に出来る方法こそ「基礎」です。


S君は「基礎的な解法」の達人だった。

S君の話に戻ります。彼は応用問題が解ける能力があったというより、「基礎的な解法」を無意識レベルに使いこなしていたのです。その上で多くの問題を解いていくと、応用問題も解けるようになり、その自分なりの解法を修得していったのです。これも考えて答えをだすというよりは、その問題に「基礎的な解法」を当てはめていると自然と答えが出た状況です。

S君になる方法はシンプル

さて、結論です。S君の勉強方法はとても単純です。「基礎的な解法」を使い多くの問題を解いていくということです。誰でもができる勉強法ですが、継続するのは難しいものです。この方法を授業で徹底的に生徒に実践していったところ、クラスの殆どの生徒は成績が急上昇していきました。

S君の勉強法を実践するには

S君の勉強法は、「毎日1万回剣を振れば、剣の達人になれる」といったようなもので、方法は単純んだが、実践が難しいものです。この方法を実践するには、、生徒の周囲の工夫と努力が必要です。
その話はまた別の機会に







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