見出し画像

子どもたちの遊びのなかにプログラミングを

プログラミングを学ぶことを通じて、子どもたちは多くのことを学んでいます。
プログラミングそのものだけでなく、考え方、身の回りに沢山あるコンピュータが埋め込まれたものとその仕組みへの気づき、コンピュータとプログラムへの興味関心、作品の製作方法、デザインなど。

小学校でのプログラミング教育実践のなかで、児童がつくったプログラムや作品、アンケートあるいは児童がまとめた感想などを分析していくと、児童の学びが多様であることが分かります。

Learning Learning

まなびをまなぶ。これもMITメディアラボのグループが使っていた言葉です。
考え方の学びについても、子どもたちの気づきをまとめてみると、思考方法(Computational Thinking、プログラミング的思考ともいわれています)の枠にとどまらず、「失敗したときは原因をたしかめるために、一つずつ変えてみる」ですとか、「~の時は、~さんに聞いてみる」、「まわりを見てまねしてみる」など、その場で個々の子どもたちが必要とする自分なりの学び方を学んでいることが分かりました。

何のためにプログラミングを学ぶのか。

このような多様な学びが生まれる可能性こそが、プログラミングを学ぶ理由だと、私は思います。Michel Resinick教授は、子どもたちが新しい表現手段として、プログラミングを使えるようになることをScratch開発の目的の一つに挙げています。

Personaly Meaningful Artifact

個人にとって意味のあるもの。前回のNoteに書いたように、プログラミングはものづくりの一手段です。ものづくりをしている際に多くのことを学ぶというのが、コンストラクショニズムの考え方ですが、ただ何をつくっていてもよいというわけではなく、Personaly Meaningful Artifact(個人にとって意味のあるもの)を作っている際に学びがあるといわれています。

せっかくプログラミングを学んだら、その授業だけでなく、普段の学習でも、さらには普段の遊びのなかでもプログラミングを活用してもらいたいと、日々の授業やワークショップをしながら思っています。言うまでもなく、遊びは何よりもPersonaly Meaningfulな活動です。
ようやく本題に入りますが、Scratchを使った遊び道具づくりをしてみましたので紹介します。

2019年のゴールデンウイークに、小6の息子と一緒に体を張って実験してみました。
正直にいうと、高校球児の長男はゴールデンウイーク中も毎日練習で、どこか旅行にいくでもなく、暇を持て余した親子が遊んでみたというお話です。

JR東日本で発売している一定エリア内乗り放題の「休日おでかけきっぷ」を買って、すごろくのように、サイコロをふって出た目だけ進むという単純なものです。新しくなったScratchはスマホからもプログラムと実行が可能なので、今回は遊び道具として、Scratchで何番ホームの電車に乗って何駅進むかをランダムに決定するプログラムを一緒につくって、それを持ちながら電車の旅をしてきました。

プログラムそのものはいたってシンプルです。

そのほか、細かなルールは以下の通りです。

*スタートはJR横浜駅。
*到着した駅でホームの数を確認して、プログラムを変更
*進む駅の数は10駅まで(途中から気が大きくなって15駅まで拡大)
*1時間以上先にしか、電車が来ない場合は再度引き直し。
*0が出た場合は、ラッキー。10駅まで好きな数を選択できる。
*おでかけ切符で行ける端まで着いたら終了。

1日の結果。こんなルートで移動しました。

1.横浜駅 7番ホーム6駅(上野東京ライン:横浜→尾久)
2.尾久駅 1番ホーム0駅*1駅を選択(宇都宮線:尾久→上野)
3.上野駅 1番ホーム2駅(京浜東北線:上野→上中里)
4.上中里駅 2番ホーム0駅*5駅を選択(京浜東北線:上中里→神田)

5.神田駅 5番ホーム4駅*終点のため途中終了(中央線:神田→東京)
6.東京駅 5番ホーム5駅(山手線:東京→品川)
7.品川駅 14番ホーム10駅(横須賀線:1時間以上先の電車だったため引き直し)
  品川駅 2番ホーム4駅(山手線:品川→恵比寿)  
8.恵比寿駅 2番ホーム1駅(山手線:恵比寿→目黒)

9.目黒駅 1番ホーム10駅(山手線:目黒→秋葉原)
10.秋葉原駅 1番ホーム5駅(山手線:秋葉原→王子)
11.王子駅 2番ホーム3駅(京浜東北線:王子→上野)
12.上野駅 9番ホーム4駅(上野東京ライン:上野→品川)
13.品川駅 13番ホーム11駅(総武線:品川→千葉)

千葉駅に着いたところで、二人ともぐったりして終了。

最初は順調に横浜駅から、東京駅、上野駅を越えて尾久駅まで一気に進みましたが、その後は京浜東北線で行ったり来たり、さらには山手線内に入ってしまい、出口の見えないときもありましたが、品川駅から千葉駅まで移動する神の一振り(品川駅:13番ホームから11駅進む)があり、充実感と疲労感でいっぱいになり終了しました。

このあと、せっかくなので休日おでかけきっぷで行ける端にある君津駅まで行き、木更津駅近くで晩ご飯を食べて家に戻りました。9時過ぎに出発して、22時帰宅の充実した1日旅になりました。

で、次は東京メトロの1日乗り放題切符を買って、すごろくの旅をしてみようと、Scratchでプログラムをつくってみたのですが、まだ実現せず。よろしければどうぞお使いください。こちらは何駅進むではなく、何駅に行くかをランダムに選ぶものです。新しく追加された翻訳と音声合成機能を使って、日本語、英語、中国語、韓国語でのアナウンス付きです。

https://scratch.mit.edu/projects/308730741/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?