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老人ホームをINNOVATION。そしてCREATIVEで、HAPPYEND HOMEに。     もがく施設長日記その②〜老人ホームは、今でも「姥捨山」なのか?


入居者も職員もHAPPYと思える場所づくり。

1)入居者ファースト、実は職員もファースト
 〜スローワーク、スローケア、スローライフを実践する。

①まずは、コミュニケーションを増やすために、生活環境と仕事環境を整える

 私がいまの小さな老人ホームの施設長に着任して6年になります(7年かも💦)。
 定員20名の軽費老人ホーム(ケアハウス)ですが、介護保険上では、地域密着型特定施設入居者生活介護のカテゴリーに分類される施設なので、要介護1以上の方が入居の対象になっていて、いわゆる自立型の一般的なケアハウスのイメージとはやや色合いが異なります。
 このnoteを書いている令和4年8月時点の平均介護度は3.4で、認知症と診断されていたり、生活の殆どの場面で介助が必要な入居者が約8割暮らしていらっしゃいます。ケアハウスというよりは、新型特養の一ユニットというイメージに近いかもしれません。(先に書いた「陽陽介護、やってみた」にも少し入居者の様子を紹介していますので、よろしければお読みください。)
 そんな方々を、HAPPYにしたい。少なくとも不安な日々を送る場所にはしたくないと毎日考えています。誤解のないように、そしていまケアしてくれている私の仲間たちの名誉を守るために言っておきますが、私の施設、いい施設だと思います。職員が粗暴で、マナーもモラルも存在していないような施設ではありません。いい仲間たちが集まってくれたなと素直に思います。もちろん、まだまだ発展途上にありますが、私の理念もじわじわ染み込んできつつあると実感してます。それでも、妥協したり、諦めたりすることをせず、入居する方ご本人やその家族はもちろん、地域の方々にとって、すべての関係者にとって、よりよい暮らしの場所になるように、四六時中思慮思案を重ね、創意工夫、試行錯誤の日々です。

 HAPPYづくりのためにまず、着任してすぐ取り組んだのが、入居者と職員のコミュニケーションを増やすことでした。私が目指す施設の暮らしのイメージは、休日のお茶の間の団らんの情景です。つまり事務的な会話や、介助行為中の声かけをコミュニケーションというのではなくて、職員が入居者の隣に座って、一緒にお茶を飲みながら、お菓子をつまんだり、テレビを見ながら生まれる自然で何気ないとりとめのないおしゃべりや、笑い合ったり、悩みを相談し合ったり、もらい泣きしたりする中でごく自然に生まれるやりとりがいつもそこにある風景です。
 寄り添う時間を創るには、いろんな工夫が必要です。6年だか7年だか経った今でも、毎年4月のキックオフ会議であの手この手の仕掛けを提案し、実践に移していますが、その果実はすぐには実りません。
 まずは、職員の多くが「仕事」だとか、「業務」だと言って、「忙しい」「忙しい」と右往左往しているそれは、実は「一番大切な責務」(寄り添うこと)を遂行しているのではなく、それに付随するやらねばならない「業務」(排泄、入浴、着替など)や「作業」「雑務」(配膳、洗濯、記録、処置など)に追われているのだと考えています。まずは、それらを簡素化、合理化、そして目的や意味、定義のみなおし、再構築を行いました。わかりやすく言うと、いくつもの用紙に同じ内容を記載していた記録やファイルを一本化したり、オムツやパットなどの性能を再度学び直し、オムツ交換の回数を減らしたり、職員が一方的に入居者を寄せ集めて無理やり「楽しい」を押し付けるだけの義務的レクを見直し、レクの定義を改めたりしました。例えば、私達の日常の休日(あるいは仕事や家事を終えたあとのプライベートな時間)を考えた時、気の合う仲間と映画や花火大会を見に行くのはイベントですが、普段は、好きな俳優が出演するドラマをみるのが楽しみだったり、好きなもの好きな時に食べたり飲んだりすることが幸せだったりするように、その小さなささやかなHAPPYの繰り返しを、「レク」と呼んでいいのではないかと思うのです。

 私の施設は、職員が入居者の隣に座って、お喋りしている風景がたくさんあります。入居者と一緒にお菓子をつまんでいたり、一緒にテレビやYou Tubeを見ていたり。「いい仕事してるね」と褒めてます。
 排泄介助や起こしたり寝かせたりする介助などに追われるのではなく、入居者が一番望んでいるであろう、不安や孤独を和らげるための寄り添いを大切にできる時間を生み出す工夫。それを、今日も明日ももがきながらひねる施設長です。(続く)
 
 
 
 


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