どうも、くらぃの作者らくらぃです。
逆らえない、逆らえないなぁ……
まーたパチ屋でスッてさぁ……いよいよ幻聴が聞こえるようになってきた。憐れみの声が聞こえるよ、「当たらないけどなんか演出好きなの見る？」って。パチ台が喋るんよ。もうなんかどれ打ってもダメなんだろうし、せっかくならアンタんとこでスらせてもらうよって、それで今日の当たり分返した。
本当は当たった時点で帰りたかったけど、母さんの意にそぐわないから全部使った。母さんが当たらなきゃ意味ない。俺が勝ったところで母さんは大して喜ばない。まぁそこについてはそれで良い。俺の勝ち負けまでじっくり見られたら本当にストレスになる、なんで負けたか明日までに考えといてくださいThe・リアルが始まる。いや考えてどうにかなるもんじゃねぇし、負けることなんか入った瞬間から決まってたと思うよ、今までどれだけここで金と時間を溶かしてきたんだろう、それらは本当に、母さんの安穏に替えるべき宝だったのか…？
後悔の声が聞こえる、さっさと逃げればよかったって。でも逃げたら母さん死ぬぜ？　ちょっと逆らっただけで発作起こすし、なんでもないことを一生引きずるし、今母さんを癒せるものといったらパチの当たり演出と、いつ飽きるか分からんアニメだけ。俺は母さんの人生に要らない存在だから、せめて理想の息子を演じておくしかない。

俺はね、優しいんじゃないの。逃げる度胸がないだけ。正しい振る舞いがあるとするなら母さんが死ぬリスクを犯してでも逃げるのが正しいってやつだと思う。でもそれを選びはしない。間違ってても母さんの側にいたい。どうしても、死なれるのだけは困る。どんなに母さんを厄介に思う日があろうが、母さんの事で頭とお腹が痛くなろうが、抑鬱になろうが死にそうになろうが関係ないね。母さんの命は守るべきだ。それが変わることはない。絶対に。

多分、愛なんて高尚なもんじゃないよ。逃げの正当化に過ぎないと思う。でもやっぱり何度考えても、母さんが死ぬのは違うんだって。俺がいなきゃ母さん壊れちまうって。俺より優秀で、俺とは違って人の心があって、俺より成功してる兄貴がいるけど、それでもなぁ……兄貴一人に任せられるとは思えん…でも母さんを死の瀬戸際まで追い詰める原因になるのも結局は俺なんだよな……本当に、俺のこのアスペルガーってやつは、身近な人ほど傷つけちまうんだ。皆が皆そうってわけじゃないけど、俺のタイプと母さんのタイプは最悪なんだよ。心底気が合わない、たまに本当に実の子か疑われるくらい性格が違う。アンタが否定しちゃ終わりだろって思うけど。

まぁ本当に、こんなゴミみてぇな習慣がいつ終わるか分かったもんじゃねぇけど、また明日も記憶を消して、なんでもない親子のフリをする。
こんなに耐えても何にもならない、でもそれ以上に俺のこの叫びが無価値だ。母さんに否定され兄貴に否定され、親戚に否定され友人にも届かない。医者がなんだ嗤うだけだ、一体誰がコイツを救ってやれるんだ？　俺しかいない、俺しか自分を救ってやれねぇんだ。逆に、俺が救ってやれるんだよ。孤独なら、独りで弧を描き、守ってやりゃいい。
それで精神病の扉を開くとしてもな……