10ヶ月の子供を乗せた状態で事故を起こした話



どうも。まなみんです。
東名の事故、怖いですね。続報を聞いてなおさら背筋が凍りました。
左にぶつかって、中央分離帯に…とのこと。

それ、私たちがやらかした事故と状況おなじですよ……?(白目)

そんなわけで、記憶がうすれるまえに書き留めておこうかな、と思いまして。
長くなりますが、よろしければお付き合いください。

まずは簡単に自己紹介。

わたし。
まなみんと申します。ネットで小説書いたり作詞したりしとりましたが、ほぼ休眠中……。ひとりめ育児中の母。
大阪出身の新潟在住。なのに免許持ってない。

くま。
旦那です。ボカロP。……こちらも同じく休眠中。車好き。生まれも育ちも新潟。

こぐま。
息子。わりとむちむち。ごはん大好き。事故当時0歳10ヶ月。

さて。

2016年、年末。
わたしの実家(のあった)大阪へ帰省してました。
赤子連れで長距離車移動は賛否あるとおもいますが……ほかにほとんどないからな……移動手段……大阪新潟間。
飛行機はありますが、むこうでの移動(奈良へいく予定もあった)、慣れなどもあり、車を選択。
行きは名古屋へ寄ったりしながらのんびりとした道中でした。

2017年入ってすぐ、新潟にむかって出発。
わたしが免許ないので、運転はくま任せ。ごめん。
道中かなりSAで休みながら、こぐまのお昼寝タイミングは距離を稼ぐ……ってかんじで進んでました。
休憩いれまくったのもあって、夜。
夕御飯をSAでとりました。わたしがこぐまのごはんなどを世話してる間にくまは仮眠。
3,40分は寝たかな?

その後出発。

ここでこれまで前向きにセットしていたこぐまのチャイルドシートを後ろ向きにセットしました。
体重的にもう前向きでも良かったので昼はそうしていたのですが、このあとは寝かせるので対向車のヘッドライトがまぶしくないほうがいいかな、と思ったのです。
うちのチャイルドシートはエールベベのクルットシリーズ。
座面が簡単にまわるので、付け替えとかもなく前向き後ろ向き選べるのです。
案の定、出発直後すやすやとこぐまは寝始めました。イイコ。

くまは運転席。こぐまはそのうしろ。
わたしはこぐまの横、助手席の後ろに座ってました。飲み物置き場の手すりも出して、くつろぎ体勢です。

道中はスムーズです。
この時期にしては珍しく雪も積もっておりませんでした。

くまは元々会社が自宅から遠く、毎日通勤でそこそこ長距離運転しております。
自宅まであと一時間もすればつく、というあたりでくまの会社の近くを過ぎました。
ここまでくれば、あとはもう「いつもの知った道」です。
くまが眠くならないように会話しながら進んでいたところ、にわかに空模様が怪しくなりました。
冬の日本海側はよく荒れるのです。

まなみん「うひゃー、雷すげー」
くま「だーねえ」

空はピカピカゴロゴロです。
時速は100キロ。追い越し車線でした。
突然、バラバラバラッ! と激しい音を立てて霙が降り始めました。
あ、これは危ないかも……と、くまはスピードを緩めつつ走行車線に戻ろうとしました。

これがきっかけでした。

くま「お……お? お、おお!?」

車体がふらつきます。お尻が振られます。

まなみん「くまっ!?」

こぐま乗せてんのに何してんの!?

……が、最初に脳内に浮かびました。このときはまだ、すぐに体勢を立て直すだろうとどこかで思っていたので、そんな感想だったのかもしれない。
でも、くまの「お、お」は止まらない。車体が振られて、からだも持っていかれる。咄嗟にこぐまの上に手を乗せる。こぐまはまだ寝てる。
次の瞬間。

バンっ!!!

音と同時に衝撃が来ました。

まなみん(あ。事故だ、これ)

ここで、体勢を立て直せなかった、事故だ、と認識。でもとりあえず生きてる。と思ったのもつかの間。

まなみん(……まだ止まらないの!?)

左の壁にぶつかった車は止まらなかった。
一瞬見えた運転席でくまが必死にハンドルを握っている。
視界がぶれる。体が持っていかれる。それでもなんとかこぐまに覆い被さる。こぐまは泣いている。生きている。死ぬかも。死なせない。止まれ。止まれ! 止まれ!!

ガンッ!!!

二度目の衝突音。衝撃。体が前につんのめる。

止まった。

くまが叫ぶ。

くま「大丈夫か!?」
まなみん「大丈夫!! こぐまも無事!」

叫び返してこぐまを見る。泣いてる。大泣きしている。でも、見た目では怪我はない。少しほっとする。
するとすぐ、車内がうっすらと煙っていて焦げ臭いことに気がついた。

まなみん「焦げ臭い……出なきゃ」

この焦げ臭さはエアバッグがひらいたためのものでしたが、その時はそこに頭が回らず、とにかく燃えたりしたらたまらん、っていうか後ろからも車来る。衝突されたらたまったもんじゃない。という気持ちで呟いたものでした。

震える手でこぐまのチャイルドシートのベルトを外し抱き上げる。

まなみん「こわかったねー、びっくりしたねー。大丈夫だよー、ママがいるからねー」

普段通りに声をかけながら抱き締めて撫でる。
外は霰。寒い。こぐまの上着は脱がせて助手席に置いてあったので取れない。座面に置いてあったスマホを手で探すが見つからない。焦る。仕方ない、長くここに留まれない。自分のコートをひっつかんで、後ろを確認。車は来ない。
ドアを押して外に出た。

寒い。冷たい。
こぐまの上からコートを巻き付け、フードを被せる。
こぐまは突然の外の空気に気が紛れたみたいで、泣き止む。キョトンとした顔で空と周りを見ていた。

くま「こっち!」

声に振り向く。見ると、くまが車の後方にいた。こちらも運転席から出れたみたいだ。
くまの手招きに慌ててそちらによる。
そうだ。ここは高速道路。後続車がいまいちばん怖い。
車の後方、ガードレールにぴったりと体を寄せる。
くまは車から傘を取りだし、渡してきた。受けとる。さした。くまはそのまま、トランクを開けて三角板を取り出した。

くま「出来るだけはしっこに!」

頷く。くまは三角板を掲げたまま、後ろに歩いていく。

この時、わたしもくまもすっかり頭から抜け落ちていたのだけど、本来ここでは発煙筒が必要でした。
どっちにしろ助手席の足元なんて、あの時点では危なくて戻って取れるような状況ではありませんでしたが…。

何台かの車がくまを避けて走行車線へハンドルを切って過ぎていく。
怖い。くま、死なないか。こわい。
が、本人はこの時そんなことはかけらも頭に浮かばなかったそうです。
少し先に三角板を置いてくまが戻ってきた。
車線にいたまま、後続車がこないか目をそらさないままだ。

まなみん「110したいんだけど、スマホ見つかんない!」
くま「わかってる! してる!」

気づくとかなりの雨になっていた。
こぐまは大人しく抱かれてくれている。

くまがスマホで電話するが、なかなか繋がらない。電波ではなく、どうもスマホが機能していない様子。
雨でぬれてるせいか(くまは傘をさしてないのでびしょ濡れ)、衝撃でおかしくなったか。
焦るが、何度もかけなおしてなんとか繋がり、話しているようだ。
雨音がすごい。
車の音も激しく、会話は聞き取れない。

電話がおわったくまが、ガードレールに寄ってくる。

くま「電話した。四十分くらいかかるって」

四十分!? でもまあそんくらいはかかるのか!?
この雨の中どうしたら……。ここで、四十分……?

くま「まなみん、ガードレールの中入れる?」
まなみん「あ、うん、やる。こぐまちょっとおねがい」

傘とこぐまをいったん預け、ガードレールを跨ぐ。
反対車線とこっちのガードレールの隙間だ。
ところが、ここ、高架なのか、足元が弱々しい網だけだった。下も見えている。かんかんと蹴ってみるが、頼りない。

まなみん「真ん中まではいけない。足元が不安」

それでもこぐまを受け取って、ガードレールの端っこに立った。

その時、不意に知らない男の声が聞こえた。

「おとーさん!! あぶないよ! おかーさんも!!」

声のしたほうに顔をやる。
車の前方だった。
破損した車の前に止めたのか、知らないおじさんが出てきていた。

「思ってる以上に走ってるがわからは危なくみえる!! こっちきたほうがいい! 車が盾になるから!」

心配して車を止めてまで忠告しに来てくれた第三者だった。
ありがたい。とはいえ。

くま「いや、こっちがいいんです! そっちは玉突きになる!」

……そうなのだ。前に出たくなるが、本来そっちは危険なのだ。

おじさん「いやいや、ほんとにあぶないから!! ちょっとでも盾になるから!」

くまが戸惑うような顔を見せる。

まなみん「すいません、ありがとうございます!」
おじさん「俺もずっとはいられないけど、気をつけて! 気をつけてね!!」

優しいおじさんは傘をくれた。
くまが受けとる。
去っていくおじさんを見ながら、くまが小声でささやいた。

くま「あのひとああ言ったけど」
まなみん「分かってる。知ってる。大丈夫」

短く答える。
私がおじさんに言い返さなかったのはいまここであっちこっち言い合っても無駄だというのと、気持ちを無下に出来なかったからであって、納得したわけではない。

桜坂やっくんの事故の時だっただろうか。
高速道路で事故を起こした場合どうすればいいのか、どこに身を置けばいいのか、一通り調べたことがあったので知っていたのだ。

車の前は危ない。後続車が来たときに気づけないまま、玉突きになる。盾にするつもりの車にひかれるのだ。

事故車の後ろ、ガードレールがわが一番なのだ。

雨がすこし、小降りになってきた。同時に車のスピードがあがってきた。危ない気がする。

くまが貰った傘をふるが、すぐに折れてしまった。

まなみん「スマホの懐中電灯モードとかで振ってもだめかな!?」

焼け石に水でした……。
くまは危険だと判断し、三角板をもう少し下げてくると言って歩いていった。
信じるしかない。
こぐまを抱えたまま、不安定な足元を気にしつつ、しゃがんだ。
こぐまが震えている。寒いのかもしれない。私も上着なしだし、寒くなってきた。私は耐えるが、こぐまが寒そうなのが辛い。
そうだ。ふと思い付いた。
今日の服、襟元を首の後ろのリボンで調節出来るタイプのチュニックだ。
リボンをはずし、襟元をゆるめた。

まなみん「こぐまー、ちょっとごめーんね」

こぐまをチュニックの中にいれた。顔を襟元から出す。その上からコートで包む。少しはましなはず。

くまは後続車から目を逸らさない。
後で聞いたのだが、警察からそういわれるそうだ。
壊れた傘を振り続けている。

と、そのとき。

がしゃん!!

と音がした。巻き込んだかもしれない。見れなかった。すごいスピードで走り抜けていった車がいたが、それだろうか。
くまは無事だ。
どれくらいたったのかわからなかった。

気づくと別の車?からおりてきたひとらしき三人が近くに立っている。
さっきの?? なんかちがう?

わからないままいると、ようやく警察がきた。
ほっとする。
とにかくこぐまがひえてたので、パトカーに乗せてもらう。パトカーは、私たちの車の後ろにいた。

パトカーの中で事情聴取。
わたしはとにかくこぐまを落ち着かせたくて、チュニックにこぐまをいれたまま、授乳した。

……いやもう、恥ずかしいとかパトカーでとかそーゆー話でもなく。とにかくこぐまに安心してもらいたかった。

こぐまはゴクゴク飲んで、落ち着いた。
それまで空気読んで?えらい大人しかったのに、いつものこぐまにもどった。

パトカーの座席でつかまりだちしてはしゃぎ、くまにだっこをせがみ、警察官の髪の毛に手を伸ばし……w

警察官に付き添われ、くまが一度車に戻ってこぐまの荷物一式と、わたしのスマホを持ってきてくれた。

救急車を呼びますか?ときかれ、大人は怪我はなかったが(と、思っていた)、こぐまは自分で何も言えないので念のためお願いしてきてもらう。

救急車の中でもこぐま大変元気でした……。
一通り服を脱がせて、救急隊員の方にみてもらったのだが、その最中も救急隊員の時計に興味をしめしたり、まわりのものに手を伸ばそうとしたり……。
大丈夫そうですね、といわれほっとする。
救急隊員は子供好きなのか、にこにこしてくれていて、ついでにオムツかえていきますか?とまで…。お言葉に甘えました。

その後パトカーにもどり、さらに事情聴取やら道路公団とのやりとり、お迎えの手配(義姉に頼みました)、などなど。結構時間がかかりました。

そのなかで分かったのは、とりあえず怪我人は出ていないこと。

私たちが事故ったあと、三角板をかかげるくまに驚いて(急にひとがあらわれた、と仰っていたそうです)、
あわててハンドルを切った車が一台事故ったこと。
この車はあのとき走り抜けていった車で、前輪だかサブタイヤだかを転がしたこと。

そのタイヤを腹で引きずった車がいたこと。
それが、あの三人組だったこと。

その全員がなによりお子さん大丈夫?とこぐまを心配してくれていたこと、でした。

申し訳ない。そしてやさしくてありがたい。
こぐまは無事です。

道路の整理がおわり、パトカーが近くの料金所までつれていってくれました。
高速道路を降りるときに、くまが謝りにいったのですが、そのときもこぐまを心配してくださっていたそうです。

料金所の建家で、保険やさんと電話。レッカー担当のひとがくるまで待機。そのとき、こぐまはさすがにつかれたのか眠っていました。
9キロ重たい…。

まなみん「くま、体は?大丈夫?」
くま「たぶん…」
まなみん「いま、興奮してて感覚あてにならないからね! ちゃんと気にして!(キリッ」

くま「あたまぶつけたのか、ちょっといたい。たんこぶ。あと、腰…? と、胸か」

まなみん「ほらー! あとでちゃんと病院いくよ!(キリッ」

…………。この時、自分は何ともないと思ってましたが、一番自分が興奮してて感覚あてにならなかったようで、わたし、脇腹強かに打ち付けて痛めておりました。
翌朝気がつきました。
こぐまに覆い被さったときに、出していた後部座席の手すり(のみものいれとかあるやつ)に盛大にぶつけていたようです。
そして、シートベルトのあともくっきり赤くなっておりました。

いやもうほんとに。
こういうときの自分の大丈夫はあてにならないので。
ちゃんと意識しましょうね。

その後、義姉さんにきてもらい、レッカーされる車から荷物を全部おろし、お家までおくってもらいました。
新年早々ほんと、申し訳ない。

こちらが、そのとき、廃車になった車です。
守ってくれた子です。本当にありがとう。


以上が、事故の顛末です。
これを持ってなにより私が言いたいのは、


シートベルトはちゃんとしようね!!!

守ってくれるよ!!!!

こんなんなったけど、


守ってくれた証拠だからね!!!!

そして。

小さい子には絶対! 絶対!!!!! 絶対に!!!!!!!

チャイルドシートを!!!!!!!
つけて!!!!!!!!!!

そして、出来るだけ後ろ向きで!!!
これは偶然でしたが、ほんとによかった!!!

ちゃんと、つけよう! いのちづな!!!!!


ってことです。
それがすこしでもつたわれば、いいな。


後日談。

初詣もまだだったし、厄払いもかねて、と、二日後、神社にいきまして。
くまが、おみくじひいたんですよ。

……大吉。


いやいやいやいや、と中を見ましたらね。




……事故に注意!!!!!!

……おそいよ、かみさまー!(涙)

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