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金縛りの話

金縛りは、科学的に証明されている現象である。だから、心霊現象などではない。

ネットで調べるとこう出てくるので、金縛りにあったときにはこの事実を必死に思い出して、 怖いという思いを消そうとする。
でも、やっぱり金縛りにあうと怖いという感情を捨てきれない。

金縛りにあったことがないという人がいるが、本当に羨ましい。
金縛りにあったことがない人は一度あってみたいと言うが、それは金縛りにあったことがないから言えることなのだ。

私は何度も金縛りにあったので少しは慣れてきたが、それでもまだ怖い。というのも私が金縛りにあうとき、いつも夢と現実の間のようなところで動けなくなり(おそらく幻覚をみている状態)、さらに幻聴もきこえるからである。

例えば、まさに寝ている場所、わたしの家の布団の中にいるというシチュエーションで、知らない人が刃物を持って家に入ってきて、布団に近づいてきてるのに動けない、という夢の中(幻覚)で金縛りにあったり。

この間のものは、海の中に潜っていて、水面の方に行こうとしたら子どもに足を引っ張られて、なかなか空気が吸えなくて苦しむ夢の途中で、途中から布団にいるのに、そこが水面で息ができない状況で金縛りになっていた。

夢(幻覚)と金縛りがセットになっていないことも多い。
そういうときは、布団の上で全然動けない状態で声が聞こえる。あまりに何度も金縛りにあったので、聞こえてきた声のバリエーションもけっこう豊富だ。

幻聴で一番怖かったのはやはり、低い男の人の唸り声で「ウォォォォォ...」という声がなかなか鳴り止まなかったときである。その次は何人かの女の人の悲鳴が聞こえてきたとき。

他にも、子供の声が聞こえてきたことや、英語で会話している声が聞こえてきたこともあった。その中で、 あまり怖くなかったことが一度だけあり、それはラップが聞こえてきたときだった。
ラップ音ではない。音楽のラップだ。このときはさすがに怖いという感情は生まれず、早く終わらないかなーと願うのみであった。

金縛りは心霊現象などではなく、睡眠障害の一種らしい。本来ならノンレム睡眠(脳の睡眠) から入るべきところを何かのミスでレム睡眠(身体の睡眠、このときに夢をみる)から入ってしまうと金縛りにあうとされている。

通常のレム睡眠なら夢をみている状態なので、夢の中で身体を動かすことができるが、金縛りにあうと、まだ脳は眠っていない状態のため夢世界はなく、身体が休息状態になっている現実世界の方の身体を動かす命令を出そうとするため、金縛り状態が発生していると考えられている。

よって、金縛りは非常に現実的な夢を見ているのに、身体を動かす命令は、身動きが取れない現実の身体に出ている状態と言えるらしい。
そして、金縛りが起こりやすい条件は、睡眠時間の乱れ・過剰な疲れまたはストレス・就寝前に眠りを妨げる行為をする10〜20代の若者らしい。私が1週間毎日のように金縛りにあっていたときは、これらすべてにあてはまることをやっていたと思う。

課題に追われ、毎日制作して脳が興奮した状態のまま夜中の3時か4時に布団に入って、寝たと思った瞬間15分くらいで金縛りにあって起きるという頃があった。しかも寝る前にはコーヒーを飲んだり、ブルーライトを浴びまくっていた。

今から考えると、金縛りにあう条件が整いすぎている。
今は気をつけているけれど、それでもたまに金縛りにあってしまう。
でも金縛りにあっても忘れないで。金縛りは心霊現象ではなく睡眠障害なんだから! と、金縛りにあったときにはいつも自分に言い聞かせている。

と、これまでは2年ほど前に書いた話。
つい昨日久しぶりに金縛りにあって起きたので追記しようと思う。

夢の中で、今の自分の家の玄関のポストをふと見ると、私のアパートの部屋の前をウロウロしている影がみえた。その影がだんだん近づいてきて、なぜか家の中の家具にその影がうつっている。と思った瞬間、私が寝ているベッドの近くに誰かが立っていた。

中学生か高校生くらいの、素朴な感じの女の子が立っていた。制服を着ていたと思う。不思議とその子からこわい感じはせず、私の方を見ているけどなんでいるんだろう…というかんじで、いるなあ…と思いつつ身体が動かず、ああこれは久しぶりに金縛りだと思いつつ目が覚めた。
身体が動き出してから少しこわくもなったが、男の人が刃物持ってた夢に比べると全然こわい感じがしなかったので、引かずらなくて済んだ。

子どもの頃は、こわい夢と金縛りのコンボにあったときに絶対に一人暮らしはできないと思っていたのに、意外とできている。今でも嫌ではあるけれど、少しは強くなったかもしれない。

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