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『ピアッシング』&『新聞記者』

仕事が終わってから、シネクイントで『ピアッシング』を鑑賞。映画デーだったので1100円だった。村上龍の原作小説を元にした作品。
アイスピックで自分の娘を刺したいという衝動のある主人公の男が、SM嬢を呼び出してその欲望を叶えようとするサイコスリラー。ところどころエロティックで残酷な描写があるのだが、なんか突き抜けない感じで、半立ちみというか射精だったり、オーガニズムを感じるようなことはないといった印象だった。
原作小説を読んでから行こうと思ったけど、未読なままだったのでどのくらい原作に沿っているのかわからない。もっと変態な方によってほしかった。
幻冬舎が出来た頃に村上龍さんが書いていたテーマのひとつがSMだったと思う。また、彼は流行や当時の文化みたいなものを小説で書いてた部分があった。SMにおける関係性などは先見の明があったように思える。だた、それが、「わたしSなの」「わたしMなの」みたいに日常会話においてSMにおける単語が一般化してしまっているので、そうするとこの作品で描かれているものを見ても、わりとこういう世界あるんだろうな、僕の知らないとこでは、とか冷静に見れてしまう。つまり、原作を用いて作るのならもっと監督の変態性や性癖などを突き詰めないとインパクトは薄くなってしまう。


9時過ぎに起きて、ユーロスペースまで歩いていき11時から上映の『新聞記者』を鑑賞。火曜日サービスデーだったので1200円。内容と言い時間帯と言い高齢者が多かった。前日には香港で議会が数百人に占拠された。世界はリアルタイムでそれを見たことになる。では、日本は? という問いかけも含めて森友・加計学園問題、安倍政権のお友達のジャーナリストの準強姦訴訟などが物語の中に入っている作品になっている。
監督の藤井道人さんの作品は『デイアンドナイト』しか観ていないが、今作と共通するのは人にとって正義とはなにか? ということだろうか。自分ではなく、組織や大事な人を守るために人は犯罪を犯したり、あるいは正しいことをしようとしているものを排除しようとする。
『新聞記者』ではジャーナリズムを通して正義を描いている。官邸からの圧力なども描かれている。また、内閣情報調査室の官僚エリートは自身が行なっている仕事に疑問を抱きながらも、外務省に戻りたいので我慢している。妻ともうすぐ生まれてくる子供のこともあり、仕事を失うことはできない。
官僚エリートの杉原の上司の多田が日本にあるのは見せかけの民主主義だというのが印象的だった。物語は政権が覆るような問題について新聞記者である吉岡と杉原が協力してスクープを出すのだが。最後の杉原と吉岡の表情がまさに今の日本そのものだった。

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