本屋大賞＆直木賞受賞作である恩田陸さんの小説『蜜蜂と遠雷』の映画化作品をTOHOシネマズ渋谷で鑑賞。かつての天才少女だった栄伝（松岡茉優）、参加年齢ギリギリの妻も子供おり仕事をしながら参加した高島（松坂桃李）、名門音楽院在籍中のマサル（森崎ウィン）、亡くなった世界最高峰からのピアニストから推薦状と共にやってきた風間（鈴鹿央士）の四人がメインで物語は進み、ピアノコンクールの予選会で誰か勝ち抜くのか、というもの。

音楽の神に愛されるのは誰か？　天才とは何か、努力や発想で覆せるのか。映画なのでピアノを弾くシーンも音ももちろん鳴っているから説得力がある。しかし、原作は未読だが、二冠を達成しているし恩田さんなので間違いないはずだが、小説で音は鳴っているのだろう。文字だけの小説から解き放たれるリズムとハーモニー、それはほとんどの人が書くことのできない領域だ。映画の出来はよかった。となれば、小説はとんでもないクラスであることが逆説的にわかる。

あとは『万引き家族』でも評価された松岡茉優にとっては主演であり、物語のメイン的な人物であるのでこれは代表作的なものになっていくのかもしれない。あとは松坂桃李は地味な人物を演じさせると余韻があるので、主役ではなくてもこれからバイプレイヤー的な味のある役者の側にもいけそうな。あとは審査委員長を演じていた斉藤由貴さんはこのところいろんな作品で観るけど、存在感のある役者さんとしてもっと重宝されていくんだろう。