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約束を果たしに練馬区・ゆめりあホールへ。

こんにちは。
「0歳からの音楽と演劇の場を当たり前に」
言葉と音の本棚 キッチン・ワルツ代表保田真奈です。

今日は特に、小さなお子さん連れのお家の方に
「こうだったらいいな」と思うことは、ぜひ声に出して伝えていただきたいとお伝えしたいと思います。練馬区の方から希望と熱をもって発せられたそんな声が、いくつかの小さな奇跡を伴って実現に至った小さなエピソードをご紹介します。
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天気の優れない日が続きますね。
小さなお子さんとお過ごしの方は、お外で遊ばせたり児童館へ出かけることも難しく、雨にお困りの方もいらっしゃるかと思います。

私達は先日、板橋区立グリーンホールにて公演「0歳からのコンサート&親子あそびとまなびの講座」を終えました。
その日の雨は小さいお子さんたちの味方でした。
午前の開演前には上がってくれ、当日券のお客様も驚くほどお越しくださいました。「午前の回を見たお友達からの紹介でやってきました」と午後の回の当日券をお求めくださった方も!
本当にありがとうございました!
さて、私たちは10月7日、練馬区に進出します。
なぜ練馬区で?早速、ご紹介します。

1.続:「それは文化会館の地下室で」

先日板橋区についてのnoteに記載した記事「それは文化会館の地下室で」
よりお客様と音楽・演劇の境界線を曖昧にすることを求めて板橋区で試験的に開催した限定15組のちいさなイベント「パパ、ママ!グランドピアノと歌おう!」。
こちらに、お隣の練馬区からお越しくださった一人のママさんがいました。
「私の住まう地域にはこのような催しがまだまだ少ないように思われて…
ぜひ、練馬区でもやってくださいね!」
「はい!ぜひ伺います!」

赤ちゃんの身支度を終え、笑顔で会場を後にした愛らしいママさんの笑顔。
そんなにも直接的に望まれたことがなかった私たちに、余韻が残りました。
鉄琴をふわふわのバチで叩いたような余韻です。
ポーン、ポーン、ポーン…
同日は、ご縁をいただき杉並区の親子かふぇほっくるさんで別のイベントに出演。板橋区で生まれ育ったキッチン・ワルツに、新たなフィールドが見えた、2014年のある1日でした。

2.練馬区にはつてがない
その後、私達は板橋区に続き、ご縁をいただいて杉並区、江東区と活動を拡げます。練馬区のママさんが忘れられずにいたものの、なんのつてもありませんでした。
練馬区もキッチン・ワルツ二人の居住地ではない。
地域に根ざしたNPO法人などにもご縁がなく、会場予約の優先権もないので良い会場も抑えにくい。
どんなホールがあるかさえも把握できていない。
会場の立地や性質は私たちにとって重要です。
雨が降ったときに小さなお子さん連れでお越しになるには一苦労。
できるかぎり、駅から5分以内でお迎えしたい。
2階以上ならエレベーターはあるか。何人入れるか、安全面は…

ご縁の太くなった自治体での開催が続き、
いつかは練馬区でも、と思ううちに私たちキッチン・ワルツは同じ年に出産を経験しました。

さて、キッチン・ワルツの「育休明け」。
産んでいよいよ、私たちのつくりたかった場に強い思いを寄せていました。
「日曜・祝日に安心して子どもを遊ばせられる場所が少ない!」
「3連休、行き場に困る…」「子どもがエネルギーを持て余してるのに、雨…」
と、気づきの連続でした。

協力者を得られたので、今まで手を回せなかった、未開の地の会場探しも精力的に行いました。長期的な計画を練るためです。
そこで、ふっと思い出しました。
「そうだ、練馬区の約束を守りたい。」
練馬区でも探しておこう。会場を調べました。
おやっ、「ゆめりあホール」?ちょうどいい大きさ!
でも平日しか空いていないや…。
キッチン・ワルツでの検討結果は、「平日の午前中に試しに一度やってみようか!まずは直近の公演準備に勤しみ、後ほど日を検討して予約しよう」。

3.奇跡が重なりそう
さて、ゴールデンウィークの公演も終わり、ゆめりあホールについて調べ直しました。すると、文化財団のHP情報に「10月末までに文化会館かゆめりあホールで開催する高度な文化芸術に支援を行います…」との募集情報が。

これだ!
このタイミングで、こんな募集があるなんで私たちには奇跡。
でも、10月末までの会場を予約できていることが必須です。
もう6月も終わり!
かつ、勿論申請したすべての団体が支援を得られるわけではありません。
それでも。「平日の午前中、この機会を利用してやってみない!?
早速ピアニスト・ひろかちゃんに連絡しました。
すると、ひろかちゃんから吉報が。
「奇跡的に10月7日があいてるよ!3連休の真ん中だよ!前は埋まってたのに!」

あの、鉄琴の音がなりました。
ポーン。

4.ゆめりあホールで、夢を現実に。
私たちはそれはそれは大慌てで申請資料を作成しました。
申請締切まであと4日。
-窓口に行かなければ予約できない会場。
-会場を予約しなければ申請できない支援制度。
-支援が受けられなければ、地域の人に知ってもらう方法が何一つ無い、「丸腰」での開催。
そんなことになれば客席はがらんどう、大赤字です。
私たちもお客様ではない別のところから報酬を頂戴して無料でお楽しみいただけるコンサートに出演することがありますが、このような活動は赤字では継続することはできません。
それはいずれ、0歳から親しめる場を減らしてしまうことに繋がります。
そうならないための工夫を、必ずどこかでしなくてはならないのです。

さて、その時の私たちふたりの様子を音で表すならば、
グヮタグヮタガチャガチャぶるぶるバシーンどきどきビューン!
もう、しっちゃかめっちゃか。
「私が行くまで誰からも予約が入りませんように!」
願いは叶い、会場予約も間に合いました!

もちろんいつも健やかであるように願い、気を配っていますが、
この間はいつも以上に「どうか娘がお熱を出しませんように…」と祈っていました。
娘も、練馬区での約束を果たすことに一票投じてくれたようです。
翌日、なんとか手分けして作った資料と、ありったけの私たちの活動を伝えるプレゼンテーション資料を握りしめ、財団の窓口へ時間内にたどり着きました。

「きっとあのママさんとの約束を果たすんだ!」

5.文化振興財団の女神が微笑んだ
事前に、ご担当者に資料をお持ちする旨を電話しました。
なんて、まろやかで優しい声!
直接伺うと、ご担当者Jさんは、江東区で私たちを手厚く支援してくださった、うんとご親切なあるママさんにそっくりではありませんか!
私の心の扉はもう全開です。正直に打ち明けました。
「大変お恥ずかしいのですが、今回お出しする申請書において考え方が合っているかわからないのでアドバイスをいただけないでしょうか?」
Jさんがにこやかに、大変丁寧にアドバイスを下さいました。
申請は、無事受理されました。

***

しばらくして、その通知が届きました。
帰宅直後、リュックも降ろさないうちに開封しました。
結果は…「支援します」!
「よっしゃあ!」
お見えになっていた義理のお母さんの前で雄々しいガッツポーズをして驚かせる程、嬉しかったです。

予感の鉄琴の音が、今や和音になりました!
その軽やかなメロディが私を家中踊らせました。
義理のお母さんのいる前で。

さて、会場の下見に行きました。


ここはクラシック演奏に適した、反響の良いホールです。
ろかちゃんのクラシック音楽演奏の練習意欲を掻き立てました。
これまでキッチン・ワルツが上演したホールの中で、もっともピアノの響きが豊かにお子さんに届くのはこのゆめりあホールです。間違いありません。
ひろかが心を込めてお届けします。
鍵盤から上質なまま届く、音の震え。
耳だけでなく、胸や肌で受け取ってください。

床にしっかり固定された布座面の椅子が並び、ちょっとリッチな気分です。
立ち上がりたいさかりの9ヶ月くらいのお子さんがちょっとくらい動いても安心できそうです。

一方、舞台でよく見るホリゾント幕(照明で照らす、白い再背面の幕)も、
出演者を追うピンスポットも、効果的に彩る照明機材は基本的にはありません。9月のホールとも違い、授乳コーナーやオムツ替えスペースも会場とは別室です。(同建物内にございますのでご安心下さい)

でも、私たちは光の演出も諦めません
魔神たちがきっと、小さなお子さんの目に幻想的な世界を映してくれますよ。


さらに、このホールの素敵な点は、舞台への架け橋に安定した低い階段があること!舞台そのものも低くて安心です。
これを利用して、小さなお子さんたちにミニステージ体験をしてもらうことを予定しています。

「あなたが生き生きと楽しそうであることは、私たち大人にとって希望です。やってみたいことはぜひ挑戦して。ほら、大人たちが拍手を贈って見守っているよ。みんな、あなたたちを応援しているよ。」
小さなお子さんたちへ、そんな気持ちも届けたい。

さあ、光を浴びて、舞台の上へ。

6.声に出した希望が叶う世界でありますように
今回、練馬区の支援を受けての実現のため、練馬区にお住まいの方を3名ご招待することになっています。
そのお申込み締めきりは本日23:00。
練馬区の方は、ぜひご住所を添えてWEBからお申し込み下さい。

このようにして、「私の地域でもやってほしい」という、練馬区にお住まいの方の希望が、いくつかの小さな奇跡を伴って実現に至りました。
あのママさんの直接的なお声がけがなければ、私たちはきっとここまでエネルギーと勢いを持って練馬区への進出をしませんでした。
あのおかげで私たちは新たな地域の人々と出逢い、財団の支援を受けて、さらには「ミニステージ体験」という試みにも臨めそうです。

私自身、育児を通じて「こうだったらいいな」「ああだったらもっといいな」と思うことがたくさんあります。
前向きに、声を出して発すれば、実現するかもしれません。
子どもたちにとってそう信じられる世界でありますように。
まずは一歩、私たちから。
練馬区の皆さん、こんにちは。

10/7(日)0歳からようこそ!
歌とピアノのハッピーファミリーコンサート
ドラマなおんがくひろば「かいじゅうさがしに動物園へいこう!」


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