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マイネクライネヴェルト

日の登る国で生まれた僕は世界に憧れた。

 外の世界に憧れを抱いたのは、きっと小学生の頃だ。週末になると父親と一緒に借りてきた洋画のDVDを一日中見ていた。人気の新作はもちろん、アクションやコメディ、戦争系にヒューマンドラマなどありとあらゆる洋画を見た。ラブロマンスを見て少し気まずい雰囲気になったことももちろんある。そして、家族みんなでのイベントと言えばキャンプや旅行ではなく、ハリーポッターの新作を映画館に観にいくことだった。
こんな家庭環境だったおかげで、小さいころから外国に興味を持っていた。しかし、

中学生の僕はまさかの英語が苦手だった(笑)

洋画を見ていたけれど、吹き替え版だったので英語には触れてこなかった。さらに単語を覚えるのがどうにも苦手(今も苦戦する)で、意味不明な文字が並ぶ英語が嫌いな教科だった。

そんな僕は、大学に行くために高校生で英語を猛勉強した。覚えていない単語帳を折り曲げ勉強した風な達成感に浸り、リスニング力を向上させるために洋楽ばかり聞いた。そしてなんといっても、生のネイティブ英語を身に着けるために英国のサッカーを見続けた。
これを三年間続けた僕は進路相談のときに、将来やりたいこととして「世界を駆けまわる仕事がしたい」と堂々と答えた。そして、


大学受験、見事に失敗。

そんなにうまくいくわけがない(笑)英語を一生懸命に勉強している人達、ごめんなさい。地元の大学の英語学科に合格できず、絶対に行かないと腹を決めていた東京の大学へ進学。
この上京が、僕の人生における大きな分岐点だ。
英語を専攻した傍ら、僕は第二外国語としてドイツ語を選んだ。英語と似ているし、ヨーロッパだし、ビール美味いし、サッカーも強い。これ以上に理由なんていらなかった。
そして大学3年生の時、ようやく憧れの世界へ飛び出すチャンスが訪れる。留学だ。小学生の時から憧れ、苦手だった英語を克服し、世界を飛び回る仕事に就きたかった僕は、 

ドイツへ留学した。
 

そう、イギリスでもアメリカでもシンガポールでもない。僕の1年間の留学先はドイツ連邦共和国だった。一生懸命に英語を勉強している人達、ごめ(以下略)。
もちろんアメリカやイギリスに行きたかった。そのために英語を勉強してきたし、大学に入ってからもずっと良い成績を収めてきた。しかし、英語圏の留学の枠はとても少なく、僕の英語力では到底無理だと感じた。
それに比べて、ドイツはそもそも希望者が少ないし、奨学金も出た。それにビールもソーセージも美味しい。しかも、最悪ドイツで英語を勉強すればいいとさえ思っていた。

そして、夢にまで見た映画の世界へ
ずっと憧れていた外の世界だったが、現実は映画のようにきれいではなかった。言語の壁に躓き、生活の違いに戸惑い、何度もホームシックになった。映画で見た煌びやかな建物は、自分の目にはただの建造物として映り、映画の役者だった人々はただの一般人だった。憧れが現実になり、そして日常になった。そして思ったのは、 

世界は一つではないということ。 

留学中だけでなく、帰国してからも色んな世界を見て回った。
日本から飛び出しドイツで現実を知った僕は、ヨーロッパだけでなく、アメリカやアジアも見て回った。
そこには自分の世界にないもので溢れていた。言葉、習慣、食べ物、人間、全てが違った。もちろん似ている部分はあるけれど、同じものは一つもない。そんな世界が196個もある。

もし、今住んでいる場所が息苦しいかったり辛かったりしたら、無理してまでそこで生きる必要はない。
きっと地球のどこかに、君が心から楽しめて今までの悩みがちっぽけに見える世界があるはずだから。

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