極楽征夷大将軍

久しぶりに小説を読み切って面白かったので、書き記しておこうかと思いまして。

極楽征夷大将軍という本なのですが、どの将軍かと言うと室町幕府を作った足利尊氏で、この本の帯の紹介文に書かれてるのは、“やる気なし使命感無し執着無し なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?”と書かれており、実際に読んでると尊氏がのび太みたいにダメな感じだけど、それがおかしくて、それでいて優しくて、周りが勝手について来て、ドンドン出世していくけど、本人はのんびり暮らしたいだけ…と言う感じで、笑いながら読みました。

実際の尊氏も面白くて、鎌倉幕府を裏切り、後醍醐天皇も裏切り、でも本当は裏切りたくなくて、罪悪感ですぐ引きこもったり、出家しようとしたり、すぐ諦めて死のうとしたり、政治は弟の直義に任せっきりで、でも戦は強くて(のび太は狙撃が上手いですね)、弟のピンチには絶対助けに行くという、しかも割と負けるけど最後には勝つという主人公感もあります。
ちなみに、気前が良すぎて部下に所領を適当にあげまくって、かなり被りがあって、部下通しで揉める事になったりしたみたいです。

引きこもったりする一方で、普通大将なんて戦場では後ろにいるのに、尊氏の場合は、実際に戦場では前線で戦っており、部下にやばいっすよ。と言われても「死ぬ時はどうせ死ぬし」と言ったりで、躁鬱病だったのでは?とか、行動原理がわけわからんとか色々と言われてたみたいですが、最近の研究されてる先生達は、詳細は省きますが、ちゃんとそういう事じゃなく行動原理はわかると言われてるみたいです。

そんな尊氏を軸に、弟の直義(ただよし)と側近の高師直(こうのもろなお)の目線で交互に、しっかりと歴史の史実に沿って、物語が展開されます。

直木賞受賞作でそもそもすごいんですが、僕としては、最近、足利将軍や室町幕府が鎌倉や江戸に比べて地味なので逆に気になってて、詳しい人のYouTubeを聞いたり、関連本を読んだりしてたので、理解しやすくて読みやすかったとも思うのですが、この時代の歴史に詳しくない人たちからすると人の名前が難しいかもしれないです。が、尊氏の事がみんな好きになると思うので、是非読んでほしいなと思います。

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