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小学館「Domani」広告の件と、雑誌リニューアルを読者はどう受け止めているのか

先日、小学館「Domani」の駅内広告が炎上…まではいってない気がしますが、話題になりました。

私が知ったのは3月4日(月)かな?調べたら3月1日には言及されていました。

ツイートをきっかけに広告を見ましたが、今回の話は、個人の好みの問題が9割といった印象です。(画像はハフポストの記事より転載)

「働く女はオス」は、なぜダメなのか(治部れんげ)

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第一印象

広告コピーを見ても「アウト」まではいかない。これは炎上マーケティングであって、ギリギリの線を狙ってやったのだろう、と思いました。(狙ってやったか、本気で良いと思ったか、真実は不明です。)

ちなみに、編集長は井亀真紀さんという女性です。「Domani」だけでなく、「CanCam」の編集長も経験している方なので、”分かってやってる”(炎上マーケティングでは?)と推察しました。

広告に書かれたキャッチコピー

折角なのでキャッチコピーを書き出してみました。

今さらモテても迷惑なだけ。
忙しくても、ママ感出してかない!
中途半端なイクメン気どりなら、むしろワンオペのほうが100倍楽。
”ママに見えない”が最高の褒め言葉♡
ちょっと不良なママでごめんね💦
助手席じゃなく運転席の女でいたい。
「えっ、お子さんいらっしゃるんですか?」
〇〇ちゃんのママ、、本日休業中。
(正直、ママ友同士のつきあいが苦手…。)
働く女は、結局中身、「オス」である。
ママは天使じゃない??
ニッポンのワーキングマザーはかっこいい!〔ドマーニ〕

率直に言って、私は「古い」と思いましたが、これらのキャッチコピーが好きな人もいるし、いてもいい。個人的には、性別役割分業を引きづった表現(働く女は、結局中身、「オス」である)だけは、外した方が適当だと思いましたが、あっていい表現だと思います。

ニッポンのワーキングマザーはかっこいい!

サイトも見に行きましたが、結局、「Domani」という雑誌は、このコピーに尽きるかなと。他のコピーもすべて、母親に対する褒め言葉でしょうし、褒め言葉として受け止める読者に読んで欲しいのだと思います。

また、今回の炎上で存在を知った人も増えた。存在を知ってもらうことは重要であり、大きなメリットだと思います。

「VERY」との比較

Googleで「Domani」と検索した際の結果がこちらです。

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比較として、私が「逆張り?」と感じた「Domani」のライバル誌「VERY」の検索結果はこちらです。文章が途中で切れていますが、全文は「結婚、出産、育児、復職。次々と転機が訪れる女性の為のライフスタイル&ファッション誌」です。

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「VERY」は好評

私の周りで起きていることとして、TwitterなどSNSで「VERY」の記事を話題にする機会が増えました。それをきっかけに私も手にする機会が増えています。

1回目は2019年1月号。Togetterにまとめられています。

VERY1月号の記事が話題に(Togetter)

2回目は2月号。表紙ではわかりませんが、この号では「便利家電」を特集しています。読んだ人から参考になったと聞きました。

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これは2017年3月号の記事をWEB掲載したものですが、2017年には育休の女性が4月から復職するのに合わせて便利家電を紹介していたようです。

「VERY」は図書館や病院でチェックして、内容が良さげなら買うんですが、私も、子育て系の情報は論理的で頑張ってない、適度に力が抜けた記事が多くて読みやすい、参考にしやすいと感じます。

「Domani」は2019年2・3月号からリニューアルしてる

「Domani」は2019年2・3月号から、”ワーママ向け”に生まれ変わったようですそれまでは30~40代の独身含む女性のライフスタイル&ファッション雑誌でした。

一応、広告だけでなく…と、雑誌(最新の2019年4・5月号)を立ち読みしたら、表紙モデルも一新した感じでした。記事は好みによるけど、個性的な印象を受けました。偏っているとは言えませんでしたが、私の好みには合わない雑誌のようです。

例えば、表紙。たしかに、これを「センスいい」「子どもの文字の使い方が良い」て意見もありました。一方で「ママと呼ばれたくないのにオカンなら良いのか?」「怖い…」「呪いみたい」といった声もありました。賛否両論。

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読者はどう考えている?

表紙画像を転載するために、Amazonに行ったら、レビューの点数が低くて。荒らし?と思ったら、元からのファンの悲痛な声が多かったという…。

折角なので、レビューを紹介します。

2018年11月号

リニューアル以前。通常運転の頃です。「仕事も、おしゃれも、楽して楽しく!」がキャッチコピーだったようです。

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内容紹介
働くアラフォーの秋は、スタバ配色さえあればいい/トレンチの代わりにジャケット

レビューは1件で★4でした。ファッション誌はレビューゼロも多いので、1件でもあるのは良いような気がします。

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2018年12月号

多分、リニューアルを発表した号。月刊はここまでで、以降は2か月に1回の発刊に減ります。

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内容紹介
”THE日本人体型”じゃ、ダメですか!?

レビューは8件あるのに、すべて★1。擁護派ゼロですね。

レビューを読むと、リニューアルへの言及は1件で、多くはこの号の内容の悪さを指摘しています。特に「THE日本人体型”じゃ、ダメですか!?」という特集への批判が多いです。

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2019年 2・3月号

リニューアル最初の号。ここから2か月に1回の刊行になります。「ママと呼ばないで」「脱ママ!脱モテ!脱真面目!」といったコピーが躍ります。

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内容紹介
かっこいい「ワーキング・マザー」の一冊丸ごと”黒”スタイル

レビューはなんと、25件もついています。ファッション誌として最多では…?と思えるレベルの量。80%が★1でした。

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「役に立った」が多い投稿を読んでみましょう。発売が28日の筈なので、直後のレビューです。

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レビューにもありますが、「Domani」への批判には「多様性がDomaniの良さだった」と書く人が多いです。独身女性、妻であり子どもがいない女性、子持ちの女性。同年代の属性が違う女性を扱うからこそ、良かったのだと。

2019年 4 ・5月号

「脱ママ!脱モテ!脱真面目!」は2号続けて上に配置されています。定番のコピーなんですね。ワーママを応援するのにママを否定…?

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内容紹介
【大特集】
“かっこいいオカン❤"になろう! 
【マガジン・イン・マガジン】
なかよし夫婦の“おしゃれ着回し❤"
シェアコーデBOOK

レビューは6件。2月28日発売で、3月5日までの件数となります。

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Amazonレビューは購入していない人も書けるので「もしかして広告が炎上してアンチが湧いたか…?」と邪推しましたが、元々の購読者が買って、やっぱり駄目だと批判しているのが5件。1件だけの★3は分析として面白いと感じました。

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「Domani」とはイタリア語で「明日」

明日(未来)というには古めかしい印象ですが、私は今回の問題は「多様性を認める練習」として、中々の歯ごたえを感じています。

私は「Domani」の広告は古い、ダサい、合わない、不快だと思う。

けれど、好きな人もいると思うし、いて良いし、表現として存在して問題ないレベルだと思っています。

多様化を認めるには、自分の好みの問題であるか、差別的な表現であるかをきちんと線引きして、議論する必要があります。今回の件は、多様性を考える上で、なかなか良い思考材料でした。

「Domani」に期待すること

個人的に、雑誌の内容を見るに、自然派ママとの親和性が高いと思うのです。だから例えば、ワクチンの有用性であったり、白砂糖と三温糖は色は違うが成分は変わらないとか、フッ素陰謀論はデマ、ステロイドは正しく使おう!…といった、事実やエビデンスに基づいた正しい情報を発信し、啓蒙してくれないかしら…?

現在、カルト教と化している”自然派ママ”を正常な状態に変えてくれたら。きっと「Domani」のファンになると思います。

そっち方面で、頑張ってくれないかしら…?期待の方向が違うかな?

こちらの記事が面白かったです

「Domani」広告に関する分析です。

不思議なのが、『日本の名随筆77”産”』に掲載されていた、1980年頃に上野千鶴子さんらフェミニストが書いた文章って、非常に読みやすいんですよ。今でも色あせない「男女の公平さ」が根底にあるのを感じます。

でも、最近のフェミニストの文章や行動は、ちょっと変だと感じることも多い。

フェミニズム運動が「老化」「経年劣化」したのかな?などと思います。

まとめ

私は「Domani」だけでなく、小学館の問題に感じました。

編集部が違うんですが、「Domani」の内容が酷すぎて、小学館の「小学1年生」や「ちゃお」といった学童向け雑誌を買うのやめよ~…と思うくらい。

小学館の育児メディア、Hagkumには期待してるんですけど…。『こぐまのケーキ屋さん』を取り入れたりしていて、なかなか良いサイトなのです。「Domani」の編集さんが私の記事を読んでいるなら、こちらのサイトを見て欲しい…。

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長い文章を読んで下さり、ありがとうございました。

補足:”否定語”なのがマイナス?

この記事を公開した後、朝食を食べつつ夫と話したのですが。

「コピーが否定語だから、何を示したいのかが曖昧になってるのでは?」「だからモヤモヤするんじゃないかな」

…と言われました。なるほど。ものは試しと、広告のコピーを肯定的にに言い換えてみました。

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今さらモテても迷惑なだけ。→ママになっても、かわいいと言われたい!

忙しくても、ママ感出してかない!→忙しくても、”私らしさ”を大事に(ニュアンス違うかも)

中途半端なイクメン気どりなら、むしろワンオペのほうが100倍楽。→中途半端なイクメン気どりなら、食洗器を買って欲しい→パパ、食洗器ありがとう!(家電はルンバでもいいんですが)

ママに見えない、が最高の褒め言葉→「若い!」と言われる自分でいたい

ちょっと不良なママでごめんね💦→完璧なママは目指さない

助手席じゃなく運転席の女でいたい。→問題ない

「えっお子さんいらっしゃるんですか?」→「ワーキングマザーは知的生産性が高い」(出口治明)→『知的生産術』より

〇〇ちゃんのママ、、本日休業中。→問題ない。句点は1つで良い気がする。

(正直、ママ友同士のつきあいが苦手…。)→問題ない。

働く女は、結局中身、「オス」である。→”女性らしく働く”とは?

ママは天使じゃない?→聖母にならなくていい/天使なんかじゃない(古い)

書き換え後の感想

書き換えて思ったことですが、「母親(ママ)」の定義がバラっバラで、結局、「Domani」が提案したい(肯定したい)”ワーキングマザー”像がよく分かりませんね。

「VERY」だと、”ワーキングマザー””ワーママ”といった語句は使わず、”リーマム(サラリーマンマム)”て言葉を使っています。

「Domani」もそういった戦略を使えば違ったような気がしますが、現在の状況を見ると、色々失敗しちゃった感が強いです。

”エイジング”、熟年といった観点

また、「Domani」の広告コピーに批判が多い・もやつくのは、すべて表面的で、エイジングによる内面の向上、熟成を見ていないように感じるからだと思います。

私はアンチエイジングって嫌いなんですよ。外見はどうがんばっても老化します。ファッション誌は口をそろえてアンチエイジングを推奨してますが、エイジング(加齢による変化)を認めて、一歩先に進んだ方が良い。

年齢を重ねることで、人間としての円熟味を増す。そこに焦点を当てて誌面を作った方が支持されると思います。

しわにも白髪にもシミにも、味はある!解釈次第です。








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