自分の好きだった作品を振り返る(その10)~育児漫画のなかで印象深い作品を(前)ブログから
続きです。
2013年に、育児漫画情報ブログ「育児漫画目録」を始めた私。
2013年は転機だったように思う
振り返ると、2013年から2014年にかけて、育児漫画ブログの世界に変革が起きていたように思います。私が育児漫画に注目したのはたまたまでしたが、面白い時期に始めたな、と思っています。
松本ぷりっつさんの『うちの3姉妹』ブームもあり、育児漫画ブログは当時でもたくさんありました。ただ、第一子が生まれたばかりで描く人は少なかったような気がします。
2013年に「育児漫画目録」を始めた私は、Googleで「育児漫画」「子育てマンガ」といったキーワード検索を始めます。そこでヒットしたものをすべてチェックする…という方法で、単行本一覧を作ろうとしました。
『王子と赤ちゃん』との出会い
2013年頃はNHKによって「産後クライシス」という言葉が発明され、話題になった年でもありました。また、この時期は女性向けのWEB連載も比較的多かったような気がします。
産後クライシスをテーマに描かれた『王子と赤ちゃん』は講談社デジKissという、今はないサイトで連載していました。私は単行本の感想しか書かないと決めてたんですが、共感しまくりで、毎回泣きながら読んでいたので、「ルールなど!私が決めるんだからいい!」と、感想をブログに書くようになりました。毎週のように感想を書いてましたね…。私の感想記事はすごく長いんですが、今までで一番、感想を書いた漫画だと思います…。
今だと「ワンオペ育児を描いた」の方が通じそうですが、2013年には「ワンオペ育児」という言葉がありませんでした。
我が家でも、私はワンオペ育児を行い、産後クライシスが起きて、私は離婚を決意して夫に切り出した経験があるんですが、なんとか回避しました。回避できた理由の一つは『王子と赤ちゃん』を読んだことによって、産後クライシスという現象は、どの夫婦にも起きると認識できていたことが大きいです。
大げさでもなく、『王子と赤ちゃん』を読んだことで人生が変わった感が強かったので、その後、「育児漫画を紹介することで、ネットの向こう側の人が、少しでも元気になるように」と祈りながらブログ記事を更新するようになりました。
この頃から、単行本一覧を作りつつ、私が面白いと思った育児漫画ブログやWEB連載を紹介するブログに変わります。育児の合間に無料で、スマホで読める面白い漫画を紹介するのが目的となっていきました。
『うちのこざんまい』と『おびえる?子育て日記』
2013年は、この2つのブログが始まった年でもあります。私は開設初期、多分1か月も経たないうちに見つけて読んでました。生後半年も経たない子供の様子を描いていて、「こういうの読みたかったの!」と思いつつ読んでいた記憶が…。
2人とも、毎日のように更新していて、ネタが個性的で面白かった。すぐに人気ブログになったのも納得の出来でした。この2作以前、以後で育児漫画ブログの様子も変わった気がします。
漫画を描いたことない人が描く?
育児漫画ブログを読んでいると、意外と「育児漫画で、初めて漫画を描いた」て方がいます。しかも、人気作家になっていたりする。
『たまご絵日記』で一躍、人気作家になったナナイロペリカンさん。最初は妊娠日記(文章ブログ)だったのに、だんだんと漫画になっていきました。
今は、発達障害のお子さんについて情報発信しているトマコさん。ブログ開設1年くらいで単行本を出した人気作家なのですが、この方も育児漫画で初めて漫画を描いたらしい…。
その一方で、実力のある漫画家や元・漫画家や同人作家、趣味で絵を描いて来た人、しっかりした作品を描くのも育児漫画の不思議なところです。6年近く情報を追って来れた理由は「多様だから」だと思います。
『イクメンパパはエロ漫画家』と出会う
2013年の秋頃、Twitterで検索したら、丸本チンタという男性マンガ家が育児漫画を描いている…ということを知ります。↓ このツイートですね。読んでみたらたしかに面白くて、当時、「ブクログ」にUPされていた作品、全て読みました。
2014年の正月頃、なんとなく「丸本チンタ」と検索したら、育児漫画ブログが見つかって。2013年の12月に開設したばかりのブログでした。絵も上手い、ネタも上手い、美しいカラーで毎日更新…ってそんなの可能なの??…というすさまじいブログで。(上で紹介した、こめこさんと園田さんの漫画は、白黒4コマでしたし、背景もそこまで描いてなかったのです。)
私は当時でも、色々な育児漫画ブログを読み漁っていましたが、チンタさんのブログは異彩を放っていました。
チンタさんのブログは毎日読んでいて、炎上みたいなトラブルも見て来ましたが、「自分が応援するブログが成長していく感じ」や「マンガだけでなく、作者ごと好きになる感じ」といった体験が新鮮でした。単行本も2冊出ましたし。
2013年当時、「読者参加型のマンガ」みたいなことが語られてましたが、ブログやSNSで発表される育児漫画って、読者参加型だよな~と思っていました。その考えは今もあって、自分のネット活動を通じて作品や作者が有名になっていく様子をみるのは楽しいです。
チンタさんは現在、YouTubeでアニメっぽい漫画を発表しています。TikTokでも活躍してたりして、すごいなあと感心しています。
『赤子よ日記』
こちらも、プロ漫画家の藤枝奈己絵さんがブログで連載していたマンガです。
表紙の絵から分かるように、人間なんだか猫なんだか、よく分からない姿のお母さんと、よく分からない姿の赤子ちゃんの様子を描いた漫画なのですが、滅茶苦茶面白くてですね…。見つけた日と、その次の日の2日で、過去ログを全て読み切ったというのは初めてでした。
このブログ、すげー読み直しにくいんですよ…。腹を立てながらも、面白いから読んでしまったという思い出…。
プロ漫画家が育児漫画をきっかけに有名に
チンタさんや藤枝さんだけでなく、2014年頃から、プロの漫画家さんやイラストレーターさんが、趣味で育児漫画を発表するようになっていきます。
2014年頃にTwitterに画像添付機能が付いたのが大きかったと思います。
有名どころでは、とよ田みのるさんの『最近の赤さん』とか。単行本化した人でいえば横山了一さん、吉川景都さん、その他にも色々たくさんいらしたはず…。
そんな中で出会ったのが『うんそだ』でした。とよ田みのるさんがTwitterで紹介してたのです。
『産んでもいいけど育てない』
こちらもプロの漫画家・夏目義徳さんが描いた妊娠・出産・育児漫画です。これも初めて読んだときは驚いたなあ…。「なんでこれ、無料なんだろう?」「なんでこれ、無名なんだろう??」と不思議な感覚で読みました。
夏目さんの作品については、最初は『うんそだ』を読むだけで、その後、『ねこはなはなし』という、夏目一家を描く5コマ漫画を追うようになり、セールを機会に創作漫画『トガリ』に手をだし、『トガリ』が面白かったので揃えられるものは揃える…みたいに読む作品が増えていき、今はサイコミでWEB連載している『B-TRASH!!』を応援しています…。
夏目さんの漫画は面白いんですが、私が自分から選ぶことはないと思います。育児漫画を通じて出会えてよかったな~と思います。
まとめ
育児漫画についてはいくらでも書けそうなのですが、とりあえず一旦終了です。後編では『不育症戦記』『妊娠17カ月』と育児漫画の多様性の話を書けると良いですが。3回くらいになるかな…。
長い文章を読んで下さり、ありがとうございます。続きはまた明日。
サポート頂いたお金は、漫画や本の購入に充てさせて頂きます。レビューして欲しい本などあればコメントでお知らせください。