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第4品目【いろんなマンガ焼肉】紀行/完食御礼!


▼バックナンバー

2016年3月度【ラーメン】を3杯
https://note.mu/mangafoods/n/n7efefa20427b

2016年4月度【焼き鳥】を1セットhttps://note.mu/mangafoods/n/n9084986d0b9c

2016年5月度【甘いもの】を4人前

https://note.mu/mangafoods/n/n127d35928685


「二次元加工食品 まんがフーズ」は 【食べもの・飲みもの】の作画をしつこく!!!!考察し、実践する、 お絵かきゼミナールです。

この連載は、作画課題を受けてから、ゆっくり考えて、読者のみなさんも絵 を描き上げる時間が確保できるペースで進んでいきます。 腕に自信のある二次元料理人の皆さんは是非、一緒に調理の準備をしてみて ください。見習い料理人の皆さんも「自分だったらどう描くかな?」と想像 して、もし良かったら描き始めてみてください。 難しいパソコンのソフトは使いません。同じ作風で仕上げる必要はありません。今から始まるのは、紙とペンだけで 誰でも挑戦できる真剣な遊びです。 現在アシスタントを育成中の先生がたも、是非このお題と、今後更新されるアンサーをご活用ください!


本コンテンツの中心は“プロアシ”の 「サハラ」が制作・論考します。

※志望者が漫画家になるまでの腰掛け修行としてアシスタントをしているのに対し、その道を専業として食べている専門作画家が、俗に“プロアシ”と呼ばれます。

聞き手と書記を「中村珍」という、サハラの元取引先であり、現在はただの友人である漫画家が務めます。※サハラの似顔絵とデザイン画のみ中村作ですが、本コンテンツの根幹は中村の持ち物ではないため、メインの作画を中村珍が行うことは原則としてありません。


毎月一品、
プロアシのサハラが、

(自分は絵がヘタなくせに アシスタントの作画には超うるさい)漫画家・中村珍
に突きつけられた

【難しい食べ物の絵】を
威信をかけて
絶品に仕上げます。
https://www.instagram.com/SAHARA_3838/


▼更新はメニューごとに四度。
四段階に分けて、基本的には以下のスケジュールで行われます。

〔当月20日頃〕...料理の注文 『お題』の公開日です。 中村からサハラに注文が飛んできます。
〔当月29日頃〕(にくの日!)...調理場で試作会議 お題に対するサハラのアンサー、下描きを踏まえて、 サハラと中村珍による絵の仕上げ方のガチ議論が公開されます。
〔翌月9日頃〕(食う日!)...ペン入れ 仕上がりを大きく左右するプロセス・ペン入れ。 試作品の試食を重ねるつもりで仕上げに近づきます。
〔翌月20日頃〕...完成! 試作の議論を踏まえて、いよいよ完成原稿の公開! 完成した原稿を挟んで再び論考します。

…が、関係者の本業の事情などにより前後する場合もございますのでご了承ください。




第四回は...............【いろんなマンガ焼肉】紀行!!!!



■ 第04品目 ■
■【いろんなマンガの焼肉】■

2016/5/20 注文


注文内容
課題1■最近の週刊少年ジャンプで食べられる焼肉
課題2■少女コミックで食べられる焼肉
課題3■コロコロコミックで食べられる焼肉
課題4■コミックブレイドで食べられる焼肉
課題5■漫画ゴラクか大昔のジャンプで食べられる大御所の焼肉
課題6■別マか別フレで悩んでいる新人の原稿で食べられる焼肉


【条件】

様々な漫画の現場に支持されるプロアシの底ヂカラが見たいです。加えて、担当編集は現在激務に就いており「あ〜これ終わったら焼肉食いてぇ〜」という気分です。つまり、両方いっぺんに折り合いをつけ、半分ずつ叶えるとするならば、「様々な漫画の現場に支持される焼肉食いてぇ〜」ということになります。

一人前。
少量ずつ焼くタイプなので、

・焼き網に
・ネギたっぷりタン塩が1枚
・タレぎとぎとのカルビが1枚
・プリップリの丸腸が2個

乗っていればそれで構いません。

もう食べられる状態でも、焼き始めでも結構です。本来一人で焼く場合、網に並べるまでの時間差が必ず出てしまうので、場面のリアリティを優先して肉ごとに焼き加減が異なっても構いませんし、架空の課題だからということで、部位ごとの差分を際立たせるために網に乗せてからの経過時間を揃えた設定でも構いません。

焼き網は焼肉と隣接している部分が《作風が分かる程度の面積》描かれていれば、フチまで描かずにフェードアウトすることができます。

炭火焼肉を想定していますが、網の奥の炭火の表現は、多くの読者が想定するであろう各誌の公約数的な作風、又は、想定した特定の作品群の作風に準じてください。描く必要の有無は作風によるでしょうし、網の面積によって表現すべき炭火の有無や質や部位も、そもそも変わると思います。


(小言)

作画に関する小言はありませんが、雑誌名を聞いてピンと来る作品が、嗜好・世代・漫画業界とのコミットの仕方・作画を見る目によって各々異なるのは避けられないと思います。「少年ジャンプ」と言われて、『僕のヒーローアカデミア』を思い浮かべる人もいれば『I"s』が世代の人も居るでしょう。『ドラゴンボール』も『BLEACH』も『SLAM DUNK』も『封神演義』も『ROOKIES』も『食戟のソーマ』も『WILD HALF』も『黒子のバスケ』も『地獄先生ぬ〜べ〜』も『暗殺教室』も正答です。

ですから、雑誌名を言われて想像した作品を最低でも2〜3作品答えられるようにしておきましょう。どんな作風のために描かれた絵であるかが共通言語として通じやすくなると思うので、「雑誌という単位」ではなく、あくまでも「あの雑誌に載っていたアレとアレとアレとアレを足して割った感じ」という意識で制作すると良いかと思います。

個人的には、《漫画家志望者が持ち込みや投稿をするとしたら最適と思われる雑誌》と《その投稿作の作風》という関係性が、この文脈での「◯◯誌っぽい」ということかなと考えています。

それでは、作画を始めてください。

2016年5月29日
下描きが上がってきました。
調理風景をお届けします。

※編集事情で公開が5/30となりましたが、
サハラの行った作画は5/29の段階で上がっています。



■下描き編■


〔担 当〕 暗い顔を、…していますね。

《サハラ》 ちょっと難易度高いというか量が多くて…。
今回6パターンの焼肉を描くにあたって、さすがにやったことないのでどーするもんかなあと悩んでたんですけど、これはたぶん構図も大事だなと。「このコマにこーいう絵をください」って指示を出すパターンは同じ内容の絵でも雑誌や作家によってセンス変わるなあと思いながら、“あたり”とりました。

《サ》 で、1枚目はWJ(週刊少年ジャンプ)です。

〔担〕 ジャンプは、すんなりいけるでしょう。ねえ。

《サ》 これはぶっちゃけ仕事してるので今の絵柄でいきたいと思います。
構図のポイントとしては2点パースがカッコイイ感じにナナメにかかってる感じです。カッコイイんです、とりあえず(笑)

〔担〕 そうですね、とりあえず(笑)焼肉だろうが必殺技だろうが剣だろうが炭火だろうが、他のどのジャンルよりも、渋いでも綺麗でもなく、カッコイイっていうパラメーターが一番伸びてないとダメですよね。とりあえず、カッコイイ。他の焼肉と並んだ時に一番聡明で精悍(せいかん)で…、要するにカッコイイ焼肉じゃないと(笑)


《サ》 少コミです。

《サ》 少コミはむかーーーしお仕事させていただいたので、当時のイメージでいきたいと思います。
さっきのWJと違うタイプの2点パース。絵的に斜に構えずすっきりとしたイメージです。

《サ》 ただ少コミに丸腸出すか??っていうのがあるので作画で悩むかも…。

〔担〕 あはははは(笑)そうか!少コミの世界には丸腸ないかも!そうだ、現場に居た人の感覚ってリアルですね。「こんな被写体は出てこねーよ」っていうの肌身で知ってるのか!ははは(笑)
ちなみに私は、少コミさんの系統は現場経験がないんですけど、そういえば、二大強豪別冊ナニナニの現場に入ったとき、もうだいぶ前なので今は違うかも知れないんですけど、当時『少女漫画の主人公が主人公の少女漫画』が多い印象だった少コミさんと比べると、あのへんは、ちょっと実在感の強い女の子が出てくるっていうのかな、『探せば居そうな少女が出てくる漫画』の本数のほうが別ナニの系譜には多い印象の雑誌なんですよね。それで、私が居た現場の原稿に登場する女の子のほうがよっぽど実在感強いんですけど、それでも当時作中で描いた「少女漫画の文法っぽくないもの」って、タバコとギョウザが限界でしたね。ってことは、少コミで丸腸って…、そうですね、変ですね(笑)


《サ》 コロコロは…ちょっとだけヘルプしたことがあるのですが、こう、名前通りコミカルな絵柄でした。

〔担〕 あるんだ?!…WJと少コミは常勤なの知ってたからサービス問題のつもりで、コロコロは意地悪問題のつもりだったのに…。ナメてました…。コロコロもやってたんですね…。サハラさんのキャリア完全にナメてました…。

《サ》 雑誌が幼い子向けなのでアイコン的にわかりやすくした方が良いかなと思って真上からの構図にしてみました。


《サ》 ブレイドも昔お世話になりました。イメージとしてはシャープでベタ多くてカッコイイ感じです。構図もパースをキツくかけてオッシャレーな感じです。なんかもう格好つけまくってるイメージです。

〔担〕 ブレイドもジャンプとは毛色が違うだけで、完全に少年誌ですもんね。分かります。格好つけるためのコマを用意する作家さんが割と多いな、という印象があります。
全体的な絵柄の仕上げ方も、ジャンプほどド直球の詰め込み方をしないと言うか…。ジャンプ系列がファミリーマートやローソンでマガジン系列がセブンイレブンみたいな平均点がとても高いタイプだとすると、ミニストップとかスリーエフっぽい、どこかのパラメーターが目立って伸びていたりすると言うか…。交わる部分もあるんだけど、王道とは別の攻め込み方するぞって。


《サ》 大御所っていうのがなんかこう、漠然としていて難しかったんですが(笑)

〔担〕 なんか、週刊漫画ゴラクに対する漠然とした一般的なイメージとか、復刊した頃しかわかんないんだけど、アクションみたいな、なんかそういうの(笑)Gペンで、線がさ、ギュッとスッと、ギュッと、スゥーッと、太っ、からのぉ、抜き〜…スゥー、みたいなさ、抑揚が強くて入りの線がめっちゃ太い絵。『嘘喰い』とか『女神の鬼』とか『おやすみプンプン』みたいな線の細い描き込みの物凄い背景は守備範囲外の、大昔からのベテランアシスタントさんが、無骨な線で描ける範囲の限界まで繊細な絵、みたいな。誰が見ても「これ、劇画っぽいから、めちゃくちゃ偉い人の原稿の背景だろうな」って思う感じの。「単行本の部数とか関係なく、なんか一番原稿料高そうだな」ってオーラがあるやつ。

《サ》 とにかく構図も普通で肉の配置も現実的で、あとはめちゃくちゃ上手かったら良いのかな?といま模索中です。

〔担〕 あ〜、そうそうそう!それです。普通にめちゃくちゃ上手い有り得る絵。最近の漫画とかには興味がないおじさんとかおじいさんとかが見て「この中でこれが一番巧い絵だ」って思う感じの。


《サ》 新人とのことなので、言い方アレですが、ちょっとつまんない感じでパースをかけてるようで特に効果のない感じにしました。配置も整然と…。たまにすごい奇抜な事する人もいますが、これはちょっと真面目なタイプの新人さんです。

〔担〕 …言い方悩むけど、まあ、そうですね。そういうことです。そういうの求めてました。ナナメにしてあるんだけど、別に意味ない、それによる臨場感は別にない、ただ、ナナメにするためだけに、ナナメにした、みたいな。…たまに奇抜な人もいるけど、まあ、稀ですよね。コマを埋めることで必死な時期だから、こんな感じだと思います。

《サ》 すみません、めちゃめちゃ手間取ってて…。

〔担〕 どうしたんです(笑)考え事の多い課題なので、手間取ってるんじゃなくて手間を掛けてるっていうか、然るべきペース、適切に慎重じゃないですか…!



〔担〕 さて、アタリを一通り定め終えて、プランも大まかに組んで、いよいよしっかり詰めた下描きですね。

《サ》 WJから下描きしていきます〜。これはもういつも通りな感じで資料見ながら描こうと思います。丸腸…って実は焼肉で食べた事ないので資料でなんとかイメージしてるんですけど、これきっと脂強めのもつ鍋に入ってるやつ?かな??

〔担〕 そうそう、そんな感じで合ってます。なんか、焼肉味の噛み切れないスライム居たらこんな感じかなって食べ物。ステーキの脂身を本格的に単品メニューとして鍛え上げた感じですかね。
効果音で書くと、ステーキの脂身が「プルッ」とか「トロっ」って感じで、肉の本体から離れる時が「ぱちん…」とか「プツン」なら、丸腸は一噛み目が「ブリャッ」って感じで、噛んでる間が「クニ…コニ…クニ…コニャ…」みたいな…味が染み込むタイプの肉質じゃないから、早くカタつけないと味がなくなったガム噛んでる時みたいな虚ろな気持ちになるかな…。ああ、でも、牛の種類にもよるかな。一般的にリーズナブルな、私みたいなのが普段なんとなく行く焼肉屋さんで出てくるのは、無闇な弾力があるやつが多いです。歯応えっていうより、抵抗みたいな。気合の入ったお店の黒毛や褐毛の和種だともっと柔らかい気がする…。

《サ》 プリっとしてて、その端にちょっと焼きが入ってるくらいの感じにします。

〔担〕 うん。とにかく弾力があるんですよ。
本当は「資料として食べてみます?」ってごちそうする気はあるんですけど、私が把握しているサハラさんの味覚と胃力(いぢから)じゃ多分、受け止めにくいと思います。消化に苦しむと思うから、そのうち、翌日が休みの日とかにね(笑)


《サ》 タン塩。

〔担〕 タン塩!こだわり感じますね…。

《サ》 ねぎタン塩は大好物です!!!ねぎは絶対長ネギ!!!みじん切りで胡椒とか油で味付けのしてあるやつじゃなくてただの輪切りのやつの方がねぎの味と食感が強くて好きです。なのでこれです!タン塩もあの〜分厚いのじゃなくてペラペラのが好きなんです…なので、これです………すごーく食べたい………。

〔担〕 行きましょう。


《サ》 カルビです。これはまだ片面だけしか焼いてなくて見えてる方はほぼ生な感じです。


《サ》 焼網…。

〔担〕 面倒くさいでしょ。

《サ》 焼網すごいめんどくさいよ、これ…意外と入り組んでやがりました……。

〔担〕 そうそう。意外と波打ちが細いんだよね。資料よく見ると、思ってたのと違う規則性で波打ってるっていうかね。

《サ》 下の炭とか火の処理はペン入れながら決めようと思います。トーンかなあ…。

〔担〕 そうですね。網の隙間に下描き入れるのは大変だし、ペンが入って手前の網と肉がインクで消えなくなってから、奥を考えるのが手っ取り早いと思います…。ポジティブな後回し!


《サ》 少コミです。線は多めで細いイメージなので下描きだとそれなりに描き込みます…が、ちょっと癖が抜けてない気もするのでペンの時に気をつけます。

〔担〕 作風って造形よりペン線で出る部分も多いので、ペン入るのが楽しみです。

《サ》 網のウネウネまで描き込むとちょっと重すぎかも?と思って直線です。
一応ペンの時に網っぽく上下組み合わせる予定です。


《サ》 コロコロです。

〔担〕 幼年誌っぽい…。
喜怒哀楽が明確なキャラクターが、“本当に良い意味で記号的に”、すごくストレートに誰にでも伝わりやすい笑顔で覗き込んでるのが見えるようだ…。

《サ》 色々資料を見たら思ったより描き込みはあるんですが、ペン線に特徴があるので下描きはシンプルな感じです。


《サ》 ブレイド。

〔担〕 かっこいいな…。焼肉のくせに、ケムリの立ち方がバトルシーンに長けてる少年誌のケムリの立ち方だ…。

《サ》 ベタ強めにしたかったので焼網の端を入れてベタ増やしました。あとなんかアクションのイメージがあるので湯気を入れて動きを出せたらいいなと思います。

〔担〕 やっぱりアクションをイメージして立てたケムリなんだ…。異様にかっこいいなと思ったら…。
これ焼肉を武器持った人間に差し替えれば、なんか湾曲した鉄骨っぽいものが橋渡しされたダンジョンかコロシアムで爆風の中佇んでる主人公みたいになりますね…。



《サ》 大御所です。

〔担〕 うん。普通に上手い。物凄く普通に上手い。上手いカルビと、上手いタンに上手いちゃんとしたスジが入ってて適量のネギが添えられ、正しい丸腸が適切な場所にやや計算じみた並び方をしており、上手いちゃんとした網が普通に描いてあって、単に、上手い(笑)

《サ》 これブレイドと然程変わらないですが、ペンタッチで変えます、よ…(笑)

〔担〕 構図は単純に上手くて、線で色気出してくる、トーンは貼るとしても色つけ程度で、インクだけが本番、線命、ペン命、っていうイメージがあります。

《サ》 あと湯気がモクモクしてるイメージです。

〔担〕 わかります(笑)お茶とか握り飯、おにぎりじゃなくて握り飯って言いたくなる線を想像してるんですけど、ああいうのにもペン線で描いた蒸気が乗ってくるイメージです。第1回の、うちの塩ラーメンみたいに、トーンで削り出すんじゃなくて。
あと、でもこっちのケムリは、エフェクトというか演出的なケムリじゃなくて、「なぜなら温かい食べ物なのでモクモクとしたほうが美味しそうで臨場感もある」と言う理路があって存在が決まるケムリな気がする。ブレイドの現場用に描いたほうは「温かい食べ物だから」「温かさを表現したほうがおいしそう」とかより先に立つ行動原理が「絵的にそのほうがかっこいいからそう演出する」っていうのがあるのかな、って。

《サ》 ここにきてタン塩描き慣れてきた感じある…タン塩というよりネギか…。ラーメンの時に観察したのでどうやったらネギに見えるかわかるようになりました。

〔担〕 うん(笑)上手いなって思った。さすが、ラーメンの時に研究した成果が。

《サ》 1回しっかり観察すると次に描く時にスっと頭の引き出しから出てきます。でも、記憶は曖昧になるので、たとえば大きさとか厚みとか、そーいうのがボンヤリしてくるので、毎度1回は資料を見て確認するようにしてます。


《サ》 少女誌新人です。少コミより手が込んでない感じでパースもこなれてないイメージです。

〔担〕 うん…、もう、コマを埋めるので手一杯という感じが画面からビリビリ伝わってくる。すっばらしいですね。ネギがどうとか網がどうとかより、月例賞の締め切りで頭がいっぱいで、焼肉を描いてるんじゃなくて、焼肉の絵を描いていて忙しい、ここにあった焼肉を絵で示したんじゃなくて、空いてるコマに焼肉の絵を描いたのが伝わってきて素晴らしいです。
多分、ビルの窓も後者の窓も住宅地の塀も歩道のタイルも、みんなこの焼き網と同じ描き方。コマが埋まっていて間に合えばとにかく一旦満点、という時期の余裕の無さがよく出ていると思います。
それが尚更出るのが、この後控えているペン入れでしょうね。慣れた画材で何度も描き直せる下描きは上手いけど、ペンを入れた経験が少ないので、太くなったり、線の種類がなかったり、ペンで、少コミのほうとれっきとした差が出るんだと思って楽しみに待ちます。


《サ》 今回の企画、私としては、この雑誌の作家さん(実際に勤めている現場の作家さん)に指示をいただいた時をイメージしているのですが、実際「このコマに焼肉描いて」と白い原稿を渡してくる方もいれば、「ここにタン塩、ネギ乗ってるやつ。ここにカルビ…」と位置やパースのあたりを描いてと指示を出す人など様々です。なので、今までお仕事した方などを参考にして構図などを決めました。

〔担〕 すべての絵の段取りというか、思考パターンが同じではないということですね。それぞれの雑誌で関わった作家さんの考え方の癖や好みに沿って。確かに、みんながみんな、こんなに自由度が高い状態の指示を出したりしないですもんね。私なんかも、すごく細かく配置や角度を指定するタイプですし。こういう企画だから、白紙を渡して「じゃあ描いて」っていう進行をしていますけど。

《サ》 ただ、実際問題白い原稿を渡された場合にやはり私のセンスだけでそこに絵を描いていいのかは不安なので、資料を集めて参考にしながらあたりを描いて、一旦サイズや角度はこれでイメージと合ってるか…とか先生に確認します。

〔担〕 先生が居たら、そうですね。白い原稿で渡されて、アタリも何もなく「描いといて」って言われても、一旦は聞きますよね。サイズと角度を打ち出す段階で。その確認をせずに最後まで突き進むなんて怖くてできないし、描き直しの指示が来たとしたら効率が悪すぎるし。

《サ》 なので、今回そんなプロセスを妄想して、(各誌の作家さんごと)好まれる構図とか肉の配置とかを考えてみました。


《サ》 並べると雰囲気の違いがわかるかなあと思います。

〔担〕 うーん!ペンが楽しみです!ペンが入ったのを並べると、全く絵の濃度というか押しの強さ、絵柄の性格がハッキリ出るでしょうね。乞うご期待です。


《下描きを終えて》
てことで網の中のことはペンを入れる私に任せて、これで下描き終わりです!(サハラ)



2016年6月9日
ペンが上がってきました。
調理風景をお届けします。
※編集都合で公開が6/10となりましたが、
サハラの行った作画は6/9の段階で上がっています。


■ペン入れ編■


〔担〕 さあ!

《サ》 ペン入れします。

〔担〕 はい(笑)最終的にはトーンの貼り分けで作風って全く変わってしまうものですけど、その前段階、ペンでも“絵の押しの強さ”の分かれ道が出来上がるもんなので楽しみです。


《サ》 ペンでは繊維とか焦げ目とかを描いて肉の色などはトーンで表現しようと思います。
カルビ。

《サ》 これ、向こう側に脂身がある感じなのでその色味はトーンで分けたいと思います。まだ片面しか焼いてない感じにしたい……。

〔担〕 上のほうでフツフツと肉汁が出てきてる時期ですね。
この原稿をこのままにしてサハラさんが失踪してしまったとしても、いや、しないでしょうけど(笑)最低限思考が細かい人が見れば、「あ、この作画者はひっくり返す前の肉を描いていたんだな」って、分かる線の入り方、ベタの溜まり方ですね。網側が黒くて、影と呼ぶには明らかに黒すぎるから、なるほどこれは焦げてきてるんだな、っていう。こういう、申し送りがなくても何をしようとしていたか分かるペンの入れ方というのは、複数人で絵を仕上げる場合とか、誰かのチェックを受ける場合にとっても親切だと思います。指示情報が組み込まれた絵って言うんですかね。どう育っていくか見当がつくペンの入り方。

《サ》 ネギ。
ちょっと熱が入ってシナッとなってる…ような気持ち………。あとはトーンの時に緑の部分を表現できると良いな〜〜と思ってます。
描き込みすぎると邪魔くさいので全部ペン入れないで奥の方は抜き気味にしました。


〔担〕 続いて丸腸!

《サ》 丸腸は白っぽいので下の炎でちょっと光る感じが出せたら……と思って下の方は抜き気味に描いてます。

〔担〕 おお、いいですね!「美味しそう」って意味でもいいですし、ここは脂っ気と弾力の強い部位だというのがテカりで示せるので、機能的な表現だと思います!

《サ》 網描きました……が、ここにきてやはり炭火部分を悩んでます……ちょっとトーンの時に考えます。暗くしたいようなメラメラさせたいような…。

〔担〕 ああ〜…そうですね。悩むなあ。
これがもし〈サハラさんが居た頃の、うち(中村珍)の現場〉だったら、中村珍は、「音が聞こえてくるほどメラメラさせて、そこに脂が垂れるとパチパチ音がして、網にジュウ…ッと肉が食い込んで、こう、焼き網が肉に熱で食い込んで、少し肉が垂れるぐらいで。その向こうにはコントラストの強い真っ黒と溶岩みたいな炭火を…。そして肉の繊維と繊維の隙間からキラキラと肉汁が滴り…」みたいなことを言いますけど、またちょっと、WJみたいな作風とは違いますからね…。特に少年漫画誌って、作家さんの出身畑にもよるけど、そこまで“シズル感”や“リアル”は追ってないっていうか、リアルな実存より、リアリティのあるマンガ絵の方が価値が重い文化圏でもあると思うし、暗くてもちゃんとそう見える世界が構築されてるから、そこまで追わなくてもいいのかなみたいな気はしますけど…。
もちろん少年誌には少年誌の文脈で言うところの「リアル」もあるんだけど、少年誌の文脈で言う「リアル」って、青年誌の写実志向や緻密至上の現場だと「リアリティ」って呼ばれる概念や手法に近いっていうか。同じ言葉使ってるんだけど違うものを指してるっていうか。
…っつーかこれ、一枚絵だからオノマトペ(※擬音の描き文字)使えないのが何よりの弱みというか、やりにくさですよね。身も蓋もない話、「ジュウ〜ッ」って描いときゃもう充分そう見えるところまで仕上がってるのに(笑)
あ、これ、トーンはそこそこ貼る感じですかね?

《サ》 WJの代表作にはもっとザックリしたあまりトーンを貼らないスタンスの絵柄の方も多いのですが、今回は私が普段描いてる雰囲気のままやらせていただきました。

〔担〕 なるほど。
さて、続いては…、すごいですね、完全に違う作家の原稿だ。

《サ》 少コミです。
線が全体的に細く均一な感じです。描き込みもWJに比べるとかなり少なめです。

《サ》 まるちょうを少コミ的な可愛さ?綺麗さ?を出しながら描くのすっごい悩みました……まるまるプリプリで可愛さを……。

〔担〕 ほんっとゴメンって思ってます(笑)漫画にもできることとできないこととありますからね。これはもう、「ザンギエフやサガットを少女漫画タッチで描いて」みたいな、どこにも需要がないし、どんなに頑張っても特に誰も幸せにならないっていう、ミスマッチで寄る辺のなこと言っちゃったなと思って反省してます。ゴメン(笑)
まあでも、WJの丸腸と比べたら超可愛いし、この後ペンが入る大御所の丸腸と比べたらもうこれ学園のマドンナみたいな丸腸だと思いますけどね。「彼女にしたい丸腸どれ?」って言われたら、この子かな、みたいな。
それにこれ、鉛筆線が残ってるからちょっと無骨な感じが増してるっていうのもありますよね。

《サ》 ゴムかけたらお肉のところもわかると思いますがだいぶ描き込み少ないです。

〔担〕 おお、ゴム(※消しゴム)かかった。さっきまで(↑)見違えるほどサッパリした絵ヅラになった!(↓)

《サ》 網を結局うねうねにして、あまり描き込まない感じにしました。



《サ》 コロコロです。

〔担〕 可愛いな(笑)ほんと子供的な可愛さです(笑)

《サ》 ペンを丸ペンからGペンに変えました。太めで抜きが無い感じにしました。

〔担〕 丸ペンって一部の軟質な丸ペン以外は総じて硬いから、良くも悪くも繊細な線以外が出しにくいんですよね。Gペンってクニャクニャしてるからちょっと力を加えるとドンとした線が出るけど。
どっちかしかなかったら手加減でGで丸の線出したり丸でGの線出したり出来るけど、やっぱりそのペン先が専門としてる線の質ってありますもんね。

《サ》 ネギとかもかなり記号化して描いてます。

〔担〕 幼年誌だと、少年誌や青年誌な現場からしたら過剰にも見えるほど記号化が求められる現場が多いですよね。
さっきのWJのと並べるとこれって「ヘタな絵」って言われる可能性がある作風だと思うんですけど、いや、このフィールドではこっちの方が上手い絵なんで。っていう。

〔担〕 うん。いい意味で単調。

《サ》 網も短略化しました。あとは火をどうするか……うーーーん、悩みます。

《サ》 もうちょっとポップな印象になるように肉のアウトライン太くしました。

〔担〕 あ〜、なるほど、そうですね。ちょっとさっきのだと華奢かも。気持〜ちだけど。子供用の漫画原稿っぽくなった。

《サ》 うーん、なかなか難しいですね!
普段の真逆にあるのがコロコロ系なので、なかなか手癖が直せないですね……。

〔担〕 いやー、そうでしょう。難しいですよ手癖を直すのは。文字で言ったら別人の筆跡で全文書くってことですからね。どんなに別人を装ってもどっかで自分の筆跡が出ちゃうもんなんじゃないでしょうか。私も友達の原稿手伝ってる時とか、疲れてくると他人の作風を装い切れなくなって、通行人が中村珍の漫画の主役みたいな顔し始めることあるし(笑)


《サ》 ブレイドです。
ベタ多めを意識して、線の強弱も強めです。太いところだけ先にGペンで引きました。

〔担〕 先に太い主線引っ張っちゃうと抑揚の天井が決まっていいですね。付け足しだとどうしても線が太くなりすぎた上に周りを描いちゃっててもう引き返せない!みたいなリスクがあるから、真っ白いうちに「主線はこの太さ!」って決めちゃうのは賢明な描き方だと思います。
…って仕事みたいなこと喋ってますけどね、もう絵の話とかどうでもいいくらい、焼肉食べたい…。絶対夜中にサハラさんの絵みたらお腹空くと思って、さっきこの仕事の前に、自宅に焼肉の材料買っておいたんですよ。買っておいて正解だった…。

《サ》 あたしはもう空腹で死にそうです……チョコしかない……。

〔担〕 今度打ち上げに連れていくんで…頑張って…。なんでも好きなものを…。私もこの仕事終わるまでは食べ物ない場所に居るんで…お互い頑張りましょう…。

《サ》 あはは、ありがとうございます〜〜!!もちょいがんばります…!!

《サ》 煙を実戦で描きましたが、トーンとのバランスを見て特に肉と重なる部分は調整するかもしれないです。

〔担〕 かっこいい煙だな。アクション漫画の焼肉だ。

《サ》 あとこれは網の中にも後々ベタ多めコントラスト強めの火がはいる……予定。

〔担〕 さすがアクション漫画の焼肉…。炎と煙はカッコイイの素。

《サ》 お腹すいてめちゃめちゃつらいです。

〔担〕 …うん…(涙声)

〔担〕 若々しくて精悍な焼肉が出来上がってきましたね。強そう。

《サ》 とりあえず主線は太めと思ってGペンで全部描いてみてます。

〔担〕 あれなんですよね、描く時の方法論がまんまバトル漫画とかの主人公とか、人物描く時に用いられがちなセオリーと同じセオリーでこの焼肉描かれてるから、やたらカッコイイ、ヒーロー感のある焼肉なんですね(笑)

《サ》 リアル寄りなのはWJと一緒ですが、WJよりは線で描くイメージで描いてます。WJは点…てイメージです。

〔担〕 ああ、なるほど、こっちのほうが線で構成されてる絵なのか!
こっちのほうがペンタッチに明らかなベクトルがあるから躍動感を内包している印象になるんですね。
WJのほうはフラットに、見ている人に対して真っ直ぐ訴えてくるペンタッチだなと思ったら、あっちは点だから、絵を構成してるものがほとんどこっち側向いてるんですね。勢いのついた向かう先のある線じゃなくて、点だから、『“カメラを見据えた点状のペンタッチの集合体”としての静物画』っていうか。
対してこれは線が絵の中であっちこっち向いてるから、見てる私を見据えずに、絵の中でペンタッチ同士が暴れてる感じがあって。『“躍動感の集合体”としての静物画』っていうか。WJの絵を描く時の考え方と何が違うんだろうと思ってました。そっか。点と線ね。なるほど。
勉強になりました…。


〔担〕 さて、大御所の原稿。
…なんか、大御所作家さんの現場の打ち上げで出てきそうな肉質ですね、改めて見ると。

《サ》 タン塩も少し厚みを増してぼてっとさせました。なんかこう、重さが出ると良いなと思って……。

〔担〕 うんうん…。こういうボテっと厚みがあるのたくさん出てきたよ、原稿終わった後に連れてってもらったお店で…。もう、ほんと、億稼ぐ大ベテランの先生の現場は、こういうの、…こういうのって言っても、お肉の種類こっちで指定しちゃったから、この設定だとあんまり豪華な感じはしないけど、でも、なんでもない日になんとなくこういう、他よりいい肉質で他より重みがあるやつドンと出てきたよ…。
ああ…生々しい、その先生が普段見てるものを描けば原稿チェックでOKもらえそうな絵になるっていう現実が…。
考えすぎると辛いので作画の話に戻りましょう。


《サ》 ちょっと線引きすぎたのでホワイトしました。
あと脂な感じ出ると良いなあ…。

《サ》 煙は実線無しでトーン削り出しで出したいと思います。

〔担〕 ちょっと迷いながら描いてる感じありますね?

《サ》 うーーーん、やっぱり大御所はちょっと感覚が薄いのでわからない、な…!!

〔担〕 まあそうですよね…!私はわりと50〜60代の、やや劇画タッチの男性作家さんの現場に結構入ってたんですけど、やっぱこう、その時代その時代でネイティブのペン線ってある程度あるっていうか、現代に生まれた子は一人称「拙者」じゃない、みたいな意味で、世代が違うとネイティブみたいにはパッとそれっぽい線が浮かばないのかもなって思ったりするんですよね。なんとなく「あんな感じでしょ」って思い浮かぶんだけど、鮮明には理解できてない。それは、アメリカ英語って言われて「あんな感じでしょ」、イギリス英語って言われて「あんな感じでしょ」、って、それぞれの発音のクセはイメージできるのに、いざ正確にそれぞれの発音で話せって言われると、難しい、みたいなことで。
私はそういうネイティブとの壁を主線の一部に筆ペンの線を足すみたいな小細工で超えてましたけど、翻訳機を使ってコミュニケーションしてるような後ろめたさはありました。


〔担〕 これは、あんまり炭火で明るくしない感じですかね?
主線をトバシてトーンだけでコントラストを管理した炭火を…みたいな、ギミック感の強いトーンワークって昔の現場では多用されてない印象。

《サ》 網の下も暗めになります。たぶんかけ網っぽいトーンにするかな…重厚感でるようなイメージです。


〔担〕 さてさて、少女漫画誌志望者!これもこれで初々しくて可愛いな。プロの現場でOKが出るかっていうと、現場によっては別の話だけど。

《サ》 軽めに単調な線画を目指したのですが、まだちょっと描きすぎですね……。

《サ》 うーん…でも、新人や志望者のうちって、明らかに描き足りてないか、最低限の線で表現できないかどっちか、みたいな印象あるんで、これはこれで生々しさ感じますけどね。ディティールの入れ方悩んでるうちに線増えてたみたいな心当たりは私もすごくあるし、こうやって慣れない作風で描く仕事が回ってくると、引き際がわかんなくて今でもこのくらい描いちゃうことありますよ(笑)

《サ》 少し線を間引きました。
あとは軽めにトーン貼る感じです。網の下は考え中です…炎の表現は無いにしろ真ベタ落とすのもどうかなって感じですね…。

〔担〕 でも、真ベタ落とすと、すげえ新人っぽくなると思うよ(笑)
もしくは、真ベタの中央に、ちょっと白いところ残して、ヘタなカケアミみたいなやつでグラデーションにしようとしたけど手に負えなくなった感じで、上から網トーンをベタ貼りするとかもリアルだと思う。
…今よりもっとヘタでお絵描きの勝手が分かってなかった自分の新人時代を思い出すようで、ホンット、冗談抜きで胸が痛いからもう喋るのやめるわ(笑)お疲れ様でした。



《ペン入れを終えて》

6種描きました。うーん、今回本当難しいですね!トーンでもっと雑誌や作家の雰囲気出せるようにがんばります〜(サハラ)



2016年7月19日
トーンが上がってきました。完成版をお届けします。
※本来は6月20日が更新予定でしたが、先頃の告知どおりサハラの勤務先である漫画の現場が多忙につき、期間中に拘束が解けませんでした。
期日を守ろうとするとサハラに最低限の休日や心身の健康を保てる質量の睡眠を一切諦めてもらうしかないため、サハラ及び担当編集者、両人の希望により、サハラの勤務先の業務が一通り落ち着いた後、こちらでの作業と打ち合わせに入り、約一ヶ月のスライド収録とさせて頂きました。


■トーン仕上げ編■


〔担〕 はい、ではでは、サハラさんが戻ってきたので、連載を再開します。現場での連勤、激務お疲れ様でした。読者さんには見えないわけですけど、更新日を遅らせたことでサハラは今日、沈痛な面持ちです。責任を感じているのか、やたら無口です。
私は20代半ば頃までは、無理を続けて働いたタイプの漫画家だったので、吐きながら描いてましたが、結局過労で即入院になったり、倒れて神経が麻痺して動きを失ってしまったパーツとかあるんで、三十路になった今は「疲れが取れるまで休みなよ」一辺倒なんですけど、まあ、アップが遅れるっていうのは、気にはしますよね。分かります。
ただまあ、これで「休むな」っていう人は、「人にそれを要求するなら自分だって眠くても疲れても絶対休むなよ!?」って思いますし、いや、そこまで本気では思わないけどね、休んだほうがいいし(笑)
「甘い」って言ってくる人に対しては、「ハァ〜!?じゃあ、あんたさん、起きっぱなしで丸3日を超えても正気を保って、求められたものを描いて、機嫌を損ねることなく、最後まで談笑できる気力と、無言でも意識を飛ばさない意志を持って駆け抜ける業務を月に何本も続けられる私たちがあんたさんと比べて甘いかどうか同じ次元で働いてみなー!受けて立つよー!」みたいな漫画業界の奴隷経験に裏付けられた自信もあるんで、無茶な人が言う「甘い」も特に気にしません(笑)
お金頂いてしまっているので、深刻な事態にならない限り更新は満了するものだと思っていますが、スケジュールを動かせば済むものなら心身の健康は守らせてください。特にこういう、印刷の〆切がなくて、スケジュールを動かしても他の関係者さんが不幸になりにくい企画に関しては。
よろしくどうぞ!!
……さて(笑)私のダラダラした口上がダラダラ続いているうちに寡黙なサハラの作業はとっくに始まっています。


《サ》 とりあえず61で陰影を…なんかこう陰影をつけながら何貼ろうかな〜って考えてます。

〔担〕 この、上のやつは?切れっ端にしては濃いけど…。

《サ》 上にチョロっと貼ってあるのは『色見本』的に、61(番のトーン)の影と、この辺りの大きさのドット重ねたら、どれくらいの色になるかな〜?というような感じで重ねたりはがしたりしてました。

《サ》 「色」と呼ぶべきなのか、「ドットのサイズ」?「大きさ」?とかトーンの表し方って人それぞれですよね…まあだいたい「番号」で表すけど、珍さんが「色」派だったのであたしも「色」って言葉を使うようになりました。

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