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わたしが「自己責任論」から開放された日

台風19号の記録的な暴風雨で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。
昨夜は息子の学校の開校100周年イベントへ参加していたのですが、その間もずっとハラハラしながら、日本の状況を主にTwitterで追っていました。そんな中、目にしたこのニュース。

「税金を支払っている住民優先」「身なりや臭いが周囲に迷惑だから」台東区からはそんな回答があったとか。検索すると色々出てきますが、いわゆる『自己責任論』ここに極まれりという感じ。

一方で、兵庫県の朝鮮学校は避難所として開放し、地域住民を受け入れていたそうです。

「いい加減、役に立つ/立たないで他社の価値をはかるのは止めたらどうだ」という言葉が突き刺さります。

皆さんはどう思われますか?

自分の力だけで生きている?

対照的な2つのTweetを通して思うのは、自己責任論をかざす人の多くは『失敗は本人の努力不足』と考えているという事。実は、かつての私もそうでした。

諸々の事情で苦労の多かった子供時代を経て、成人後に自力で人生を切り拓いてきた、という自負があった私は、困難を乗り越えられない人に対して『努力が足りない』と考えていたんですね。

でもそれは、様々な偶然が重なった上での『乗り越えられるラッキーな環境だった』という一面に、少しずつ気付き始めます。そのキッカケは、世界への旅、子育て、そしてペナン生活でした。

南米やインドで出会った人々

世界中での出会いは、様々な経験の連続でした。

【ペルー】カフェのテラス席で私の飲みかけたジュースを仁王立ちで飲み干すホームレス女性に呆然。
【チリ】白人社会チリのキャンプ場では「チーノ(中国人を意味する差別用語)」と差別を受ける。
【ボリビア】現地ツアーで世界中から集まる旅人に『国籍による階層』が有り、日本人が最下位である、という事実に愕然。
【ネパール】エベレストの山麓では「ここは稼ぎが少ない、国外で働きたい」と旅行者を通じて他国へコネクションを求める若者に多数出会う。
【インド】生まれ持ったカーストで将来の職業まで限定されてしまう現実を目の当たりにする。

だいぶ端折って書きましたが、これらの国々で「本人の努力ではどうにも出来ない環境というものがある」という真実を知ったのです。

子育ては思い通りにいかない

子育ては、さらに思い通りにいかない事のオンパレードです(笑)
赤ちゃんは食事や睡眠などコントロール不可、幼児は服や靴に謎のこだわり、小学校でも生活習慣や忘れ物など何度言っても間違いを繰り返す。

もう、ほんっっっっとうに、全てにおいて親の思い通りになど進まないですね。子供自身やその友達を通し『子供(人間)には個々に資質というものがあり、個人差がある』という当たり前の事実を、実感するのでした。(現在進行形!)

喜んで騙されるペナンの人々

ペナンに来て驚いた事の一つ。銀行の前やナイトマーケットに来る物乞いの人々へ、まめに寄付しています。偶に居る”怪しい募金“にすら「もし偽物だとしても、小額だし」「自分は偶々ラッキーなだけだから」と寄付する人が多い。

「騙されたとしても良い」

と思ってるんですよ。これは結構、打ちのめされました。自分は本当に本当に小さな人間だったな、と......。

あと、交通事故が多いペナンで、人種を問わずに助け合う光景を何度も見ています。私自身も事故や故障時に、何度も通りがかりのローカルに助けられています。マレー系でも中華系でもインド系でも外国人でも、関係なくです。

だから、もし同じ災害がペナンで起こっても、避難所で浮浪者を排除するのはまず無い気がします。(仮に本音は違ったとしても、多民族国家の知恵として表向きは出さない人が多い)

「自己責任論」から開放されるとどうなるか?

自己責任論をかざす人は「自分は絶対にその立場にはならない」という根拠の無い自信があるのでしょう。それは逆に言うと『自分が責められない様に、無意識に気を張っている状態』でもあると思うのです。

でも現実には、事故や災害その他の不可抗力によって、誰だって弱者側になり得る。旅や子育て、そしてペナン生活でそれを知って「自己責任論」から開放された今、私自身すごく楽になりました。『他人を責めないという事は、自分自身も安心して挑戦し、失敗ができる』のです。物乞いの人々へも、自分のできる範囲で寄付します。私が今ここで生活できているのは『ラッキー要素』も多いのだから。

自分のために、自己責任論からの開放、おすすめです。

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筆者:長塚香里(ながつか かおり)|マレーシア🇲🇾ペナン島在住9年目の留学/移住コンサル。海外教育移住の「リアルで実践的なアドバイス」と「親子共に海外で自立するためのサポート」をペナンから提供中。18歳長女はインター校・中華学校2校を経て国立台湾大学へ進学。12歳長男はローカル幼稚園・インター校を経て中華学校に在籍中。世界をベースにした教育、日英中トライリンガル教育、多民族国家での気づきなどを書いています。移住相談、学校視察、執筆依頼などは beyondmalaysia.com へどうぞ

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