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月と六文銭・第十四章(17)

 田口たぐち静香しずかの話は続いていた。厚労省での新薬承認を巡る不思議な事件の話に武田は引き込まれ、その先の展開に興味を示していた。
 厚労省内クリニックのナース高島たかしまみやこは出張で東京に来ているビジネスウーマンに変装してパイザーのスペシャリスト・ウェインスタインに近づいた。

~ファラデーの揺り籠~(17)

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 翌日、高島都は社長秘書というイメージのタイトスカートのスーツを身に着け、バーでマティーニを楽しんでいた。昨日のアラフォー女性が座っていたストゥールに腰かけ、ウェインスタインが来るのを待った。
 同じストゥールにしたのは、別の席にいて見逃されるのも嫌だったし、もし、この席に対して何らかの思い入れがあるなら、必ず声を掛けられるだろうと思ったからだ。
 昨日、ウェインスタインが女性と出て行った後、バーテンダーと話していたら、「あの外国人のお客様は毎晩20時前後にいらして、1時間以内に女性と席を外し、その晩のうちに必ずまた戻ってきて、少し携帯電話で何かの映像を見てから部屋に戻っていきます」と教えてくれた。

***現在***
「胸の谷間をもう少し見せることとライン交換を提案されたので、情報と交換に胸元のボタンをもう一つはずして谷間とブラジャーの刺繍を見せ、バーテンダーとライン友になりました」
 田口は苦笑いしながら、今でも時々来るラインのお誘いを武田に見せた。
「しばらくはしつこくお誘いが来るとは思っていましたが、いざとなればブロックしてやり取りをやめちゃうことが可能だから、ちょっとだけもったいぶった後にライン交換に応じました。
 逆に一回くらいデートに応じて、死ぬほど怖い思いをさせて、二度と声を掛けてこないようにする手もあると思いますが、別の機会にあのバーを利用する可能性があるので、それはしない方が良いと判断して、取敢えず驚かすのはやめました」
 武田は田口の先読みを含めた仕事熱心な姿にいつも感心してしまう。

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