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天使と悪魔・聖アナスタシア学園(41)

第四十一章
 ~夢の中の現~

***
 マサミの家の屋根の上でユータリスは、アメヌルタディドの兄である本当のルキフェルがマサミとユリに接触していることを確認した。せっかく計画を進めるチャンスだと思っていたのに、そのルキフェルがそこまで来ていて、自分たちの計画が露見する可能性があることを至急アメヌルタディドに報告しないといけなくなった。下手をすると、全能の神に自分達が罰せられる可能性があることを自覚して行動しないといけない。

<警戒する必要はあるが、今はできるところまで進めよう!>

 ユータリスはニヤリと笑い、ポンと跳ねると5センチほど浮き上がった後、そのまま屋根を透過して、ユリの寝るベッドルームに音もなく着地した。

<ほお、完全に安堵したような顔で寝ているな。ならば、これはどうだ?>

 ユリは深く眠り、朝まで起きなかったと自分では思っていた。ところが、思い出せない夢があった。夢だったのかは、ユリ自身は分からない。しかし、インキュバスであるユータリスが斉藤雄太に化けてユリの夢の中に侵入していた。

「ユリ君」
「あぁ、先生!うん、うぐ」

 ユリは斉藤とキスをした。唇を開き、舌を絡め、唇の横から唾液が流れていった。ユリは斉藤に胸を掴まれじっくり揉まれていた。逆に、ユリは斉藤のペニスを掴み、反り具合に合わせて摩って硬くしてあげた。

「ユリ君、気持ちいいよ」
「ホント?私もよ」

 ユリは手を動かすスピードを上げ、斉藤のペニスがある程度の硬さになるまで続けた。

「ほら、硬くなった!」
「ユリ君はどうだ?」
「え、アタシの乳首、硬くなってるよ。もっと触って!うううん、吸って!」
「ああ、吸うよ」
「あん、気持ちいいわ」
「僕のも」
「うん」

 ユリは起き上がり、膝立ちでペニスを突き出している斉藤の股間の前に顔を寄せて、屹立したペニスを口に含んだ。硬くなった乳首を指で摘ままれ、乳房全体を揉まれ、口はペニスで一杯のユリは幸せを感じていた。
 今夜は大天使ルキフェルと交わる可能性があったが、ルキフェルが交わったのはマサミの方だった。自分は明後日まではそういうことはない。やはり、好きな人としなくちゃね!

「ああ、先生、欲しいわ。先生の入れて!」
「何を?」
「えぇ?先生の!」
「だから、僕の何を?」

 ユリは硬くなって反り返っていた斉藤のペニスを握った。

「お、ちん、ちん!」
「よし!」

 斉藤はユリの肩に手を乗せ、力を入れて後ろに倒すつもりだった。ところが、ユリは抵抗し、内側から斉藤の両腕を払い、自分の方から斉藤を押し倒した。

「やっぱり、アタシからいっちゃう!」

 ユリは押し倒した斉藤の腿の上に座り、一度ペニスの位置を確かめてから、改めて跨った。ルキフェルに抱かれなかった安心感か、その緊張感から解放されたからか、夢の中のことだと思っているからか、そのまま上から斉藤のペニスを飲み込み、腰を押しつけてグラインドを始めた。自分の夢の中で自分が主導権を握っているので安心して斉藤とセックスを始めたのだ。
 斉藤に自分の胸を掴ませ、自分は腰をクイクイッと動かして、自分も気持ち良くなり、斉藤も攻めた。
 数分、あぁあぁあぁという嗚咽が続き、自分の胸を掴んでいる斉藤の手首を掴み、さらに腰を振るスピードを上げ、まるで馬に乗って疾走しているかのような騎乗位の名にふさわしい動きを見せた。

「先生!先生!アタシ、イきそう、いい?イっちゃって、いい?」
「僕もイくよ、一緒にイこう!」
「はっはっはっはっ、イくイくイくイく、イくぅ、イくぅ、イっく、は、イく!」
「僕も!」

 ユリは腹が前後に激しく動いてイったのを表していた。斉藤はガシッとユリの腰を掴み、下からグンと突き上げて、ユリの一番奥にドクドクとたくさん出した。
 まだ体を震わせていたユリが腰を上げ、中からあふれ出てくる精液を見ていた。

「うわぁ、先生、たくさん出たね!気持ち良かった?」
「あぁ、すごく良かったよ!ユリ君は?」
「久しぶりに本当に気持ち良くなれたわ」
「良かった」
「私、このまま寝てもいい?」
「いいよ、おやすみ」

 斉藤はユリのおでこにキスをした。
 ユリの夢の中の理想的なセックスは終わった。ここ数週間はインキュバスに狙われていて、ボーイフレンドとのセックスはおろか、怖くてセックスの夢すら見られない状態だったのが、今夜ルキフェルに会って状況を説明し、自分自身、それで安心したのか、夢の中で最高のセックスができた。

***
 翌朝、思い出せないが、夢の中で何かいいことがあった気がするユリは、とてもポジティヴな気持ちで目覚め、二つ先のベッドで眠るマサミの様子を窺った。
 マサミはスヤスヤ寝ていた。昨晩自分が運んで寝かせたままの姿で寝ていたので、ずっと起きなかったのだろうとユリは思った。

「昨日はありがとう、マサミ。多分、これで何もかもうまくいくと思う」

 マサミはウニャムニャ何か寝言のようなことを言ったが、再び深い眠りに落ちたようだった。
 ユリはここ数週間ぶりに本当によく寝られたと思い、マサミに感謝していた。
 そうだ、今日は銀の十字架を探して、学園内にいるユータリスの仲間を探すことになっているのだった。

<マサミを起こして、十字架を探して、学校に行って、どんどん解決して、自分の生活を取り戻さないと!>

 ユリは久しぶりに前向きな気持ちになっていた。少しだけ気になっているのは、明日の晩、自分では天使か悪魔かは判断できない天界の住人を受け入れないといけないことくらいか。
 昨日のマサミの苦しみを見ていたら、ある程度の経験のある自分ならば、よっぽど乱暴に扱わなければ我慢できるだろう。いや、ルキフェルはマサミを傷みつけようとしていたのではなく、マサミは本当に初めてだったし、チラッと見た感じではルキフェルのアレは結構大きかったから、あんなに苦しんだのだろう。
 マサミは降霊の会でも誰かを呼び出して西の部屋で秘密の関係を持つこともなく、かといって、それを求めたメンバーを軽侮するわけでもなく、ただ単に「自分は、今そういう行為をする必要がない」ということだった。もちろん他の子たちと同じように、性的興味がないわけではないが、結婚するまでは必要がない行為だというのが彼女の考えだった。

<私は好きな人しか受け入れたくないが、望まない妊娠による社会的制裁、或いは社会的抹殺は避けないといけないことは、幾ら未熟な高校生でも分かる。この状況を改善するための援助を受けられるなら、私はルキフェルを受け入れる。私には人生でやりたいことがいっぱいあるし、好きな人と結婚したいし、幸せな家庭を築きたいし。自分の軽はずみな行動が原因とは言え、悪魔に人生をめちゃくちゃにされるのはごめんだ!>

「ねぇ、マサミ、起きる時間よ」
「え、もう朝?なんかめちゃくちゃ辛い夢見たよ」
「どんな夢?」
「恥ずかしいんだけど…」
「え、大丈夫だから話して」
「うん。知らない男性に両脚を広げられて、そのまま体を二つに裂かれるような痛みを感じて、起きるんだけど、そこに別の男性がいて、アタシの脚を掴んでいて、また同じことをするの」
「え、同じこと?」
「うん、それでね、起きている時に感じる本当の痛みみたいのはないんだけど、ハッと目が覚めると同じ状況で、また別の男性がアタシの脚を掴んでいて広げるの。とにかくアソコをじっと見られるのが恥ずかしいのと、絶対アレを入れられているはずなのに、痛みとかはないけど、入れられているのが自分では分かっているという。なんか変な説明でごめんね」

 ユリは昨日のマサミの状況を思い出して、もしかしたらそれが夢に反映されているのか気になった。

「痛みとかはないの?」
「うん、不思議と逆なの。夢の中であんなに広げられたら、股関節が外れてそのまま体を裂かれそうなのに痛みは全くなくて、昨日、ルキフェル様に、ほら、アレ、されて、しゃべっている今もジンジン痛くて痛み止めとか、麻酔剤みたいのを塗りたいくらいなんだけどね」

<マサミは覚えているんだ、ルキフェルにされたことを。当たり前か、あんなに叫んで、出血もして、無理やり"女"にされたんだもんね>

「夢の中では何もされないの?ほら、昨日、アレ、初めてだったでしょ?そのトラウマみたいのが夢に出ているのかと思って」
「そうね、そういうことも考えられるけど、何か違う気がする。ユリはどうだった?昨日はよく眠れた?」
「うん、ありがとう。昨日は久しぶりにユータリスのことを心配しないで眠れたわ。私達にはルキフェル、ルキフェル様、がついているから大丈夫だと思えたわ」
「よかった!さ、銀の十字架、さっさと探して学校に行こう。ユータリスとその仲間を駆逐しないとサクラとスミレの仇は取れないし、私達には平和な学園生活は戻ってこないから」
「でね、今夜もここに泊まっていい?なんか一番安心できるところのような気がして」
「もちろん、いいよ。ママに朝食の時に言っておくわ」
「ありがとう」

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