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音楽生成AI「Suno」に触れて思うこと

こんにちは。
普段は画像生成AI(niji journey)をつかって、
AIイラストを生成しているまにまに(@mani_mani20)と申します。
今回は最近触れている音楽生成AI『Suno』について書きたいと思います。



1.Sunoって何?

音楽生成AIの『Suno』は2023年9月に海外でリリースされたAIで、今までの音楽生成AIと違い、歌詞と音楽スタイルを入力することで「歌声」を含めた曲が出来上がるというところが画期的なWebアプリです。英語はもちろん日本語などのいくつかの言語にも対応しています。歌詞は自分で考えてもいいですし、SunoにChatGPTが搭載されてるので、AIにおまかせすることも可能です。

Suno自体はWebかDiscord上で無料で誰でも使用でき、サブスクに加入すれば生成できる回数も増え、商用利用も可能になります。

サービス公開当初は生成できる曲の長さが1分以内なうえ、日本語の発音も所々怪しかったのですが、11月下旬にアップデートが入り、1回で生成できる曲の長さは1分20秒まで延び、日本語の発音もかなり自然になり、全体的にクオリティが上がりました(12月3日現在でアップデート版が使用できるのはWebのみで、Discordは未実装)。
Discordで使用する場合は「/chirp」コマンドを入力して生成するのですが、Discordの操作に慣れていないと少し分かりにくいため、Webで使用することをおすすめします。

2.今までつくった曲

11月下旬にSunoがアップデートした後に私がつくったAIソングを載せています。


私がつくったものは暗い曲調のものが多いですが、もちろん明るい曲調もつくれます。私が音楽スタイルに入力する欄はクオリティが安定しやすい「J-Rock,female vocal」にすることが多いです。他にも「J-POP」や「ballad」や「country music」、「piano」、「vocaloid」なども使用できました。ただ、男性ボーカルは歌声が機械っぽくなりやすいので、女性ボーカルの方が自然になりやすい印象です。あとは、やはりAIの学習量の差からか、英語の歌詞の方がより自然な曲に仕上がりやすいです。

3.Sunoについて思うこと

最初触っているうちはChatGPTに歌詞を任せていましたが、最近は作詞を自分でするようになりました。そこから没を含めて10曲ほどつくってみたのですが、今の実感として思うことを書き連ねていきます。

①それっぽい曲をつくるのは上手

日頃、画像生成AIやChatGPTに触れている方はよくわかると思うのですが、今の生成AIは基本的にかなり「それっぽい」ものをつくることが上手です。
Sunoも同じで、どこかで聞いたことがあるようなそれっぽい曲をつくるのは上手です。実際にありそうでない、そんな感じの曲をつくってくれます。おそらく「AI製」であることを伏せて誰かに聴いてもらったら、既存の何かの曲だと思う人もいると思います。もちろんプロの視点から見れば、まだまだ荒いところもたくさんあると思いますが、素人目線からすれば十分曲として成り立っているのでは?と思うこともしばしばです。

②ネタの枯渇が画像生成AI以上に早い

これは現在のSunoの生成過程が大きく関係しているのですが、このサービスを使用する時に人間側がやることは「歌詞の入力」と「音楽スタイルの指定」のみのため、よほど日頃から「音楽をつくりたい!」と思っている人ではないと、すぐにつくりたい曲が無くなると思います。画像生成AIでプロンプトを考える事と、作詞をする事は全然違うプロセスを辿る作業のため、ここはしょうがないと思いました。ただ、今後のアップデートで、曲の長さ、歌声の強弱、使用する楽器などの細かい調節ができることはほぼ間違いないと思うので、そうなればもっとやれることは増えるでしょう。

ただ、X(旧Twitter)と動画の相性はあまりよくないため、SNSでSunoが流行るとすればTikTokの方が有利かなと個人的には思っています。

③著作権はどうなるのか?

私が作詞をおこない、AIに指示を出して生成した曲に対して「これは私の曲です」と言うのは、微妙に違う気がします。歌詞の著作権は私にあるかもしれませんが、曲作り自体は全部AIにやってもらっているので「AIにつくってもらった曲」という感覚の方が強いです。この辺りは画像生成AIと同じ歴史を辿る気がしています。AIソングが徐々に増え始め、音楽生成AIが世間に認知され始めてから、レコード会社や音楽業界の団体が動き出すのかなと思います。ストリーミングサービスなどはAI製の曲の規制などを始めるかもしれません。

既に既存の歌手の歌声をAIに学習させてつくられた曲はYouTube等にもたくさんあがっていますし、技術的にそういうことは可能になってしまっているので、今はSuno自体が悪用されないことを祈るばかりです。

4.AIの歌で涙を流す日はくるのか

最後に、Sunoなどの音楽生成AIや他の生成AIがさらに進化した後の世界のことに思いを馳せて終わりたいと思います。最近、SunoでつくったAIソングを、普段全く生成AIを触っていない人に聞いてもらったところ「ふつうにこういう曲ありそう」と言う意見がありました。私はそれを聞いて、音楽に限らず、人とAIがつくったものが混在することが当たり前な世界がくるまでそう遠くない気がしました。

人間ができることがAIにも容易にできるような世界では、コンテンツは無限に生み出され、あらゆるものを「人間製」か「AI製」かを人が判別するのは不可能に近いでしょう。ただ、人とAIの決定的な違いはストーリーの有無です。AIそのものにストーリーはありません。ストーリーをつくるのは人間の仕事です。よって、AIの歌に何らかのストーリーを人が織り交ぜることでいわゆる「泣ける曲」は生まれるでしょう。それはどんな曲なのかはまだ想像できませんが、きっとその頃には今とは異なる価値観で私たちは生きていることでしょう。

これは昨年から常々思っていることですが、私たちは今、愛とは、表現とは、創作とは、アートとは、そういったあらゆる言葉や概念を一から考え直す時代に生きているのだと思います。私たち人間にとって、あなたにとって、何が最も大事なことなのか、それを考えることが、この先のAI社会を生きる上で最も必要なことなのかもしれません。

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