フェミニストとプロ奢の一件について

今朝、プロ奢ラレヤー周りが面白い荒れ方をしていたので、そこで思ったことなどを書く。

顛末は上の記事を読んだらおおよそ分かるのでまず読んでほしい。

僕が注目したのは「フェミニスト側がプロ奢ラレヤー側をハラスメント男認定したことによって見えたこと」で、以下の2点を興味深く感じている。

・どうしてプロ奢ラレヤー側をハラスメント男認定したのか
・どうして「主義・思想を主張するもの」があえて「議論を避ける」ようなことをしたのか

1点目については多分プロ奢本人のツイートが発端なのだけど、個人的にはこれを「フェミニストへの攻撃」と解釈する人は読解力が不足していると思う。

「認識してしまっている」ので「勉強したいと思う」、という文章のどこにも「フェミニスト」や「女性全般」への攻撃の意図は入ってないと思うのだが、どうだろう。議論の前の自分の状態を明らかにしているだけで、むしろ議論を通じた理解を深めようという「握手」のような発言だと思うのだけど。

まあこの発言がTwitter上では燃えに燃え、結果としてはプロ奢ラレヤーの懐が潤って終わった(流石に笑った)。そして日本語が読めないタイプの人がプロ奢ラレヤーへのヘイトを表明し、その波紋がフェミニスト側の出席者に「ハラスメント野郎」という印象を植えつけたのだろう(と認識している)。

客観的に見れば、立ち合いの場で握手してきた相手の手をはたき落とすような行為だ。格闘技の試合ではまれに良く見るムーブではある。同じようにフェミニスト側のパフォーマンスの一環だったのかもしれないが、客観的には「プロ奢ラレヤーを議論の場でボコボコに論破する」みたいな狙いしか汲み取れないし、これから議論を始めようという相手に対して取る態度ではないと思う。

2点目について事実のみを書くと「フェミニスト側の出席者が『プロ奢ラレヤー側の出席者がハラスメント発言をする恐れがあり、そのような発言があった場合は議論を打ち切る』と主催者に表明し、それを主催者がそのままプロ奢ラレヤー側に伝えた」(意訳)というものだった。

晒されていた主催者側のDMを読む限り「どのような発言がハラスメントにあたるか」というようなラインは一切示されていないので、プロ奢サイドが「フェミニスト側に都合の悪い議論になった場合は一方的に議論を打ち切り退場する」という表明と受け取るのは自然だろう。

これは実質議論自体を拒絶しているのと等しい。また、フェミニスト側の主張を否定するような発言がすべてハラスメントと受け取られる恐れがある中、わざわざ時間を割いて公開議論に出席する意義はゼロだ。

フェミニストにとってフェミニズムが単なる「思想」であり、そこから導かれる社会や個人の行動についての「意見」を表明しているだけであれば、わざわざそんなことをするメリットはない。今回の一件でフェミニスト側の出席者が示したのは、「自分たちにとってフェミニズムは思想ではなく主義であり、それを否定するのは許さない」というスタンスだ。

主義、という言葉を調べてみると、こんな文章が出てくる。

資本主義とか社会主義、自由主義みたいな言葉があるのでそれを例にしてみると、「資本主義は絶対に否定させない、否定するものは社会の敵だ!」みたいなニュアンスになるだろう。そんなことを言う経済人や政治家がいたら、僕はまず警戒するし信用もしない。

「主義」を「思想を具現化したシステム」ではなく「絶対的な真理」として扱って議論や検証を拒絶すると、その思想はそれ以上変化しなくなる。環境に合わせて変化しない思想はいつか消え去る。そのような未来を暗示するような事象を起こしてしまったことについて、フェミニスト側の関係者はよく考えるべきだと思う。

最後に、僕はフェミニズムを否定していない。なぜかというと、フェミニズムが現在どんな思想と主張を持っていて、社会をどう変えようとしているかサッパリ分かっていないからだ。metooのような個別的な事例はいくつか見聞きしているが、それらを一気に解決するような社会システムについてのまともな議論をまだ見たことが無い。

女性の社会的立場を男性と同水準まで引き上げる、というのは「手段」であって目的ではない。僕は「何を解決しようとしているのか」「逆にどのような問題が起こるのか」が目に見える場所で議論されることを望んでいるし、それがフェミニズムの広がりと成功に有効だと思っている。フェミニストの方々の今後の動きに期待したい。

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