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逃げる逃げない

逃げるが勝ち、ということわざがあります。

でもことわざはあくまでたとえだから、逃げるのも時と場合だと思います。

そもそも逃げる、という言葉は2通り捉え方があって

・自分の命など大切なものを守るためにその場から離れる

・自分がやらかしたことへの取るべき責任を放棄してトンズラをかます

だいたいこの2パターンに集約されると思います。

たとえば学校でいじめに遭っている。

職場がハラスメントの嵐である。

家庭で虐待や暴力に耐えている。

これらの環境は自分の生命や精神をおびやかすものなので「逃げるが勝ち」があてはまりますが、その本当の意味は、逃げる→自分を不自然な状態にさせている環境から抜け出す→自分が自然な状態になれる環境へ移行する→自分を正常に戻す、ということだと思います。

だから状況としては逃げてるように見えるけど、実際は自分にとって自然な生き方へと自らシフトしたので逃げというより進化です。

逃げてはいけないものがあります。

それは自分自身です。

自分から逃げるとロクなことになりません。

いじめやハラスメントや虐待から逃げた人は、その前に必ず自分と向き合ってると思います。

自分は本当にこのままでいいのか?こんな生き方で後悔しないのか?なんで無駄な我慢をしているんだ?と自問自答してから、

「よし!!こんなところはイチ抜けだ!!」

と行動に移してる確率が高いんじゃないかと思います、人生を無駄にしないための途中離脱は、むしろより自分自身らしくなれる正常な道への軌道修正なのでそういう意味では「逃げ」にはならない気がします。

逃げ出したくなる理由は人それぞれだけど、問題はちゃんと自分と向き合ってるかどうかだと思います。

自己愛や欲望の強い人は、責任を取りたくないからとか、説教されたくないとか、自分を責められるのがイヤという理由で逃げます。

借りた金を返さない、二股かけてシラを切る、などは典型です。

彼らは状況から逃げてると同時に、その本質は自分の弱さからの逃走です。

自分の狡さ、怠惰さ、色情、嫉妬深さ、そういう自身の悪い癖を認めたくない、向き合いたくない。だから逃げ出す。

それが「すべては他人のせい」「自分は悪くない」につながり、結局反省できず、屁理屈だけを並べ立てて、また同じことのくり返し。

自己愛が強いと特にそうなります、結局それは幼児性です。

幼児性は根拠なき万能感を得ようとし、それが自己愛になり、努力はしたくないけどハイレベルな自分像は維持したい、だから周りを犠牲にしてでもラクな生き方をすることにつながります。

自分と向き合えない人は、自分が大したことのない人間だと本当は気付いているのに、それを認めるのが恐ろしいだけです。

反対に、自分の挫折を受け入れた人は強いです。

その環境から離れるとき、自分は完全に敗北したのだ、と認めることは大事です。

ちなみに敗北とは、いじめっ子に負けたとか上司の嫌がらせに屈したとかそういうことじゃないです。

自分はこの人と、この場所と、良い関係を構築できなかった、そしてそれは今後も不可能なのだ、その事実を真正面から認めるという意味での「負け」です。

そもそも人間関係は自分一人で決められません、相手の自由意志もあるから、こっちの思い通りにいくかどうかは五分五分なんです、だから「それでもいつかうまくいくかも」「いじめがやむかも」「仲直りできるかも」という淡い期待なんてスッパリやめて、この人とはだめだった、だめなものはだめだったのだと一度受け入れたほうがいいです。

敗北とはそういう意味です、語弊があるのは百も承知、人間関係でどうしようもなくこじれたときは素直に負けたと思うと、それが自分のエゴを捨て去り、挫折をすみやかに受け入れることにつながります。

「他人には期待しない」という重要なことをそれで学べるからです。

自分の挫折を受け入れることがなぜ大事かというと、ゼロに戻す作業だからです。

中和力が働くから、立ち直りが早くなります。

一度挫折を認めると、ゼロに戻す力が動き、反作用で自動的に明るい開き直りが生まれ、新しいものの見方が生まれます。

自分から逃げなかった、とはこの経緯を経た時点で言えるものだと思います。

自己啓発本とか自称ヒーラーとかはすぐ「逃げていいんだよ」などと言いますが、苦しいからといって安易にその言葉に飛びつくとかえってさらなる地獄にはまることになるわけです。

うまくいかない原因は自分の心に必ずあるから、そこからは絶対逃げないほうがいい。

ちゃんと納得してから行動したほうがいいです。

自分の頭で考えられたなら、自分がそれほど大した人間じゃないとわかります。

そうすると逆に自然になれます。

出したものがかえる、だから、自然な状態で過ごす時間を長くするだけで、自然な生き方につながる何かとめぐり合えるチャンスは必然的に増えてきます。

自然体、という言葉は使い古されすぎてますが、自然体とは簡単なようで相当難しいです。

欲望のままに生きることを自然体と勘違いしてる人もいます。

自然体とは全体と調和して生きることだから、真に自然体で生きていれば絶対他人を不幸にしないはずです。

自分に正直に、とは、自分自身が誰よりも自分に厳しい監査官になってあらゆる本音をチェックすることを言います。

本当の「逃げない」とはそういうことだと思います。

#日記 #エッセイ #逃げる #逃げない






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