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「プライドが高い」は「誇り高い」か?

情熱と勢いだけで小説を書いて一年が経ったので、ここいらで勉強なんか始めてみようと思っています。文章の書き方、文字の組み方、漢字の表記ルール等、知らないことはいっぱいです。
今回は言葉のお話です。

「プライドが高い」「誇り高い」
これ、絶対イコールの関係じゃないでしょ!!

「あの人プライドが高いよね」と言ったらそこにはネガティブな要素があるけど、「あの人は誇り高い」は崇高な感じがする。
他の人がプライドと誇りをどこまで使い分けているものかはわからないけど、少なくとも尊敬している人に「あなたはプライドが高いですよね!」とは絶対言わないでしょう?

この違いがわからないと日本語学習者が言っていたことをふと思い出した。
なるほどね。
翻訳アプリに「pride」と入れると「誇り」と出るものね。
「プライド」とカタカナになった時点でそれは日本語で「pride」とイコールではないのがややこしいところ。

辞書を引いてみましたよ!(明鏡国語辞典 第三版 大修館書店)

プライド 誇り。自尊心。

誇り 誇ること。また、その心。

自尊心 自分の人格を大切にし、品格を保とうとする気持ち。また、自分を価値のあるものと思う気持ち。

誇る ①他より優れていると確信して得意になる。また、その気持ちを態度や言葉にあらわす。自慢する。②長所として認められるものをもつ。また、それを名誉と思う。

得意 ①自分の望み通りになって満足していること。②いかにも誇らしそうなこと。③熟達していて、自信があること。④よく品物を買ってくれる客。いつも商売上の取引をしている相手。顧客。

おや、プライドのところに誇りと出てるのね。
自尊心も誇る①も自分が思うことで、誇る②は他者評価があってのことなのが興味深い。
「誇る」の項目を読んでちょっとびっくりした。
得意になる、とか、自慢する、と日本文化的にはネガティブな要素が入ってきたので。

国語辞典にも「プライド」=「誇り」と出てはきたけど、同様に使われているかというとやっぱり疑問が残る。

「ドヤ顔」という言葉がある時生まれたけど、これも説明が難しい言葉のひとつ。特にアメリカ人には納得してもらうことができなかった。彼らにとっては当たり前にする表情の一つだからね。誇ること、自慢に思うことに何の躊躇いもないし、非難されることももちろんない。それがアメリカ文化。「ドヤ顔してる」ってやっぱり少しネガティブ要素が入ってると思う。
これを「誇らしげな顔」と言い換えることはできないんじゃないかな。
日本では自慢することは良くないとされる。だから褒め言葉には「そんなことないですよ」と返すのがお決まりパターン。
アメリカ人からすると、これはすごく痛々しいらしい。
「自慢してもいいんだよ?」とわざわざ言われるくらいにはそう見える。

言葉のニュアンスというのは、コミュニケーションにおいて重要だけど、それを知ることは難しい。辞書を引いただけじゃ、全くわからない。
「慣れだよ」というのは簡単なことだけど、何の解決にもならないんだよね。日本人が当たり前にする行間を読む行動は全人類に搭載されているわけじゃない。日々精進した結果、研ぎ澄まされた能力でもあるからそれを別の文化から来た人に期待するのは酷なこと。日本で教育を受けて長時間を過ごしても完璧にできない人だっているしね。

小説を書くようになって、言葉の意味について考える時間が増えた。
辞書を引くことも大切だけど、それだけじゃわからない。
言葉は生き物だから、どんどん言葉の持つ印象は変わっていくし、誤用が多数になればいつしかそれでも通じるようになる。たとえそれを誰かが嘆いても止めることはできない。

海外に住むと、意識しなければ日本語の情報が入ってこないから、どんどん言葉の使い方を忘れていく。現地の言語が入ってくるスピードより、日本語が抜けていくスピードのほうが早いんじゃないかな。
知らないうちに増えた言葉や使われる頻度が高くなる言葉の存在に気がつけるのは面白い。ただ、困るのは誤用されている言葉を聞いても違和感を感じなくなり、いつの間にかどちらが正しいのかわからなくなること。在外日本人の中には日本語がカタコトになっている人も多い。私もそんな部分があるのかもね。でもきっと間違いを教えてもらえることはないんだろうなという予感。

日本人の見て見ぬ振りは優しいようで、時に残酷だなと日本人と接することの多い外国人の話を聞いて思う。そこに疎外感を感じることは多いらしい。
確かに自分だけ知らない、教えてもらえないって寂しいもの。
日本人の皆さん、知っていることを「これはこうだよ」とドヤ顔で教えてもいいんだよ?
なんて思ったりして。

個人的に大人がはしゃいだり、得意な顔をしているのが好きなので、アメリカ人を見ていると気持ちが良い。
日本では遭遇回数がぐんと減るけど、創作界隈などオタクの集まるところでは見られるのが嬉しい。
創作にはしゃぐ皆さん、これからもどうぞそのままで。
頑張ったら得意な顔してください。
好きなことに一生懸命なの素敵ですよ。


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