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両親への、移住から9ヶ月経っての失望と困惑

1年ばかり前にいきなり
「(それぞれ結婚して家庭がある)娘2人が今居住する地だから」と、当地に賃貸物件を契約して移住すると両親が言いだした。
地元の町政に愛想が尽きたのだという。
86歳と82歳。ひとりっ子の長男と、3人娘の長女として生まれた両親は、ほぼずっと地元で生きてきた。母は満州生まれで幼児期に帰国したし、狭いエリア内での短期間の移動は経験したが、2人とも物心ついてから他県に住んだことはない。
よほどのことだと思った。
ちょうど私は故郷の地域包括に両親のことを相談するつもりで休みを取っていたから、帰って話を聞いた。
そのときには、まだ両親の考え方や価値観、経験に裏打ちされた判断を信頼していた。


おかしいと感じ始めたのは、妹と物件探しをし始めてからだった。

高齢者可の物件を調べて情報を送るのだが、両親の反応は今思えば、物見遊山に行く者が旅程表やパンフレットを見ているような感じだった。浮足立った希望・願望は好き勝手に言うのだが、具体的な事務の話になると、明らかに投げやりな態度を見せ、
「わからん。任せる」
となる。
任せると言われても実際に住む当事者が判断しないと始まらないことはたくさんある。


今感じているのは、
やられた
ということ。

80年以上の人生経験・世間知を使い、
最初からそのつもりだったかどうかはともかくとして、結果としては
娘2人の人生と時間、作り上げた(と両親が勝手に思い込んだ)『人脈』(実際にはそんなものはない。人間関係とはお互い様・持ちつ持たれつ であり、一方的にもたれ掛かるようなものではないのだから)を利用しに来たのだ。


やりたいようにふるまい、やりたくないことは必要なことであっても屁理屈をこじつけてなりふり構わず逃れようとする。
理をわけて説明し、選択肢を示しても、
「親に向かって!」
と、声を荒らげて見当違いの抗議をする母。
必要なことを聞こえないふりでスルーし、要求だけは「◯◯しようか」と、偉そうに言う父(「◯◯してくれませんか?」「◯◯をお願いできませんか?」と本来言うべきところで)。

「お医者さんがいけないと言ったから」「理学療法士さんがやめたほうがいいと言ったから」などとその場しのぎの稚拙な嘘を次々とついて糊塗して、バレると黙り込む母。
以前、「お医者さんがお父さんのことでご家族に大事な説明があると言われたの」と口から出任せの嘘をついて妹の仕事を休ませ、妹からその話を聞いた私は嘘と知らずに病院に問い合わせて、電話の保留が長いなと思ったら、医局の医師を呼び出しての騒ぎになっていたときはすごかった(「今医局に問い合わせましたがそのような予定はないそうでして…」と、6分後に済まなさそうに答えられた。申し訳ないのはこちらの方であった)。結局、妹から『介護休暇』のことを聞いた母が、早速その制度を利用させようとしてついた嘘だった。(注:介護休暇は、取らせればよいのであって、有給である必要まではない。たまたま妹の職場は有給扱いだったらしいが…。)母は、
「嘘なの?どうしてそんな嘘ついたの?」
と尋ねる妹に、
「(仕事がたいへんだから)休みを取らせてあげようと思って」
と答えたらしい。

「確定申告はめんどうだからやらない」
と父が言うので、弟妹と3人がかりで集まって(弟は新幹線で3時間かけて来た)作業したら、追加納付が必要だった。やらなかったらとんでもないことになるところだった。聞けば、これまでは父が地元の商工会に持って行っていたらしい。
「◯◯しようか」的な感じで…?
ちゃんと、お願いしますと言っていたのだろうか…?

地元では今頃、ホッとしているのではないだろうか…。
ちなみに、2人とも今のところは認知症ではない。
歳を重ねると、もともとの性格がはっきりと出てくるというが…?

困った。
私はあの2人の血を引いている。


ひとつはっきりわかったことがある。
介護離職をしたら、経済力を失ったうえに親の無理難題に向き合うことになり、たいへんな目に遭うだろうということ。







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