J1リーグ2023シーズンは早くも2～3月の日程が終了。
昨年とは大きく様変わりした順位表となり、どこが優勝するか分からないというJ1リーグの魅力が今年も爆発している。

ということで、躍進を続けるチームから中心に2～3月度のマイベストイレブンを選出する。

GK　ミッチェル・ランゲラック（名古屋グランパス）
6試合で2失点という数字は見事。守りから入る名古屋にとっては、失点が1か0かで勝ち点に大きな差が出てくる。何よりも安定感があり、大雑把な攻撃やシュートは簡単に通さず、1対1のセーブ率も高い。Jリーグ最高のキーパーの座を確固たるものにしようとしている。

DF　中谷進之介（名古屋グランパス）
ランゲラック同様、その数字を評価。更には全試合フル出場で警告0とこの上ないパフォーマンスを見せている。ボールの持ち運び、パスの能力も高く、名古屋の3バックを高いレベルで成立させているキーマン。

DF　角田涼太朗（横浜F・マリノス）
昨年のMVP・岩田智輝の移籍の穴を見事に埋めている。スピードと読みを生かした安定した対人守備で、ハイラインを誇る横浜FMのディフェンスリーダーに成りつつある。試合中にセンターバックからサイドバックに移動するユーティリティ性もチームにとって貴重だった。

DF　酒井高徳（ヴィッセル神戸）
チーム事情により右のサイドバックでの起用が増加。アグレッシブなハイプレスという今季からのチーム戦術に彼の持ち味が完全にマッチした。フィジカルを武器に右サイドを制圧する様は、さながら和製カイル・ウォーカー。第3節ガンバ大阪戦ではキャリア初の2得点もマークした。

MF　川崎颯太（京都サンガFC）
京都サンガFCの新キャプテン。攻撃的な4-3-3に取り組んでいる京都において、彼のボール奪取から攻撃に繋げる能力は代わりが利かない。中盤の底からの精度の高い長短のパスに加え、第3節FC東京戦ではチームのリーグ初得点も決め勝利に貢献。そこからの3連勝の足掛かりを作った。

MF　齊藤未月（ヴィッセル神戸）
首位を走るヴィッセル神戸にインテンシティを与え続けている。アンカーでもインサイドハーフでも激しくボールにアタックし、前線のタレントの為に汗をかく。動きながらのディフェンスが鋭く、中盤の制圧力にますます磨きがかかっている。齊藤未月の加入こそがヴィッセル神戸のスタートダッシュの要因ではないだろうか。

MF　伊藤涼太郎（アルビレックス新潟）
J1に現れたニュースター。秀逸なテクニックと意外性のあるプレーでチームの攻撃を一手に担った。ターンの質、ラストパスの精度はリーグトップクラスで、伊藤にボールが入るとピッチ内のテンションがグッと上がる。思ったように勝ち星を拾えていないチーム状況の中、才能の片鱗を証明し続けている。

MF　大久保智明（浦和レッズ）
今季の浦和レッズのアグレッシブさを象徴している選手が彼だ。キレのあるプレッシングで守備のスイッチを入れ、ライン間でボールを受ければ一気に持ち上がり攻撃の起点に。持ち前のスピードで攻守両方に推進力をもたらし、首位神戸相手に土を付ける原動力となった。


FW　町野修斗（湘南ベルマーレ）
何といっても第6節のガンバ大阪戦。Jリーグ史上初となる前半のみでの4得点を記録。この試合のみならず、持ち前のプレス強度・ボールを収める能力にますます磨きがかかっており、押しも押されぬ湘南の顔に。日本代表経験を経てより一層スケール感が増した。

FW　キャスパー・ユンカー（名古屋グランパス）
ボックス周辺でのパターンの多さは垂涎もので、高さ・巧さ・速さとストライカーに求められる全て持ち合わせているプレイヤー。名古屋のシンプルなカウンタースタイルに完全にフィットし、昨年以上にそのポテンシャルを発揮。圧倒的な決定力で名古屋の上位進出に貢献した。

FW　大迫勇也（ヴィッセル神戸）
とにかく「大迫勇也、ここにあり」といった存在感だった。代名詞のポストプレーはもちろん、ゴール前でのフィニッシュの精度もますます増している印象。神戸の実践するハイプレスの強度も高く、32歳にして一段階レベルの違うパフォーマンスを見せてくれた。

今季のJリーグの傾向として、ボールを握らず縦に速い攻撃を仕掛けるチームが上位進出している部分が挙げられる。
ヴィッセル神戸、名古屋グランパスはプレスからのカウンターの質が非常に高く、ストライカーが優秀。簡単に言えば”繋ぐリスク”を最小限まで減らして勝利に近づく戦術が活きている。

一方、現状では成果を上げられていないものの川崎フロンターレやアルビレックス新潟、ガンバ大阪の様なポゼッションスタイルは見ている者を魅了するし、このように様々なスタイルのチームが凌ぎを削っているからこそ今のJリーグは面白い。

まだまだリーグ戦は始まったばかり。今は下位に沈む実力者達も浮上してくるだろう。今年も、混沌のJリーグを楽しもう。