高強度のタテ補完関係【日本×エルサルバドル】

 6月15日(木)豊田スタジアム。サッカー日本代表×エルサルバドル代表の一戦は開始2分のエルサルバドルDF退場の影響もあり、6-0の圧勝で試合を終えた。

 この日のシステムは4-1-2-3。
FW 三苫薫 上田綺世 久保建英
MF 旗手怜央 守田英正 堂安律
DF 森下龍矢 谷口彰悟 板倉滉 菅原由勢
GK 大迫敬介

 格下相手で11人対10人のゲームという事もあり細部の評価は正直難しいところだが、1月のアジアカップに向けた収穫も大いにあった。
 中でも1年振りの代表戦出場となった旗手怜央の存在感が際立った。

アンカー守田英正というオプション

 この日の初期配置はアンカーに守田英正、左インサイドハーフに旗手怜央だった。
 これまでワンアンカーでの出場の多かった遠藤航と守田に求められる役割は若干異なる。遠藤は最終ラインの前でハードワークをしながらバイタルエリアに蓋を閉めるディフェンスが特徴。守田もディフェンスの強度は高いものの、相手FWの背後にポジションを取りながら最終ラインからボールを引き出すのが主なタスクだ。
 おそらく、1月のアジアカップで引いた相手を崩すためのオプションを試したと推測される。それによって三苫・堂安・久保・上田を同時起用して、ファイナルサードでの攻撃パターンの豊富さを期待したのだろう。

 しかし、ワンアンカーには明確な弱点がある。アンカーの両脇、言い換えればセンターバックの前方にスペースが生まれ、そのスペースを良い形で使われると相手に大チャンスを与えてしまう点だ。
 事実この試合でも、エルサルバドルのセンターフォーワード、9番のブライアン・ヒルが度々スペースに降りてボールを受けようとしていた。
 

高強度の縦補完関係

 ここで発揮されたのが旗手怜央のプレスだった。アンカー脇のスペースにボールが入った瞬間に、旗手が戻りながら挟み込み相手のチャンスの芽を摘んだシーンが数回起こった。
 アジア中堅国との戦いでは押し込んだ上で相手のカウンターを如何にして潰すかが重要。攻撃に人数をかけながら、守備の強度も落とさない方法を模索する必要がある。
 絢爛豪華な日本代表の2列目に思う存分ゴールを狙ってもらう上で、旗手の守備意識とハードワークは間違いなく必要なカードになってくるだろう。

 更に、この試合ではあまり見られなかったが、守田は昨季ポルトガルリーグで6得点を奪ったように、相手ボックスに飛び込んで得点を奪う能力も飛躍的に上がっている。守田がインターセプトから、或いは持ち上がりから攻撃参加した際のバランサーとしての役割も旗手になら安心して任せられるだろう。

 エルサルバドル戦の旗手怜央は光り輝いていた。状況に応じてダブルボランチ化することもあれば、最終ライン近くでボールを受けゲームメイクもする。もちろん自ら相手ボックス内に積極的に侵入しシュートも放つ。ピッチ上の状況を的確に把握して、その時の最善となる仕事に赴く様は実に頼もしかった。

 今の所、2列目の攻撃力と後方の安定感を共存させる為の最適解は”旗手怜央のインサイドハーフ”では無いだろうか。

 アジアの頂点を目指すSAMURAI BLUE。次戦、20日ペルー戦ではどういったサッカーを目指すのかに注目だ。

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