eternity / Every Little Thing

Every Little Thing、通称ELTは1996年8月7日、持田香織、伊藤一朗、五十嵐充の3人でエイベックスからデビューしました。紆余曲折を経て2人体制になり早20年以上。今日がデビューして26周年です。
「Time to Destination」など、400万枚近いセールスを持つ彼らのアルバムの中から、3人時代の最後の作品にして3人時代の集大成、アルバム「eternity」について僭越ながらレビューしたいと思います。★=2点、☆=1点の計10点で点数をつけています。

1.Pray ★★★★☆
2000年1月1日発売の13枚目のシングル。彼らの中では前作から10か月近く間隔が空いたシングルとなりました。荘厳なオルガンの調べから始まるこの曲は、一見バラードなのか、はたまた重たい曲なのかと想起させます。実際は、爽快感あふれるアップテンポの楽曲。青空がイメージできるような明るさがあふれる前向きな楽曲です。このころのELTは、「現代社会、辛いことも多いけど前向きにがんばろうよ」調の楽曲が多いように感じます。歌詞に出る「ひたむき」という言葉が好きです。

2.Reason ★★★★★
作詞:Every Little Thing、作曲:五十嵐充という珍しい体制。曲調的にはこれが3人の集大成だと個人的には感じています。デビュー初期には感じられなかった尖ったサウンド、持田さんの成長した歌唱力、このころにしか出来なかった楽曲だと思われます。疾走感がクセになる名曲です。ただ、3人で作詞したためかイマイチ歌詞の内容がよくわからない。自分と好きな人と友達の三角関係のような状態なのでしょうか。たぶん恋愛の曲。

3.switch (Album mix) ★★★
14thシングル「sure」のカップリング。作詞:持田香織、作曲:伊藤一朗という構成。当時としては非常にレアな構成でしたが、今後のELTの活動の軸を作っていくカギとなる曲でしょう。ギターが前面に出たイントロからシンセサイザーも駆使していく楽曲構成も珍しかったです。個人的にはあまり印象は深くないです。サビのメロディーがあまり強くなかったか。

4.Just be you ★★★★
これも作詞:Every Little Thing、作曲:五十嵐充の体制。それも相まってか、M2と印象が若干かぶります。曲調も似てるし、歌詞コンセプトも心なしか近い。歌詞を共作、しかも3人で行うことって想像以上に難しいことなのではないでしょうか。話に一貫性を持たせるのが難しいと思います。この曲はたぶん恋愛よりも自分を貫くこと、やりたいことを主軸に置いた曲。

5.The One Thing ★★★★☆
これも作詞:Every Little Thing、作曲:五十嵐充の体制。先ほど珍しいと言ってしまいましたが、このアルバム内では何曲かあります。のちにシングルリカットされましたが、間違いなくアルバム内では名バラードでしょう。この曲は恋愛を軸に置きながらも、自分と他人の関係性など、もっと大きいテーマがあるように思います。サビの後半で持田さんの高音が効いており、この曲もまさにこのときにしか歌えない曲だったなと改めて思います。

6.Get Into A Groove ★★★★
13thシングル「Pray」と両A面。久々に五十嵐節が炸裂した曲。タイトルの通り恋愛の「マンネリ」を念頭に置いた曲。恋愛が使い捨てであることを憂いていながら、尖った曲調が特徴です。男女が付き合っているのか、いないのかハッキリしないもどかしさがありながら、自信もって攻めていこうぜという曲です。この曲はサビHiC♯を連発するのですが、持田さんの音域的には結構厳しかった模様。

7.Rescue me ★★★☆
ここまで聞いてくると、当時の五十嵐さんは現代社会(1999~2000年ごろ)に病んでいたのでは?という疑問が浮かんできます。それが歌詞にも表れている感じます。歌詞は恋愛というよりは一人の女の子(おそらく当時の持田さんぐらい)がそのうち結婚して家庭を持って……という理想像を描いたもの、とは裏腹に、そういう理想像に疲れてしまっているところを吐露しています。当時を振り返って持田さんは、「これは五十嵐さんの心境そのものなのでは」と発言しています。

8.Smile Again ★★★☆
これが最後の作詞:Every Little Thing、作曲:五十嵐充の体制。アレンジはシンセサイザーを前面に出していますが、歌詞の内容的にはかなり大衆寄りになった励ましソング。いい意味で、何も考えずにスッと聞ける曲。いい意味で、幸せをつかみたいな、という漠然とした曲。ELTはメッセージ性が強いタイプでもないが、ここまでふんわりとした「幸せになりたい」ソングも珍しいかもしれません。

9.sure(Orchestra Version) ★★★★★
作詞:持田香織 / 作曲:Every Little Thingというシングルで最初で最後の体制。このころには五十嵐さんの脱退は決定していて、3人はあまり顔を合わせずデータでのやりとりが多かったといいます。それでいて、この完成度。オーケストラバージョンによる豪華さはありますが、それを差し引いても補ってあまりある名曲です。作詞持田さん、作曲ELTという新たな可能性を感じさせてくれたのに、実質これが3人体制のラストシングル。非常にもったいない。歌詞のテーマも壮大で、過去、今、未来についての書き分けがうまくなされています。インパクトも大きかったですが、当時のツアーで歌われたきりでほぼその後は披露の機会はなし。もったいないの一言に尽きます。

10.Who cries for me? (Pray Reprise) ★☆
Prayのコーラスをアレンジしたもの。どうしてこの曲を入れたのでしょう。フルアルバムにするための数合わせ??それにしてももうちょっと力入れたインスト作れたのでは?

11.sure (Are you sure? Mix) ★
M9でうまく締まっていたアルバムの最後としてはブチ壊し。だいたいこのミックスの名前も何なんだよ。このアルバムの終え方の方が「Are you sure?」って聞きたいわ。これもフルアルバムのための数合わせなのかなあ。っていうか同じアルバムに同じ曲2回入れないでくれや。

総評:★★★★
M1~9まではこのときのELTにしかできない曲が並んでいて秀逸。持田さんの歌唱力がピークに近いのもおそらくこのときでしょう。アルバム曲をたくさんひねり出した五十嵐さんも相当がんばったのでしょう。単独名義の作曲もさすがですし、ELT共作の楽曲もうきちんと共作した感じが出ています。それだけに、M10,11のブチ壊し感がなあ…。アルバムに入らなかったシングル、Over and Over、Someday,Someplaceを入れればよかったのでは?とも一瞬思ったけどそれもちょっと違う気がする。フルアルバムって何曲入れればフル扱いになるんだろう。とにかく、最後もったいなかったけど3人体制のELTの集大成と言って間違いないでしょう。