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【アイナナ5部考察】イメージは「枷」か、「翼」か(ネタバレ)

一か月ぶりにアイナナ5部のストーリーが更新された。5章と6章である。

表面的には、大変穏やかで、ほっこりするような感じであった…が、
これを真に受けてはいけない、というのがアイナナであろうと思う(思い込みが過ぎるかもしれない…)。

嵐の前の静けさのようでならない。

アイドルのドキュメンタリー番組については、前回の記事から、基本的に印象は変化していないので、未読の方はそちらからお読みいただけるとありがたい。


この番組関連で、3部で重要な要素であった「イメージ」の話が再び注目されているので、今回は七瀬陸、御堂虎於とTRIGGERについて、主に考察をしていきたい。

…今回ばかりは、少しTRIGGERにつらく当たると思う。申し訳ない。

以下、5部4章までのストーリーのネタバレはもちろん、妄想・願望を大いに含んだ、考察という名の二次創作を書き散らしていく。ご不快に思う方はUターンしていただきたい。
また、画像は全て©アイドリッシュセブンからの引用である。


1.アイナナ―「イメージ」の外の自分へ


前回の考察記事でも書いたのだが、アイドリッシュセブンのメンバーに関して、

「アイナナ外」に興味関心が向いてきている。

この流れが今回も止まらない。

前回はだった(自ずと壮五も)。「やりたいこと」を模索していた。
そして二階堂大和も、そのまなざしは「三日月狼」に完全に向いている。

「俺たちもやっと落ち着いて、おまえらを安心させられるようになったてわけだ」

という二階堂大和のセリフは、一見アイナナが「完全に安泰」というようにも聞こえるが、それだけ油断している、緊張は「外」に向いているということでもある。

そして今回はナギだ。

「(今までは春樹のために歌っていたが)今は目的を見失ってしまいました。」

…間違いないではないか。そもそも彼はアイナナ内部に目的を持っていなかったわけだから、外に目的を探すのは当然なのだが、それにしても「外」なのだ。

アイドリッシュセブンとして固定化された自分の「イメージ」の外に行こうとしている。

そしてその裏で、寮の解体が検討される。

アイナナの分裂、分断はほぼ既定路線になったと考えていい。

以前私は「Mr.Affection」のMVで陸の前から消える順番で、アイナナはばらばらになっていくと予想した(参考記事)。今のところその通りになりそうだ。

環→壮五→大和→ナギ→和泉兄弟
この順番で消えていく。

5部では三月とて、ドキュメンタリー番組の司会の仕事が来ている。
カウントダウンに入ったと言っていいと思う。

一方で七瀬陸は、「アイナナの七瀬陸」として生きる日々がめまぐるしく「手足からすり抜けていく気がする」と言っている。

七瀬陸本体と「アイナナの七瀬陸」の乖離が始まりつつあるのではないか。しかし、彼は桜春樹から教わったはずの、その乖離で自滅しないための方法(イメージの中で滅びない方法)を知っていながら、実践はできていないようだ。
むしろ、「イメージ」に、自我が飲み込まれつつある…のでは?

重ね重ね、「Mr.Affection」のMVは大変な伏線であったのだと改めて感じた5部6章であった。


2.御堂虎於―「イメージを破る」というリスク


ようやく御堂虎於のターンが来たぞ!と思った。
彼については、過去記事で少し触れているので、参照してほしい。

まずは、彼がドキュメンタリー番組に置いて、ほとんど素顔を見せずにいる理由を確認しよう。

「本当のことを答えたって、言葉の通りうまく伝わるとは限らないからさ。イメージが優先される(中略)だから、イメージと違う答えは、無理やり捻って、曲解して、矯正して、イメージ通りの型に当てはめる」

大いに納得した。やはり虎於は、幼少期からの積み重ねで、この考えに行きついたのだと思わせる言葉だ。

この考えが幼少期からの「教育」のたまもので形成されたということは、ワンコとのエピソードで垣間見える。

「無理だ、するな、しなくていい。思い違いだ、お前のための教育だ。黙ってろ。俺もよく聞いていた」

彼は親や、周囲の親しい人々が「こうあって欲しい」と思っている願望の形に、自らを当てはめていったのである。その結果として…

「もう忘れたよ、何を思ってたのか」

自身の欲望や願望を「忘れた」のである。


だったらイメージを壊せばいいではないかという声もあるかもしれない。

しかし、それをやってもやっても、イメージが壊れなかった、ということが虎於の経験なのだということを忘れてはいけない。

イメージを壊そうとしても、無理やりイメージの枠に当てはめられてしまうのだ。
それでがっかりして、嫌な思いをするよりも、「イメージ」の中で生きていた方が、リスクが少ない。それが虎於の論理なのだ。

どれだけ彼の「本心からの言葉」が、「イメージ」取り込まれて消去されてきたかと思うと、なかなかしんどいものがある。

とはいえ、せめて「やりたいこと」くらいは、ZOOLのメンバーにだけはさらっと言えるようにはなって欲しいものである。
それくらいなら許されたっていいではないか。

それにしても、既に虎於は裏側やら素顔を微塵も見せていないわけだから…このドキュメンタリー番組、完全に狙いが外れているのでは?(苦笑)


3.TRIGGER―「イメージ」の翼を失うとき


またTRIGGERは危ない橋を渡ろうとしている。少なくとも私にはそうとしか思えなかった。

例のドキュメンタリー番組の出演を決意してしまった。
ただ決意したのではない、その過程が良くない感じがした。

八乙女楽が「俺は裏を見せてもいい」と言うだろうことは予想していた。
それを九条天がしぶることも、当然わかっていた。

そんな彼らは、まず、「ファンが自分たちの素の部分に気が付いていた」ことについて話をする。

「わかっていて、何も言わないでいてくれた。暗黙の約束というか、まるで…見えない絆みたいに」

という龍の言葉が印象的だ。

そうだ、前回の記事でも書いたが、この「約束」こそが、「TRIGGER共同体」を支えているのだ。
それを姉鷺は「愛されている」ことのあらわれだと言った。

ところが、TRIGGERは3人の話し合いの中で、思わぬ方向に行ってしまう。

裏側を見せることで、ファンに奇跡を与えられるか?ファンは心を痛めないか?と不安がる天に対する八乙女楽の返答…

「俺たちの裏側を見たら無邪気に歓声をあげていられないってことか?上げさせるよ、俺は」

わかる。八乙女楽の言いそうなことだ。それはわかる。
しかし、忘れたのか。「約束」を。

「約束」はひとりでは結べない。そしてファンとの約束は「TRIGGER」という「イメージ」を通じて結ばれていたことを、八乙女楽は忘れていないか。

裏側を見せるということは、約束を担保していた「イメージ」を壊すことになる。

確かにそれでも余りある魅力で、ファンは歓声を上げるかもしれない。
しかし、「約束は違えている」のである。
それはこれまでのTRIGGERとファンの関係性を崩すことに他ならない。それがプラスにはたらいていくのかもしれないが…なかなかそうは思えなかった。


確かにTRIGGER本人にとっては、汚れた自分たちでも誇れるのだろう。それはもちろんわかる。
しかし、それをファンが同じように受け入れるかどうかは別問題だ。

「イメージ外」のTRIGGERと再び約束を結ぶかと言えば、そんなことはわからない。

その後、九条天は「ボクたちのすべてを見せよう」と言い、
八乙女楽は「すべてを見せても失望なんてさせない」と言っている。

どうにもこの言葉の中には、「ファン」の姿が消えているように思えてならない。これはあくまでもTRIGGERとの主観なのであって、ファンがそう思う保証はない。

だってそこに「約束」はないのだから。
ファンとともに作り上げた「TRIGGER」の「イメージの外」なのだから。

TRIGGERは良くも悪くも、本人たちとファンと事務所によって作り上げた「イメージ」を「翼」として飛翔した。それが折られて地に落ちた

だからこそその「翼」を脱ぎ捨てようというのかもしれない。

しかしそれは、本当に「枷」を外すことになるのだろうか…ただ単に「翼」を、もう一度飛翔するための「翼」を捨てることになるのではないか。

3部では、包装紙が傷ついただけだから立ち上がれた。
でも今回は、剥き身の…中身を晒そうとしている。それがもし傷ついたとして、TRIGGERは再び飛べるのだろうか。

私は大変不安である。
どうも3部と同じにおいがしている。

3部で彼らを救ってくれたRe:valeは不在となる(無人島)。他グループだってそれどころではない。TRIGGERのトラブルに巻き込まれることのリスクは、嫌と言うほど知っているではないか。

TRIGGERはテレビから遠ざかって久しい。メディアから遠ざかっている。
そのリスクに、バランス感覚に、また疎くなってしまってはいないだろうか…




いつも通りの暗い考察で申し訳ないと思っている。
確かにコンテンツとして、アイドルドキュメンタリー企画にTRIGGERを参加させないという選択はあり得ないとはわかっている。
ただ、その決意の方法が不安なのだ。

これがただの杞憂に終わり、ファンとTRIGGERが新たな固い「約束」を結べればいいのだが。
(とはいえ、何事もなくすんなり番組が成功して、TRIGGERが復活したら「ああ、アイナナは7周年で物語を閉じようとしているな…」とご都合を感じてしまうだろう…)

いずれにしても、4グループそれぞれが、「イメージ」と「自分」を両立する、良いバランス感覚を見出してくれることを願ってやまない。

長文にお付き合いいただきありがとうございました!


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