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なぜ。

2023年から2024年
年末、年始の星野源の供給量は常軌を逸していた。

ニューシングル「光の跡/生命体」リリース
サマソニ2023「星野源”SO SAD SO HAPPY”」の配信
紅白歌合戦への出演
JRA70周年タイアップの新曲「一瞬」
(まだ「光の跡」リリースされて、聴き始めたばっかりですけど??)
能登半島地震を受けての、急遽生放送の星野源のオールナイトニッポン

どういうこと??

この供給量に溺れながら、
はて、私は、なぜ星野源を好きになったんだろうと考えた。

そもそも源さんの楽曲は、SUNの頃から聴いていたが、
ライブに行くほど熱中してはいなかった。
「逃げるは恥だが役に立つ」については、仕事が忙しかったせいもあり全く視聴せず、そうこうしているうちに、あまりにブームになりすぎて、
新春スペシャルは見たくせに、いまだに本編は見ていない。

思い起こすに、MIU404の放送が発表され、期待感が高まる中コロナ禍に突入し、これからどうするんだよ・・・と悩んだとき読んだ源さんの著書
「甦る変態」がきっかけのような気がする。
こんなに赤裸々に自分のこと書くんだ、と言う気持ちと、
仕事と日常の境目が曖昧なまま、突き進んできた人がいるんだという驚きだったと思う。
「NO MUSIC NO LIFEの撮影を、面白いから病室でやろう」と言い出す下りとか、ヤバいって思った。

私は、3人目の子供を出産するとき、映し出された胎児の3D画像みながら
医者に「この画像録画できますよ」って言われてすぐ、
「これ仕事で使えるかも」って思ってしまった自分がいやで、
仕事が日常に入ってこないギリギリの線を選んでしまった。
仕事に没入してしまったら、家庭と絶対両立できないって気がした。

でも源さんは、私ができなかった世界に身を置いている。
なんて過酷な世界にいるんだろう。自分の好きなことを仕事にするのは、
とてつもなく覚悟がいる。
好きなことが嫌いになっちゃったらどうしよう、って私なら思う。

年末に配信された「SO SAD SO HAPPY」の映像や
星野源のオールナイトニッポンを見たり聞いたりすると、
源さんは、好きなことを続けるために、命を削って何かを生み出している気がする。

ふと、高校生の頃に読んだ「幸福の王子」の話が頭の中に甦った。

自分の身体の一部を、困っている人に次々配って行く幸福の王子。
そんな幸福の王子の姿と、自分が「いいな」「ステキだな」と思う物を、全力で伝えようとする源さんの姿が重なって見えた。
そして、源さんが体調不良でオールナイトニッポンをお休みしたとき、SNSで源さんの楽曲や活動を広めたり伝えたりするファンのみんなは、ツバメのようだった。

源さんから受け取った物は、広めたい、伝えたい、不思議とそんな気持ちになる。幸福の王子のツバメは1羽だったが、源さんのツバメは世界各地にいる。

源さんの一部が曲となりコンテンツとなり、映像となり、書籍となり
色々な形で、色々なツバメたちがこれからも
「いいね」「すてきね」「きいてみて」「よんでみて」
とさえずりながら飛んでいく。
そして楽しい土産話を携えて、また戻ってくるのだ。
それは源さんが長い時間をかけて育んできた土壌だと思う。
「いいね」を伝え合う、すごく居心地がいい世界だ。
そこでは、ツバメは伝えるために飛び立たず、じっと木にとまって羽を休めても良い。
幸福の王子はボロボロにはならず、きっと何度も再生する。

そうか、
私は、そんな場所を作ってくれた星野源という人間が好きなのだ。


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