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record of tokyo 2

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born1988 / Tokyo, Japan / female / camera 東京の記録 2
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#スナップ

きみと江戸東京博物館

両国に美味しい鰻屋さんがあるから、今度一緒に食べに行こう。はじめて会った日にそう誘われて、本当に鰻を食べに両国へ訪れたのは、きみとお付き合いを始めてからだった。 まだお互いに何も知らない。何も知らないけど、少しづつ好きになっていっている。それはお互いにそうだと思う。確認してないけど、独断と偏見でそうしておく。 さて、鰻屋さんはまだ開店していなかったので、江戸東京博物館に暇つぶしに行ってみた。 巨大建造物恐怖症の人はちょっと怖いかもしれない、と思うほど大きい建物だ。遠くか

リトライ

はじめてモノクロプリントをした時、先生に、あんたうまいね!と言われたことが嬉しくて、今でも心に大切にしまっている。お世辞だとわかっていても、それがなければこんなに写真を続けていないかもしれない。 それから調子に乗って街のあらゆるところをモノクロで撮っていたが、だんだんとカラープリントの方へ移行してしまった。またモノクロプリントやろうかなあと、最初の頃のプリントを見ながら、ちょっと思った。 ずいぶん歩き慣れた東京だけど、はじめたばかりの気持ちになって、モノクロプリントにリト

赤城神社に呼ばれたふたり

久しぶりに友人とランチに神楽坂へ。お互いにいろいろと近況報告、彼女とはもう10年以上の付き合いだ。時間が経つのは早い。 コーヒーを飲んで、さあ帰るかとなり、駅に着く直前に何かに呼ばれるように、二人でハッと横道を見た。赤城神社という神社が目に入ったので、行ってみる?となり、まるで初めから決めていたようにスイスイと神社へと向かう。 なんだかとても綺麗な神社で、出来たてのようだった。狛犬が四角い感じでとてもかわいい。お参りをして、友人はおみくじを引く。私は最近、絶好調なので引く

パーラー開拓史〜果実園リーベル新宿店〜

以前、高野フルーツパーラーに一人で行ってしまったが、今回も一人パーラーしてしまった。新宿の果実園リーベルである。 こんなところにパーラーがあったなんて知らなかったので驚いた。 地下一階に降りるとモリモリの果物たち。これはテンションが上がりますね。人は並んでいなかったが割と混んでいて、通されても店員さんがあっちへこっちへずーっと忙しなく動いていた。 この日は残暑厳しい日だったので、席についてすぐさま水をグビグビ飲む。何も頼んでないのに水のお代わりを欲しがりそうになった。ま

綺麗なグラデーションの描き方

水色からオレンジ色のグラデーションが好きで、小さいころ絵の具で再現しようとしたが、どうにもこうにも出来なかった。空のグラデーションは正反対の色なのに、どうして自然に緩やかに変わっていくのだろう。 ある決断をした後で、私はとても後悔して、100回ほど後悔をして、母に弱音を思いっきり吐いたことがある。その決断の後悔と、自分の決意の甘さが許せなくて、泣きながらドロドロしている自分の気持ちを全部伝えてしまった。彼女の性分だと、私はとても怒られるだろうと思って、むしろそれを聞きたくて

目の前にある風景は、

目の前にある風景は、自分の心そのもだと思う。風景がそういう気持ちにさせるのでも、自分の気持ちがそう見せるのでもなく、全て通して一つの出来事で、自分自身の心さえ、全体が出来上がるための一つの要素でしかない。全体とはなんなのか、何が出来上がるのかは、私の知るところではない。 自分には意志があると時々思ったりするけれど、やっぱり自動的にしか何も進んでいかない。未来も過去も現在になく、本当にやるべきことをこなしていくことだけが続いていく。それは一見、絶望的なことに聞こえるけれど、私

これでいいのだ

バイクはこっちに動かして、 道路はコンクリートじゃなくて石畳にして、車ももっとヴィンテージでかっこいいやつを配置して、 ってまあいろいろ思うけれど、これはこれでいい、っていうか、実はこの状態が最も良いのである。 これが良い写真だという概念なんか捨てろ、という声が、たまにどこからともなく聞こえてきて、私は期待も不安も理想も持たずに、ただただ記録をする。 これでいいのだ。

不完全な庭

ホースがあると気になって、なぜか写真を撮ってしまう。なんではみ出ているんだろう、仕舞い忘れたのだろうか、おっちょこちょいだなあ、と思って撮ってしまう。この、下町ガーデニング的要素満載の中に、ホースがヒョロンとシャッターからはみ出ていると、これは不完全な庭であると言えよう。 しかし、私がホースを気にするには、何も東京下町に限った話ではない。なんと、モロッコでもホースが気になっていたのだ。整えられた草木たちの間から、太陽が黄色い国にお似合いの、綺麗な黄色のホースがヒョロンと

ステレオタイプの女からの脱却

私は思い込みの激しい人間なので、自分にコレは出来ないと思ったり、これだったら絶対出来ると思い込んだりする。自分自身をすぐ決めつけて、誰も頼んでないのに自分自身をステレオタイプ化している節がある。 去年、黒沢清監督のダゲレオタイプの女という映画を見たが、思いの外怖くて、一人でビクビクしながら映画館で最後まで見た。面白かった。 それで、映画は写真の話なのだが、写真というのは現像液などを使用するので、廃液は産業廃棄物扱いで、業者に持って行ってもらって処理しなければいけない。有害

カルチャー混雑地帯中目黒

中目黒なんてそんなに来ないな、3回目くらいだな〜、と過去3回は言っている気がするので、最低でも6回は訪れている。 最初に行ったのはいつか忘れたが、母と来たことがあった。母は一人暮らしをしたことがないので、目黒川沿いを歩いて、テキトーなシャレオツーなカフェでケーキを2人で食べているときに、やっぱりこの辺りはイイねー、一人暮らしするなら東横線沿いがいいなぁ、と生粋の下町育ち足立区出身の彼女はポロリと言った。私は東横線は朝混むから絶対に嫌だなあと思った。 中目黒malmeという

人の入れない歩行者天国

銀座の歩行者天国は、道の真ん中に幾つか椅子と机が並んでいる。歩行者天国にも関わらず、人を入れずに撮った。ホコテンで撮影をしながら人を入れないとは、我ながら不器用な人間のくせに器用なことをすると感心した。 このころは、モノクロプリントを楽しんでいたので、やたらと光と影を追っていた。カラープリントの場合、興味を持った色を集めようとするが、モノクロだと色はどうでもよくて、とにかく陰影を探していた。それで、人が入ると情報が多すぎて嫌だなあと思って入れなかった。私が風景ばかり撮るのは

ギャラリーバウハウス

御茶ノ水にあるギャラリーバウハウスをご存知だろうか。私は何年か前に行ってから、展示のDMが来ると行くようになった。 ここで小瀧達郎さんの赤いパラソルの小さいプリントを買った。恥ずかしながら、プリントを買ったのはその一枚だけで、まだ私はそれ以外のプリントを買ったことがない。以前、バイテンで撮った写真のグループ展の時の、小瀧さんの氷瀑のモノクロプリントには驚いた。大きくて鮮明で綺麗なので、圧倒された。あの衝撃は忘れられない。息を呑む、といった感覚になる。氷瀑と言えば、カラープリ

望遠鏡

私は、いつも言葉を探している。その言葉が何なのかは分からないのに、その言葉に出会った瞬間、それだ、と分かる。 だから、本当はその言葉を知っている。その言葉は私の内側にあるのに、外側からの刺激が無ければ、埋もれているその言葉を見つけることが出来ない。 その言葉はある日突然に現れるが、前触れはある。その言葉をずっと探しているから、知らぬ間に自分の意思で、その言葉に近付いていく。どんどんその言葉に近付いていき、そしてついに、その時が来る。 100円で5分間ほど見れる望遠鏡は、

ライトアップのうた(即興)

定時でコソコソそそくさと、お先に失礼いたします、さて今夜はどこへ繰り出そう。七夕の街はアベックばかり、彦星様との約束もなく、一人豊洲へフラフラと。 夕焼けこやけで日が暮れて、あたりはいつしか暗闇に、ららぽの光が眩しくて、テラスの人々皆ビール、子供はキャーキャー走ってて、私はベンチでアイスクリーム。 ある日は仲間と吾妻橋、これまた綺麗な夕焼けで、アイフォン片手に橋渡る、周りのみんなも景色を見てる、東京綺麗で美しい、どんなトコより美しい。 毎日見ていた東京タワー、今も変わら