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私たちは所詮、日曜日に遊ぶことを許されている子供

平日休みが多いくせに、土曜日曜になると張り切って外出する癖がある。ただでさえ混んでいるのに、私みたいな人間がいるのはきっと迷惑だろう。カメラも持たずにブラブラと六本木から銀座まで歩いたり、気になっていた本を買って一気に読んだり、思いつきで映画を観に行ったり、既に持っているような洋服を買ったり、フリマをしている友人に会いに行ったりした。

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書き出すととんでもないハードスケジュールということに気がつく。しかし、これがいとも簡単にこなせてしまう。予定を何も決めていないからこそ、弾みでチャチャチャと遂行できるのかもしれない。

森茉莉の『私の美の世界』の中にある「独逸と麦酒」という話が、この土日のハイライトだった。以下、新潮文庫 森茉莉 著 『私の美の世界』p24より引用。

ミュンヘンの、ホオフブロイ(酒場)は、天井を支える太い柱の真間を俎-まないた-のような卓子-テエブル-が埋め、麦酒を飲む群衆が溢れていた。日本のビアホオルのように、麦酒を飲みながらぼそぼそ会社の話や家の話をしているとか、会社の帰りの僅かの時間に寄った人間が時間を頭において飲んでいるとか、そういうような、つまり心が麦酒と他のものとの二つに分かれている人物たちはいない。そこには唯、「麦酒を飲む人」が、いた。日曜日に遊ぶことを許されている子供のように、独逸人は社会からも、女房からも、神様からも、麦酒を飲むことを許されているようで、銀座のライオンの四、五倍はあるホオフブロイは「麦酒」と「人間」との場所である。

すごくビールが飲みたくなった。文化の違いとも言うのかもしれないけれど、純粋にドイツ行ってビール喰らいたいと思ったのと、森茉莉のそういう目線とか表現とか真似したいと思った。と言うことで私も夜な夜な、酒場へと繰り出すのであった…。日曜日はまだ、終わらない。

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