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私に観葉植物を

グリーンエリアというタイトルの、新しい写真シリーズを制作中である。それで、とにかく東京中の緑をかき集めているところ。緑と言ったら植物園だろう、という安易な思考回路で、植物園のハシゴなどもした。こう、何かに向かって熱中しているときは良いのだが、ふと、何をしているんだ私、という気持ちにもなる。この夢の島熱帯植物園もそうだった。

おんな一人、暑い中汗水垂らして緑を探し回って、しかもグリーンエリアという自分で付けた謎のタイトルを元に、あくせく写真を撮りまくる。フーっと息を荒くし立ち止まっていると、私ってやっぱりちょっと頭おかしいんではなかろうか、と心配になるのである。写真は好きだが、少し、狂気と正気を行ったり来たりしてしまう。

それで、この休憩スペースの前に、かわいい観葉植物があって、そして後ろにピントを合わせてみた。意味は特にないが、その方が良い気がした。ここでピーチネクターを飲んだ。

これは友人と三崎口に一泊旅行をしたときに出会った観葉植物である。おんな二人、水着に着替えて海に入るでもなく、息を荒くし砂浜を歩き、オアシスのようなこの店で一杯飲んで休憩した。確かバカンスで来たはずなのだが、私たちときたらなぜか義務のような、何か使命感のような背負って旅してしまう。お互い、でかいロクナナのカメラを持っていて、しかも友人に関して言えばバケペン(ペンタックスのロクナナはバケモノのように大きいのでそういう愛称がある)だったので、なおさら修行僧のような空気が漂っていたに違いない。

そこでこのような観葉植物を見ると、まあちょっと、お前休めよ、と言われているような気がしてくるのである。

夢の島の観葉植物を見ながら、三崎口の旅行を思い出していた。小さなパイナップルがかわいい。もう少し落ち着いて制作を進めていこうと思った。

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