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愛着色眼鏡

土地への愛着について不思議に思う。生まれた土地が愛しく思えたり、住み慣れてくると良い街に思えたり、嫌いだと思っていたはずが、その街がだれかに悪口を言われていると思うと、なんだか悲しくなったりする。そういう時、愛着が湧いたんだなと実感するが、そう思うと、そもそも愛着という漢字にも説得力ある。

新宿は1時間も歩くと疲れ果てて帰りたくなるし、意味不明な人たちが沢山いるし、あまり綺麗な街だとも思えない。けれど何度も通っているしお世話になっているお店もあるし、突然ゴソっと明日新宿が無くなったら困るし、とても悲しい。

T3がちょっと不調気味なので、父のおさがりのNikon F4をまた使い始めた。優秀なT3は、何でもかんでもピントをすぐに合わせてしまうが、F4ではマニュアルフォーカスの醍醐味とも言えるボケ味をふんだんに使ってみた。何にもピントを合わせなかった。すごく古いレンズで、デジカメに付けて撮るとハレってしまう。この古いレンズを使うたびに、最新のカメラやボディにはいつも感心する。しかしどれが良いということではない、何を使いたくて何を撮りたくてどう表現したいかが大切だと思う。

よく行く新宿、父から受け継いだF4、それらが合わさるとなんだかとても可愛らしい写真に見えてくる。私が勝手にそう思うだけで、ほかの人がこの写真を見て抱く気持ちとはきっと違うだろう。そういうものが、愛着なのかもしれない。自分の色眼鏡で見る景色は、素晴らしいと心から思う。

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