見出し画像

ゆっくり食べよう、かわいい果物

夕飯を食べ終えて、テレビを見てグウタラしていると母は、果物あるよ、と言って私たち姉妹によく食べさせた。子供の頃からの習慣なので、それが当たり前だったが、果物は結構高いということを最近知った。これまで飲むように食べていた果物だったが、ゆっくり味わうことにした。

ゆっくり味わうために、まず果物を観察してみる。すると、とてもかわいい、ということに気づくのだ。果物は大概どれもカラフルで発色が良い。そして、どこか必ず丸っこい。角が丸いので攻撃的でない、親しみがある。家に持って帰ってきて、水で洗ってさぁ食べようかと思って見つめると、彼らは静かに、じっとこちらを見つめ返してくるのだ。

昨日、ピクニックで食べた中村友香氏のレモンゼリーは本当に可愛くて、食べるのが勿体ないくらいであった。やまおまお氏が麦わら帽子で配り歩いてる姿は、まるでシチリアの女の子だった。シチリアから来たレモンゼリー、どう考えても、これは食べないほうが損である。

ちょっとかわいそうだと思いながらも、プリプリしているゼリーを見れば、やはりその欲求は抑えられない。まず色や形をひとしきり楽しんで、スプーンで少しすくって食べてみた。これが、酸っぱくて少し苦味もあって、でも美味しくて、本当に真っ当なレモンゼリーだった。だから、ちょっとずつしか食べられない、ゆっくり味わえるゼリーだったので、かわいい果物をいつもより長い時間味わえたような気がする。

楽しい時間はあっという間であるが、それらをゆっくり味わうと、余韻は長く残るものである。

よろしければサポートをお願い致します。マガジン「一服」の資金に充てます。