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原美術館で見たルイジ・ギッリのフォトグラフィア

原美術館でドイツ銀行コレクションの展示に行った時、初めてルイジ・ギッリという作家を知った。あの時飾ってあったのは2枚ほどで、夜のレストランの風景ともう一つは部屋の写真であったと思う。こんなにうっとりする写真は見たことがなかった。紙を触ってみたくなる、もちろん触ってはいないけど。展示を見たあと、ミュージアムショップですぐに、みすず書房から出ている写真講義を買ったのである。その本の面白いこと。私は写真の技術的なことは、ある程度習ったが、写真を学ぶということはしてこなかった。教えてもらいたかったことが優しく書いてある。これは本当にたくさん読んで、付箋がたくさん付いている。

私の写真のシリーズにBreathe under the daylightというのがあるが、これはルイジ・ギッリに影響を受けて作った。

maonakazawa / 2016 "Breathe under the daylight."

『カメラはペンのようなものです。ですから、重要なのは、どのように書くかを学ぶことで、その性能は関係ありません。写真[fotografia]とは、その語が意味する通り、光で書かれたものですから、使う道具より、光で書いたり読んだりする術を習得することの方が大切です。』−写真講義p139より引用

fotografiaはギリシア語のフォース、光という言葉から来ている。そこで私は光を意識して制作してみようとなったのだ。Breathe under the daylightは講義を受けた生徒の課題制作のようなものである。

いつか留学をしてみたいな、と思っていたが、気の持ちようで、いつでも留学しているような感覚になる。学ぼうという気持ちさえあれば、場所はどこでも良いのでは、と最近は思うのだ。望む環境が揃っていないからと言って何もできないわけではない。過去のたくさんの記録は、私たちのために残されている。いつどこでそれを受け取ることができるかは分からないが、必要であれば目の前に現れるのである。そして、受け取ったものは次の人へ必ず渡したいと、私は思う。

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