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ヤマブキの花

この時期、満開の黄色い花が咲く。毎年、春になると見かけるのに、なんていう花か分からない。分からないまま何年も春を迎えている。

それはヤマブキという花だった。先日行った小石川公園でその名を知る。絵に描いたような形とその色はとても可愛らしく、目を惹く。桜と同じ頃に、桜よりも長く咲く。

名前を知ると、なぜかこれまでよりも愛着が湧く。なんとなく気になってそのままにしていて、ふとした拍子に名前を知ると、心の中で話しかけている。何を、というのは分からないが、何か見つめては言葉ではない、熱やエネルギーのようなものを送り合っている。(決して、私だけが熱を送っているようではないと、私には分かる。)

まだまだ元気に咲いているヤマブキ。それでも少しずつ散りはじめ、夜道でも目立つ黄色い花びらが、道路のあちこちに散らばっている。風に吹かれて干からびて、小さくなって寄り合った、その散り散りのヤマブキは、まるで炒り卵のようにまとまって隅っこにいる。散ってもなお可愛らしい。初めて見たときと印象は同じ。

気付かない内に季節は変わっていくけれど、名前もこの感覚も、忘れることはないだろう。

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