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今もまだ、アーティスト・イン・レジデンス

シャワーを浴びていたら、カラカラとも、キラキラとも言えぬ音が耳元から聞こえた。片方のピアスを外し忘れていたのだ。確認しようとオールバックのまま、曇った鏡を拭いて自分を見ている時、なぜか異国の地に留学に来ているような気分に陥る。

朝起きてカーテンをバサッと開ける時、お湯を沸かしながら顔を洗っている時、昨夜来た服をカメラのキャリーケースの上にぶん投げており、そこから取ってまた着てしまう時(昨日会った人とは会わないように気をつける)、鍵閉めたかなと時間ギリギリなのにもう一度玄関を確かめに戻るとき、これもまた、なぜか異国の地で一人踏ん張っている自分を第三者の目から見守っているような感覚になる。

夕方ごろやっと布団から這い出る休日、人の少ない夜の本屋で雑誌を漁っているときなんて、もっとも留学生らしく良い時間なんだと嬉しくなる。

生きていくって、いつも何かを学んでいくことだし、日々の生活をやっつけで過ごしていくより(やっつけで過ごしてはいるが)、一人で異国に来て暮らしていると思った方が毎日フレッシュで、全てのものと良い距離を保ち、自分のこともより好きになれる。

これは観光で行った植物園の花です。

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