病まないためのフリーランス入門—嫌いなことをやって生きていく

 いかにもビジネス本にありそうなタイトルだが、ガチなノウハウではなくブログ的に思うところを書いてみる。

 私フリーランスのITエンジニアをもう丸3年やっている。ただし、半フリーランスである。雇用形態は個人事業主だが、事務所に所属する芸能人のようなもので営業やマネージメントを自分でやっているわけではない。現場に毎日出勤して仕事をするので、実態はサラリーマンとなんら変わらない半端者(そっちの詳細な話は機会があればまたブログに書く)。

 ボイストレーナーという職業に限らず、完全自立型のフリーランスは難易度が上がる・ハードルが高いことをまず認識しておくべき。
 で、そこで病まないためにはどうすればいいのかというのが今回のテーマ。私も将来そうなるかもしれないし、私欲のために考察してみる。

 まずこれ、岩崎さんのツイ。さすがは「ボイトレ界の西野亮廣」と言われる男である(私が勝手にそう呼んでいるだけだが)。まさしくこのループの通りで、複業できるとよい。ちなみに私も孤立してボイトレ垢からの情報はほぼ入ってこないので似たようなものだが、それは余談。
 いきなりトレーナーという人はそういないので副業から本業へ、というのが独立への流れだが、その際元のキャリアを完全に捨てないほうがいいだろう。ボイストレーナーの場合いきなり別垢・別人になって開業するより継続性があった方がいいのだが、どうも過去を消したがる人が多いのは不思議…これも余談。

 組織的な人間関係が「無」なのがフリーランスの長所でもあり短所。たしかに嫌な上司もいないが、話し相手もいないのがフリーランス。私の場合はオフィスで働くのでまだいいが、完全自立型だと身近に仕事の話し相手がいないというのはけっこうつらい。頼れる上司的な存在、なんでも話せる同期的な存在がいると仕事をやる上でメンタルは安定する。
 仲間というのも、開業後にできるor開業後も変わらず続く仲間が本物なので注意が必要である。ボランティア時代はチヤホヤして、開業した途端に離れていくことは多い。仲間とはライバルでもあり、競い合えればお互いのためにもなる。

 複業はいいというのは既に引用したがこれは二種類あって、本業派生のものと本業と全く関係ないものがあるができれば両方あったほうがいい。

 ちょうどこんなアンケートがあったが、ボイストレーナーに限らず今後音楽家が音楽一本で食っていくのは難しくて、ファンから投げ銭もらう力が問われる。

 以前ブログのほうでも書いたが、「ちゃんと請求してお金をもらうこと」が多くの日本人は苦手である。完全自立型フリーでやっていくならまずはその強さが必要になる。
 どこまでがめつく、商魂たくましくやるかはその人次第だが、youtuber系の人はそこがすごいなと最近感心する。自分という人格をとことんコンテンツ化してお金をもらう姿、私にはとても真似できないが、生活していくにはあれくらいやらないといけないのだろう。ファンがストーカー化しそうな恋愛商法的なやり方には危うさも感じるが、もはや今時の芸術系職業リスクと割り切るべきなのかもしれない。

 そして、「好きなことをして生きていく」という言葉はカッコイイのだが、これは呪いにもなっていると思う。「嫌いなことをやって生きていく」は極論だが、好きすぎる情熱をいったん脇に置いて、ドライになってみるといい。広義には「好きなこと」であっても地味な作業や、せこいSEO対策などもしなければいけないのがビジネスの世界だ。
 フリーランスの世界は、大好き真っ直ぐ君よりも「それしか能がなかった」という異能者=社会不適合者が多い。組織できちんと働けることは立派な才能なので、著名人の生存者バイアスや、ネットでイキってるアウトロー野郎の言説に惑わされてはいけない。

 さて、いざ開業となった場合。開業自体にお金がいらなくても、資金もそれなりにあったほうがいい。人間貧すれば鈍す、借金するために口座を貸し(売っ)た区議もいたくらいだ。開業してから信用を落とす行為は避けたいところ。
 まとめると、

・仲間を作ろう
・仕事は「好きなことを超えた何か」であるという意識
・本業はがっちり請求し、さらに派生したマネタイズも検討する
・複業する
・お金を貯めておく
・健康一番

 きわめて当たり前な一般論になってしまった…。健康も重要で、勤め人のリズムがなくなると毎朝きちんと起きられるかが不安だ(私は怖い)。年に一度、会社で受けるような健康診断にはたいした意味はないが、それすらもなくなってしまうので健康管理が重要。

 今まで書いてきたボイストレーナー志望者向けの関連記事にはこんなのがある。私も有料記事をやっているが、これはまだまだ「副業」と呼べるものになっていないレベル。「好き」だけで稼ぐのは本当に難しいことなのだ。
 お金の問題は根深いし、決定的な解はまだ見つかっていない。もやもやENDパターンだが今回はこの辺で。