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何故IT業界には見込み残業という制度が多いのかを考察してみたノート

これは見込み残業という制度に、疑問を持っている人向けに書かれたノートです。

見込み残業は基本給ではないカラクリ

 弊社は見込み残業20時間込みで額面27万2000円です。というのがボクの務めた最初の会社の基本給でした。(当時は基本給だと思っていた)

 その会社ではある程度残業があるのが普通だったため、まぁ見込み分ギリギリまでは普通に働いていたのですが、まず第一のカラクリはここにあります。求人票には基本給27万2000円(見込み残業込み)と書いてありました。

 それ基本給プラス残業代ですよね?基本給自体はボクの場合23万円ほどでした。いわゆる手当として4万円ほどのっていた計算です。企業としてそうしたい理由はボーナス4ヶ月分とか書く場合に基本給ベースで計算するからです。また、基本給を下げることは難しいのですが、手当をカットしたりボーナスをカットするのは簡単なのです。


見込み残業を付ける深い方の理由

 これなんですが、SES業界では上流の企業との契約は時間幅清算というものが一般的です(9割程度はこの契約)。この時間幅が140時間以上の勤務から180時間以内の勤務は70万円固定。超えたり下回ったりした場合には時間清算しますよっていう契約です。

 しかし、自社の社員との間では時間幅という考えはないですよね。つまり160時間勤務の場合、160時間から180時間の間では従業員には残業代が発生するのに、企業間では固定金額なので残業代の請求はしていないのです。

 つまり会社としては160時間から180時間の間は利益計算の処理が煩雑になるのです。残業代加算はするけど請求は乗らないので利益は減っていきます。利益計算が間違えば企業経営にとっては不安定すぎます。一定金額を払っておいて残業代が発生する時間以上では本人にも残業代を支給する。そのほうが最低でもあがる利益を計算しやすいのです。

 また残業代計算の事務コストもかからない。間違えない。振込額も一定ラインの額の人が増える。など様々な理由で見込み残業代込みという制度がうまれたと考えています。


何故、時間幅清算が生まれたのか?

 これはスキルのないSIerがシステム開発の見積もりをしていることが原因だと考えています。元々2000億と言っていたシステムが4000億かかっちゃったとかいうレベルです。F値とかいってファンクションポイントだか、ステップ数だか、そんなものでシステム開発の見積もりが出来るわけがありません。ざっくりとした見積もりの結果、その皺寄せが時間幅清算だと考えています。実際に何時間かかるか分からないし、ある程度バッファのある契約なら予算計算しやすいよね。下請けにバッファを作ってもらおう。という思惑だと考えています。

 全てのSIerが悪いわけではないですが、時間幅とかいう契約ではなく、全て時給計算のほうがスマートだとボクは思っています。働いたら働いた分の対価をもらう仕組みとして時給は悪くないと。

 そこに付加価値のあるエンジニアであれば、時給ではなく受託をすれば良いだけの話です。スキルの切り売りと称する方もいらっしゃいますが、それはまだ切り売りしないと丸っと買ってもらえないだけではないでしょうか。

 切り売りではなく受託にするとリスクも背負うことになります。それがハイリターンを得られるメリットの根拠でもあるのです。


結論(自論)(てかボヤキ?)

 SIerの緩い見積もりが、下請け企業へのバッファ要求となり、事務コストも勘案すると見込み残業代込みという制度に変わる。

 風が吹けば桶屋が儲かるように、SIerがスキルないから、スキルのあるエンジニアに皺寄せが来ると考えています。


絶対炎上するので改善策も書くと

 SIerはエンジニアリングスキルはありません。でも営業スキルはあると考えています。見積もりをミスりたくなければ、その見積もり段階、提案段階からSESでエンジニアを入れてください。僕らが見積もります。それが営業面と技術面の協力体制ではないでしょうか。

 僕らは知っています。SIerはコーディングのような低レイヤーの仕事をしても利益は低いから設計や要件定義をやらされていることも。

 最初はコーディングしてみたくてIT業界に入ってきたことも良く聞きます。でもそれぞれのポジションでそれぞれの仕事をしている以上は、協力していくしかないと思いませんか?

 炎上はめんどくさいのでバズるくらいでやめておいてね^^;

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