VOL2　捕手　島原大河（しまはら・たいが）背番号22・新入団

「大きな川のように余裕のある人間になれと、父親が『大河』と名付けてくれました」と嬉しそうに開口一番。一人っ子で、高校まで野球をしていた父親の影響で小学3年から野球を始め、プロ野球選手輩出が目的の関メディ学院中等部を経て、「甲子園に出場したい」と敦賀気比高に野球留学した。同校では主に2番手キャッチャーとしてマスクを被り、2018年と2019年の夏に甲子園に出場。進学した福岡6大学の日本経済大ではサードとファーストを守った。
敦賀気比時代の先輩やチームメイトにはNPBに入団した選手も少なくない。だが、「僕は大学までNPB球団から（ドラフト指名のための下準備ともなる）調査書を貰ったことはありませんでした」と率直に話す。しかし、野球に対する情熱は日増しに高まった。その気持ちの矛先はＮＰＢに他ならない。

高校以来のキャッチャーに全力

パイレーツでは捕手登録だ。「ＮＰＢを目指すならセンターラインのキャッチャーがいい」との思惑がある。だが、「キャッチャーは高校以来」であり、「技術も感覚も高めないといけない」と猛練習を重ねる。4年ぶりのポジションだけに自身を推し量る姿勢は慎重で、「キャッチングとリード面は優れていると思いますし、肩も決して悪くはないです。今のところ2塁までの送球速度は1.8秒後半から1.9秒くらいで、0.1秒速くするのに必死です。守備面でやることは多く、チームの先輩キャッチャーからも学びたい。スカウトはイニング間のチェンジのスピードも重視しているので、それも意識しないといけません」。

バッティングに自信、目標は3割5分

一方、バッティングは自信満々。「僕のウリはバッティングです。このリーグで三冠王をとるくらいの気持ちです」と言ってはばからない。それを裏付けるように、大学1年時の2020年福岡6大学秋季リーグ戦で見事首位打者を獲得し、サードのベストナイン、新人賞にも輝いた。22年には打率.333を記録し再びベストナインに入り、とりわけ変化球を打つのが得意との評価が高い。そこから標榜する選手像は「打てるキャッチャー」であり、パイレーツでは今季「打率3割5分でホームラン15本」を目標に据える。因みに2月下旬の練習時に計測されたスイングスピードはチーム内でトップ3に入り、パンチ力も兼ね備える。NPBでも打てるキャッチャーは貴重な存在だけに、守備等のレベルアップ次第で有力なドラフト候補に浮上しそうだ。

 大学時代はインナーチューブトレーニングでとりわけ肩を強化した。「故障などなく体調は万全です」と元気一杯で、練習グラウンドでは一番最後まで残って汗をかく大河選手。「かつて控えキャッチャーだったことを見返したい」と、今季の成長を力強く宣言する。

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