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「ニュー・アース」を読んで

前回に続いて、エックハルト・トールの本で、今回はその代表作と言える「ニュー・アース」です。

この本は出版社が変わったということもあって、妙ちくりんな和訳の改変はなくストレートなタイトルのままです。

訳者も吉田利子さんに変わって凄くいい感じですね。(英文読めないので原著がどんな感じか分からないけど)

まず本書のいいところは、変な宗教臭さをあまり感じさせないというところですね。この辺は著者の一貫したこだわりがありそうで、スピリチュアル作家としての力量が垣間見えるところだと感じました。

そして、「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる」では、「いまに在る」というのがメインワードでしたが、今回は「エゴ」がメインとなっていますね。

何といっても本書前半の半分くらいは「エゴ」についてのテーマになってますから。

本書でいうエゴっていうのは文字通りエゴイスティックな思考というか考え方のことなのですが、仏教でいうところの“自我”と同じですね。多分。

著者曰く、エゴが良いとか悪いとかではなく、エゴに自分を同一化し振り回されてしまうことが問題で、人類が抱えている狂気とも言える問題もこのエゴとの同一化が原因だと言います。

言われてみると確かに、子供とゲームの順番を争って挙句の果てに泣かしてしまい、「どうして大人げないことしちゃったんだろ…」とあとで後悔した経験とかってありますもんね。これも大の大人の狂気の行動の一例ですね。

そして、「この地球では人類のエゴは宇宙の夢の、意識の形への同一化の最終段階」ということらしいです。
私のような俗人にはよくわかりませんが、典型的なスピリチュアルらしい一説ではありますね。

あと、本書を読んでいて凄く気になってしまった点がありました。

エックハルト・トールは一貫して「いまに在る」というのが人類の意識の目覚めにおいて不可欠であり、究極的には過去も未来も存在せず、あるのは常に「いま、この瞬間」だけと言っています。

それなのに、本書の第一章で「先を見ないで不器用に生きて苦しみ、人をも苦しませるのが罪なのだ」という箇所があって、これも人類固有の機能不全なのだと言います。

しかし、過去も未来も存在せず「いまに在る」べきなら「先を見ないで~」という表現は矛盾してるし、これこそ自論に対して機能不全しちゃってませんかね?

もう一つ、第八章で、ある知人にスピリチュアルな組織のセミナーやワークショップのをプランを見せてもらい、どれか推薦できそうなコースはないかと尋ねられた際に、

「どれもなかなか面白そうだがね、だがこれだけは言える。できるだけ頻繫に思い出すたびに呼吸を観察すること。これを一年間続けてごらん。そうしたらここに書いてあるすべてのコースに参加するよりも効き目あるよ。それに無料だしね。」

とありますが、さんざん「目覚めるのは『いま、この瞬間』だけだ」とか、「未来というのは思考が作り上げた幻である」とか言っていたのに効果が出るのに一年かかるって自分で言っちゃってるじゃないですか…

「それに無料だしね。」とか、そういうことじゃなくて…w

とまあ、ツッコミどころも多々ある本書ですが、この本は分厚くなかなかのボリュームなので読むのに骨が折れそうな感じですが、とにかく文章が美しく綺麗で流れるようにスラスラ読めるのでさほど苦にはなりませんでした。

冒頭でも書いたように、宗教臭さもなくタイトルも素敵なのでスピリチュアルに抵抗ある方にもお勧めできる一冊ですね。

そういえば、エックハルト・トールさんYouTubeで有料チャンネル運営してたり、動画にもバリバリ広告埋め込んでビジネス臭さがほんのりとに漂っているみたいですけど、まさかとは思いますがエゴに蝕まれているわけじゃないですよね!?

まぁ、それは冗談として(笑)

しかし、動画の最後に「チャンネル登録もお忘れなく」なんて言い出したら疑った方がいいかもしれません…(そんなわけない)

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