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ころがっていますか

♪ ドンドンドン ドン.キ ドン.キホーテ~

一度、耳に入ってくると、なかなか出ていかない、あのリズム。

英単語のテストに「ドン・キホーテ」が出題されたら、何人正解できるだろうか?

正解 Don Quijote


ドンキと言えば”激安”ジャングル。しかし、今や価格ではネットショップなど、安いところはいくらでもある。問題は、激安より”ジャングル”の方だ。一度入り込んだら、出て来る頃には、気づけば手には黄色いビニール袋。

そう、店内の至るところに衝動買いを促す「仕掛け」が散りばめられている。衝動買いの「衝動」って、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェイムズによると「衝動とは、たいていの場合、強力な欲望と結びついている、つかの間の思いつきである」という。

心理学的に衝動買いには4つのパターンがある。

1 新鮮さや現実逃避を求める「純粋衝動」
2 目についた商品によって、家にある残りが少ないか無くなっている
  ことに気づく「想起衝動」
3 初めて見た商品が「必要」と想像することによる「提案受容型衝動」4 特価やクーポンによるメリットにより購買決定する「計画的衝動」

ドンキには、これらのスイッチを押してしまう仕掛けが、いたるところに潜んでいる。

自分は、週1回、仕事で訪れる会社への道すがら、ドンキの前を通る。ときどき、セルフコントロールできるか試すため、あえて入ってみる。購買への衝動を制し、無事出て来られるか、手ぶらで脱出できるかなゲームだ。

そのとき、一つ気づいたことがある。かつては、衝動買い防止のおまじないとして「明日また来ても買いたくなるかな?」と自問自答して制していた。だが、最近はアンガーマネジメント(怒りのコントロール術)の「怒りを覚えたら、心の中で6秒カウントしてみる」というヤツをやってみた。

買いたい衝動に駆られたら6秒カウント。すると、一気に冷静になることがわかった。個人差あるだろうが、購買衝動と怒りの感情って近いのか?

もっとも、ドンキの場合、入る時から「戦いの緊張状態」のため、ちょっとやそっとの誘惑に負けることは少ない。

一方で、普通のスーパーマーケットがヤバい。油断していると、衝動買いしている。そう、スーパーマーケットにもお約束がある。

店内に入ると、およそ野菜や果物が出迎える。野菜や果物って、重くてかさばるから、そのあとの買い物を考えると、ずっと運ぶのはしんどい。なので、本当は買い物の最後エリアに並べておいてもいいもの。だが、ここに買う側と売る側の思惑の違いがある。

ひとつは、入ってすぐ目につくことで、店と商品そのものが、新鮮で魅力的に映る。開放的な畑や青空を喚起させるという。

もうひとつ、重い野菜や果物は、カゴではなくショッピングカートを利用する可能性が高まるのだ。スペースが増える分、買える量も増える。運ぶ負担が減ることで、客は衝動買いしやすくなるという仕組みだ。

他の食料雑貨が、店内奥の方にある場合、そこにたどり着くまで、利益率の高い商品を一通り目にするため、衝動買いの機会が増えるのだ。

研究によると、カゴを手にして店内を歩く距離は約500メートル。カートを押している場合は、さらに約100メートル長く移動しているという。

通い慣れたスーパーは、つい油断してしまうから、実はデンジャラス。

イギリスのアンケート調査では、消費者の9割が、1回の買い物で、少なくとも1点は衝動買いし、半数以上の人が6点衝動買いしているという。生涯の支出にすると、日本円で約655万円(¥131.5/ポンドで計算)。まぁまぁなベンツ1台分。イギリスだから、ジャガー1台分の方がいいか。どっちでもいいけど。


ところで、店内に流れる歌のリズムも「衝動買いを促すため」という、恐るべきドンキ。すべて計算しつくされているのかと思いきや、営業時間の設定は、想定外だった。

ドンキの前身「泥棒市場」時代、人手が足りないので閉店後の深夜に店頭で荷ほどきしていたら、店が開いていると勘違いした客が次々にやってきたため、深夜に商機があると気づいたのだという。チャンスはどこに転がっているかわからないな。


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