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たまりますか

テレビは台本で出来ている。

人と話していると、よく気づかされる。自分は当たり前だと思っていても、他人にとっては未知の事実だったりする。当たり前は、マインドブロック。勝手に思い込んでいるだけ。

自分もそうだが、テレビはだいたいボーっと見ていることが多い。タダだし、最近は見逃しても、後追いする手段はある。適当に作っているかと思いきや、実はかなり計算された上に作られている。

たとえば、タレントさんのトーク。適当に好き勝手しゃべっているのを撮影しているだけと思っている人が多い。もっとも、どうやって作っているかなんてこと自体、考えている人は少ない。

フリートークと言っても、事前に、しかも収録するよりも何日も前に打ち合わせがある。テーマにそって、どんなネタがあるのかタレントさんにヒアリングする。そこにも、当たり前のマインドブロックがかかっていることが多々ある。

タレントさん自身は、「これ面白いの?」という話でも、視聴者は「へぇ」と思うことがある。なので、こちらからどんどん質問して掘っていかないと出てこない。面白い話の鉱脈を探して掘るのは楽しい。出てきたときは、こちらが安心するだけでなく、本人にも気づきを与えられる。

集めたエピソードは、テーマに沿って並べ直し、トークの構成、流れを作る。それを台本に落とし込む。番組収録では、台本通りに話してもらうのでなく、自然な言葉で話してもらえるよう、質問を用意する。なので、タレントさんは、質問をきっかけに「あぁ、あの話をすればいんだな」と、自然に話すことができる。

現場で新たなエピソードを思い出したりアドリブが飛び出したりすることもあるが、そうなればラッキー。30分のトーク番組ならば、1時間くらい収録して、面白い部分を編集し30分にまとめる。もっともアドリブの余白は収録番組はいいけど、秒単位で計算されている生放送では無理。放送事故になる可能性があるから。

ボーっと見ていると、好き勝手に話しているように見えるが、テーマがあり、導線があり、取れ高から編集して仕上げる。すべらない話のような番組では、芸人さんの持ちネタをあらかじめ精査して、どのネタでいこうか、これは、この部分を膨らませたらいい、オチの前にもうひとくだりタメを作ったらいいなど、作家やディレクターと相談して、パッケージ化する。もちろん芸人さんの話術によるところは多大だが、話の流れや余計な情報をそぎ落とすといった作業は、第三者が壁打ち役となって、ネタをスリムにする。

日本語は、助詞が一つあるかないかで、意味が変わるので、助詞一文字も意味のある情報だ。なので、フレーズの選び方、いい回しは、重要。特に、笑いは細部に潜んでいるので、ほんのした一言が結果に影響する。そういった計算をして設計されているのがテレビなのだが、いかんせんタダ見られるから、見る方は無責任だ。それに、どんどん新しい情報で上書きされていくから、覚えていないし…

しかし、テレビの1秒あたりのコストはあらゆるメディアの中で最高クラス。だから、無責任に無駄に使えない。「なんとなく」なんてことはありえない。すべて大義がある、のが前提。そう考えると、作る手間と消費されるスピードの間には、歴然とした差があるだろう。

私たちの経済活動において、お金の使い方には三通りある。

1 浪費  2 消費  3 投資

浪費とは
可能性がないもの&暗い未来しかやってこないものにお⾦を使うこと
ココロやカラダに害を及ぼしたり、不要だったりするものに使う行為。

消費とは
現状維持の未来しかないが、生活上必要なものにお⾦を使うこと
生活必需品などを購入する行為。

投資とは
明るい未来を切り開くために使うこと
お⾦を払うことで価値を生み出し、富(資産)を増やそうとする行為。

テレビでは、作る手間や内容と「忘れ去られるスピード」を考えると、最近は、消費されるというより、浪費に近づいているような気がしている。作りては、そうならないように気にしているけど。

とはいえ、タダで得した気分になる情報も、多々盛り込まれている。あとは
見る側の姿勢や見方次第で薬にも毒になる。

ところで、お金を使う時、それが浪費・消費・投資のどれに当てはまるか意識して支払うことを心掛けると貯まるらしい。

沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です